8話 戴冠式
腰を痛めてしまい痛くてたまりません、
それを理由に遅れるのはいやですが。
{エスペランサ}を命名してから半年が経った。
其の間は魔族の住む環境を整備するために皆で動いていた。
まずは、町作りから始めて、環境の整備などに動いた。
ヨウコの提供でこちらにも衛星を打ち上げたり、交通網の整備を始めたり、
農地の開発などやることはいくらでもあった。
あっという間の半年だったというべきか。
そして、その間にも進んでいた事が日の目を見ることになる。
それはルーダ王女の女王への戴冠式である。
ちょうど{エスペランサ}命名の直後にその発表が行われた。
其の時同時に発表されたのは同時に行われる彼女の結婚式であり、
其の相手の発表であった。
「この世界を救った勇者マサト殿を女王の王配と決定いたしました。」
この発表があったときに、歓迎の声が多くあがり、反対の声は聞かれなかった。
王女の根回しが功を奏したようだ。
「これでやっと人前でいちゃいちゃできますわ。」
ここまで表向きは自重していたので思うところがあったのだろう。
側近やごく限られたリィリィなどのメイドの前でしか見せなかった態度を一般の宮中メイドたちの前で見せている。
彼女たちもそれが当たり前のこととして受け止めているようでうまく行ったようだ。
ちなみに亜由美や美奈や美月たちはというと先んじて式は挙げている。
ただし、ルアンではなくコリントで式を挙げた。
理由は色々あるが、ルアン王国で式を挙げると獣王国と違い序列ができてしまうからである。
後は、他国とのバランスである、どうしても人種的に偏りがあるので後々バランスの為に、
そうなったのだ、鉄鋼王国や森林同盟などに配慮した結果である。
そして、其の配慮の結果・・・
「正人さんあーん・・・にゃ。」
甲斐甲斐しくカットフルーツをあーんさせてくれているのはリイナである。
「あらあら、うらやましいですねえ、次は私ですよ。」
そう言っているのはクリスである。
どうしてそうなった? ・・・ って?
これも「配慮」の一つらしい。
もちろんあの「女子会」で決まったことなのだが、二人が国の配慮を後ろ盾にしたことは否めない。
鉄鋼王国は?と聞かれるだろうがあの国では{フラグ}が立たなかったのだ。
それもまずいということで取った方法がこれである。
「食事が終わったら膝枕させてあげるよ~。」
ヨウコが隣でスリスリしてくる。
彼女が鉄鋼王の養女となって結婚したのだ。
なんか、すごく嵌められている感じが否めないが最近は諦め気味である。
ちなみに勇者一行は各地の世界樹を守護する者と定義され、
分散して護りに付いている。
実際は護りに{付いている}ことにされているだけでみな一緒に居ることが多いのだが。
ちなみに{神}が結婚して良いのかと思われるが師匠に相談すると、
「別にいいんでないかい~。」とのことであった。
ずいぶん軽いがそのくらいは良くあることらしい。
地球の神話でも掃いて捨てるほどあるからとヨウコに笑われた。
ちくせう。
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当日
王都に花火が上がりそれが開始の合図となった。
王宮で彼女が王冠を授かり戴冠を宣言する。
そうして彼女が女王となったのであった。
そして引き続き今度は結婚式になだれ込む。
神官が結婚を祝う祈りをささげ、宣言することで成立する。
壇上に俺たちが立っていると、各国の来賓や国の重臣たちが祝いの言葉を述べに来る。
獣王国からの来賓は俺である。
{顕現}で分身してるんだが自分で自分に祝いを述べるなんて・・・
一緒にミリヤムも来る予定であったが彼女は来れなくなっている。
理由はつまりあれである。
「ミリヤム様もおめでただそうで、めでたいことですね、私たちも早くそうしたいですね、あなた?」
彼女が俺に声を掛けつつ俺に話しかける。
それは俺に対するプレッシャーですね、引きつる俺と苦笑いの俺である。
ちなみにカチヤが嫁たちの間では一番速く母親になる予定である。
それももう一週間以内くらいに。
次がミリヤムというわけだ、獣王はミリヤムが妊娠した報を受けた時狂喜乱舞して、
子供が生まれたら次期獣王に譲位すると口走ったそうである、
絶対に今は拒否だ、早すぎである。
そうこうしているうちに祝いを述べるものたちが先に進み、
式神たちの番になっていた、はつゆき、しらゆきたちが終わり、
すずなみがやって来た、口でお祝いの言葉を述べているが、
完全にテンプレな言葉の羅列であり、本命はパスで言ってきた。
(ご主人様、私もご主人様の子供が欲しいです!)
なにぃ! だがそれ以前に式神(精霊)が人間との間に子供が作れるのか?
ヨウコに聞くが、(聞いたことがないな~)との事である。
やんわりと無理ではないかと言ってみたが、
(やってみなくちゃわからないよ!)との事であった。
あまりの前向きぶりにあきれていると、はつゆきが(私も欲しいかな?)と言って来た。
驚いて顔を上げて彼女を見ると隣でしらゆきも頷いている、
俺はそうなったらいいなと頷き返したのであった。
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