12話 絶望との闘い 前編
主人公視点ではありません
地上に降りた光が薄れるとその中から現れたのは白銀に身を包んだ軍勢だった。
「ふふっ、私が鍛え上げた{白銀の軍勢}を打ち破れるかな?」
軍勢は、艦隊に向けて攻撃を開始する、放たれる光の矢は彼女達の障壁とぶつかり合い目も眩む輝きが地上に広がっていく。
「くッ!なんて力だ・・・」
最前線で攻撃を受け止めている大和たちの顔がゆがむ、思った以上に防御を削られて居るようだ。
「防御力の強い戦艦群で受け止めて、その間から他の皆は攻撃するのよ!」
あたごの指示に陣形を再編していく。
「このー! やらせるか!」
はやぶさたちは隙間から砲撃しつつ艦対艦誘導弾を発射している、敵の頑強な陣形を少しでも削りたいのだ、
わずかだが、綻んだところに突入するのはゆうだちを先頭としたむらさめ隊だ。
「ヒャッハー!今度は騎兵ですか!望むところです、薙ぎ払いますよ~」
「ぶれないねえ・・・」
「何も言う気がおきません。」
敵陣に突入し、砲撃とミサイルの乱射で薙ぎ払うゆうだちにいかづちやありあけが半ば感心、半ば呆れている。
「今だ!近接戦闘で切り開く、各員続け!」
はつゆきが 天羽々斬を構え切り込んでいく、しらゆき、すずなみ、まきなみたちが得物を持ち闘いを始めた。
斬撃で敵をきれいに切り裂き、射撃で撃ち伏せていく。
はつゆきがふと上空を見上げて顔色を変えた。
「これは!」
そしてしらゆきを呼んで何か話をするのであった。
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上空では、正人がアグサスと闘っていた。
全方位の正人の光弾はことごとく、アグサスには通用しなかったようだ。
「ふふっ、当たらなければどうということは無いのだよ、君の攻撃はね。」
「・・・」
正人はここでリミッターを解除する事にした。
一気に彼の魔力が上昇し、蒼の魔力を纏った彼は、敵に肉薄する。
ナックルガードに魔力を通して障壁にたたきつけた。
ガッゴーォーーーーン!!
鈍い金属のような音がしたが、障壁はびくともしない。
「無駄な足掻きだね、この障壁を破れるとでも?」
余裕の表情を崩さずにそして宣言する。
「そろそろこちらの攻撃のターンだね、君に防ぐ事が出来るかな?」
「まだだ、まだやらせない!」
そう言って正人は{フルバーストモード}を展開していく。
無数の光槍が形成されていき、一気に放たれる。
全方位からアグサスに迫り障壁にぶち当たる!
ズドドドドォォォォォン!
目も眩む輝きが広がっていく。
「やったか・・・」
光が収まっていくのを見ていた正人はその中が見えてきたとき驚きの声を上げる。
「馬鹿な!効いてないだと。」
「だから、無駄だと言ったんだけどね。」
にこやかな笑みを浮かべつつアグサスは構えを取った。
「さて、君はこの攻撃を防ぐ事が出来るかな?」
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地上では一進一退の攻防が続いている、しかし時間が経つに連れて艦隊が押され始めてきた。
{白銀の軍勢}は倒しても次々と後続が現れてくるからだ。
「どんだけ居るのよ!」
あせりの言葉が思わず出ている。
「負傷したり、魔力枯渇した者は後退して補給を受けるのよ!」
あたごが皆に呼びかける、前衛で戦っていたちょうかいを旗艦とする部隊が後退し、
代わりにあしがらが率いる部隊が前に出る。
「あさぎり、ゆうぎりは右の敵を叩いて、おおなみとさざなみは左よ!」
砲撃とミサイルを打ち込み敵をそいでいくが、圧力は半端なものではない。
「陸奥、中破後退します。」
壁役の戦艦が抜けた穴に敵が侵攻してくる、空いた穴を埋めようとしていたあたごがあることに気が付いた。
「お待たせでござる(のじゃ)」
その声とともに現れたのは長大な砲を搭載した戦車と、地面をすべるようにして進む人型兵器であった。
「戦車隊前へ!敵を駆逐するでござる。」
「{猟犬}たちよ、側面から敵を削るのじゃ!」
援軍の到着である、正面から戦車隊は突っ込んでいき行進間射撃で敵を吹き飛ばしていく、
人型は敵陣の両側面に回りこんで射撃を開始する、敵の進行を止める事が出来た。
あたごは駆けつけた二人に声を掛ける。
「ありがとう、助かったわ。」
「なんの、我々も仲間でござる、戦うでござるよ。」
「そうじゃ、皆も駆けつけておる、押し戻すのじゃ。」
見ると、首都のほうから近づいてくるのは亜由美たちである、
上空には航空部隊でゴーレム部隊も発進している。
これならばと、愁眉をひらくあたごであった。
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正人とアグサスの周りに光の粒子が集まっている、
両者が同じ光属性の魔法を行使しようとしているからだ。
「ふふ、どこまで耐えれるかな?」
楽しそうに笑うアグサス、対する正人は苦々しい顔をしている。
「じゃあ行くよ、{神聖槍}」
光る槍が意思ある者のように動き正人に迫る。
「くっ!」
正人も光槍を形成し対抗する、光の槍同士がぶつかり合い消えていく。
天空に光の花が咲き乱れる。
正人が光輪斬を形成し叩きつける、
それを光のブーメランで迎撃するアグサス、
お互いの攻撃が相殺されていく。
「ふむ、なかなか粘るようだけど今度はどうかな?」
そう言ってアグサスは手のひらを正人に向けて言った。
「今度こそ、終わりだね。」
アグサスの手に光が集まりそれは目を向けていられないくらい明るく輝く、
そして、その攻撃が正人に向けて放たれた。
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