5話 新天地と管理神
観艦式が無事に終わって、一週間が経った。
魔素の異常も改善が見られているので当面は安心である。
そこに師匠からの呼び出しがかかった。
『魔族の者たちの新しい世界が決まったぞ。』
「ほんとですか、良かった。」
『見に来ても良いぞ。』
このお誘いに皆で行くことになった。
ヨウコが転移魔法陣を展開する、異世界同士を結ぶ特殊なものだ。
「では、行くぞ。」
普段の転移陣とは違い回転する光の粒子に囲まれながら転移していった。
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ここが{新天地}か・・・
そこは広大な大地が広がっていた、
遠くを見てみると海があるのかきらきらと日の光を反射している。
緑豊かな大地といったところで、俺たちが転移したところは少し回りより高く、
小高い丘のような所だ。
しばらくすると、近くに異世界転移魔法陣が現れそこから現れたのは・・・
筆頭従者と魔王リグズにメイスフィードとガイザムたちだった。
再会を喜び合い、落ち着いたところで、筆頭さんが説明してくれた。
「この世界は次回のダークコロッセオ予定地だったのです。」
そのためにまだ誰も居ない世界なのだそうだ。
「そんな都合のいい世界があるんですか?」
亜由美が質問すると、筆頭さんは良いところに気が付いたと微笑んだ。
「実はこの世界は一度放棄された世界なのです。」
そう言って指差した先は朽ち果てては居るが明らかに人工的に作られた建造物だった。
よく見ると、この丘に見える部分は朽ち果てた都市の成れの果てであった。
「これはどういうことなんです?」
俺が質問すると、筆頭さんが教えてくれた、それは驚愕する話であった。
「今からそちらの時間で一万年前にこの世界は非常に発達した文明を誇っておりました、
ですが破滅的な災害に巻き込まれてこの世界は滅んでしまいました。」
「そのために、元々管理していた神はこの世界を放棄して、
この世界は管理者の居ないままだったのです。」
「そこに奴らが目をつけダークコロッセオの予定地にしたのです。」
そうだったのか・・・
「でも、進んだ文明が滅ぶような災害ってなんですか?」
美奈は心配そうに聞いた、再度そのような災害が襲ってこないのか気にしているようだ。
「それはね、近くにあった星が大爆発してその影響で滅んだのよ。」
星の大爆発って、超新星爆発のことだよね、だとすればその影響は・・・
「ガンマ線だな。」
ヨウコがつぶやく、それが大量に降り注いだために地上の生物は一度死に絶えたのだろう。
それから一万年でやっとここまで元に戻ったのか。
「それから、近くにはそんなことの起こる星はもう無いし、
爆発した星からは離れる一方だから大丈夫よ。」
なるほど。
「魔族の元々の世界はすでに別の種族が住んでいて戻れなかったけど、
この世界なら他の種族と摩擦を起こすことは無いからいいでしょう。」
そういう意味では理想的な環境と言えるね。
「これから皆が住む場所を選定して仮の町を作る予定だ。」
リグズが話を引き継いだ。
「ならば、我々も手伝うのはどうだ? あちらも落ち着いて暇になったし。」
ヨウコが提案する、以外にGJな発言だな。
「それはいいな、転移で行き来ができるから用事ができても大丈夫だし。」
賛成しておく、だが良く考えるとヨウコのことだから、
きっと自分の趣味の布教をたくらんでいるのではなかろうか?
「それと、世界樹の移植もお願いしたいんです。」
筆頭従者さんによると、この世界は魔素の少ない世界なので、
魔族が住むには少し問題があるそうだ。
いずれ人口が増えたときに魔素不足に陥りかねないので、
宇宙から魔素を取り込んで根から大地に還元する世界樹が必要なのだそうだ。
「なるほど、人口が増える前に植えておこうというわけですね。」
クリスが頷く、人口が増えたころには世界樹も成長しているだろう、
クリスも移植には問題が無いといっていたので早速帰ったら準備しよう。
「それと、ここの世界を管理する管理神なんだけど。」
筆頭さんがそこまで言って言葉を止める。
そういえばこの世界は管理神不在だった、
ヨウコにでもさせるのだろうか?
「それが・・・」
「師匠が言うには、正人さん、あなたにしてもらうとのことです。」
「えっ?」
「これが任命書です、{マサトを一級管理神に任命し、この世界(名称未定)の管理を任せる}とあります。」
その発言に俺は固まってしまうのであった。
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