11話 使徒
先日載せていた閑話は活動報告の方へ移動させました。
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それから一週間は何事も起こらず平和な日々が続いていた。
俺はエスペランサに止まって防衛体制の構築に励んでいた。
ルアンや獣王国側には変身リングによる影武者で対応してもらっている。
向こうでは若林さんたちが宇宙ステーションにゴーレム部隊を配置するのに動いている。
こちらにもその機体が送られて来ていて順次転移で送り込まれていく。
「配備状況は計画の九十パーセントを超えました。」
報告に頷く、突貫でかかった結果、宇宙方面の防備はかなりのところに来たようだ、
もっとも、あの敵の映像を見ていたらそれでも焼け石に水のような気がするが。
「いざという時には我々も召喚で援軍を出すでござるよ。」
「そうなのじゃ、任せるのじゃ。」
ロフスとリリスもこちらに来てもらっている、彼らの同族の世界を護るためだから気合が入ってるな。
正直頼もしい、敵に回ると厄介だったのだから。
俺がこちらに居るために、ミリヤムとカチヤ、
ルーダ女王以外の嫁はこちらに居る、
あ、後ヨウコも地球世界に行ってるんだった。
このような事態だが、カチヤは出産した、元気な男の子だった。
傍にずっと居てやりたいがどうにもならない、残念である。
女王も懐妊が発表された。
本来ならめでたいのだがこの状況なのでお祝いも出来ないのだ。
後日という事になり、この話もここまでだ。
「偵察隊の巡回ですが今のところ敵の気配はありません。」
「宇宙からの侵攻とは限らない、いきなり転移してくる事例もあるからな。」
「厄介ですね。」
まったくだ。
エスペランサの唯一の都市、首都を望む丘の上に俺は来ている。
お供ははつゆきとしらゆき達式神部隊だ。
ここに来たのは別に意味があるわけではない、
首都を見ることの出来るこの丘が俺達のお気に入りの場所というだけだ。
「見るたびに発展してますね。」
すずなみが感嘆している。
言葉通り街が見るたびに発展している、このまま大きくなればじきにこの丘も首都に組み込まれるだろう。
そう思っていると不意に大きな力を感じた、場所は・・・直上だと!
見上げると空に揺らぎが発生している。
「転移してくるものが居るぞ!警戒態勢!」
俺は叫び皆に注意を促す。
直ちに首都に警戒警報を送る、瞬時に結界が張られていく、
あの中では市民が避難しているはずだ。
皆に召集をかけながら、上空を見上げる、すでに戦闘防護服に換装している。
揺らぎの中から現れたのは一人の人物だった。
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謎の人物はいきなりは攻撃しては来ないようだ、
皆に臨戦態勢をとらせつつ、
魔力浮遊版で近づいていく。
声の届く距離まで行って、話しかける。
「言葉はわかるのか? 何をしに来たんだ?」
「君がマサトか? この世界の管理神の?」
「そうだが、何の用かな?」
「そうか! それはラッキーだな、一番最初に会えるなんてな。」
えらく嬉しそうだが、俺の中では危険なシグナルが激しく出ている。
「何者だ?」
「判ってるんじゃないのかな? えらく対応が早いみたいだが、さすがというべきかな?」
穏やかに見える外見だが中から溢れる力は剣呑さを感じる。
「南域と西域の世界を攻撃したのはなぜだ?」
「強くするためだ。」
「なに?」
「{世界}に生きる者を強くする、神に頼らずとも生きていけるように・・・」
「そんな事のために、世界を滅ぼし破壊したのか!」
「破壊?違うな、再生のためにだ、この宇宙・・・すべての{世界}に住むものたちを強くして再生させるために必要なことなのだ。」
「馬鹿な!狂っている、そんな必要があるというのか!」
「必要だ、お前の居るこの世界がそうだ、かつてあった人の営みはあっけなく失われた、神はその時何をした!教えもせず、救う事さえしなかった!だから私は誓ったのだ、この世界を{神}に委ねてはいけない、世界のことはそこに住む者達が決める事だ、そのためには、強くなければならんのだ、なぜそれが判らない!」
「余計なことだ、そのためにわざわざ手を加える必要は無いはずだ、
そこに生きる者達が望むならそっと手を貸すのが本来の姿のはずだ。」
「君と議論しても始まらんな、やはりというべきか、彼の弟子だけのことはある。」
そう言ってそいつは手を前にかざす。
「君が正しいのなら私を倒して見せるんだな。」
手から光が溢れその光が回りに広がりながらたくさんの塊が生まれそれらが形を変えていく、
そしてそれらは地上に降りていく。
攻撃か!させるか!
光弾を打ち込もうと発射するが目標に向う前にすべて障壁に弾かれてしまった。
「邪魔はさせないよ、君の相手は私が直々に行うからね。」
奴に対しても光槍を打ち込むも弾かれてしまった。
「私の名前が知りたいか? 私は使徒 アグサス この世界の破壊と再生を託された者だ。」
そして奴は俺に向き直り、戦闘態勢をとった。
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