閑話11 すずなみの想い 後編
少し長くなりました、前中後編にすべきだったかも・・・
ノイスタッドの森
「右舷前方に魔獣の群れ!数十一!」
「CIWS撃ち方はじめ!」
バリバリバリバリバリ・・・・・・
CIWS(近接防御火器システム)から撃ち出される弾は迫る魔獣を穴だらけにして討ち取った。
「周辺警戒、索敵続けて。」
先遣隊の旗艦ちょうかいからの指示に従う。
「了解、微速前進。」
たかなみ以下私たちは森の中を進んでいく、途中に出てくる魔獣たちを掃討しながら。
私たちにとっては初めての実戦。
ご主人様に異世界に行くときにカードに戻されて、
勝手に出ないように{凍結}されていた私たち、
その凍結が解かれたところは{戦場}だった。
「凍結解除 全艦突撃せよ!」
ご主人様からの命令が出て私たちはカードから出た。
「前衛の指揮はちょうかい、後衛はあしがら、本隊の旗艦はあたごにする。」
私たちはちょうかい指揮下の前衛で戦うことになった。
「魔獣を指揮している存在が居るはずだ、情報収集のため生かして捕らえて欲しい。」
ご主人様の命令が下っている。
ルルリアンの里に侵入した魔獣たちを駆逐して押し返し森の中まで進撃する。
今のご主人様は見た目がすごく変わっている、こちらの世界の獣人の姿になっているのだ。
グリーゼという人の姿をしている。
どんな姿をしていてもご主人様はご主人様よ!
索敵をしつつそう言うとまきなみが 「・・・私もそう思う。」
無表情であまり言葉を発しない彼女にしてははっきりとした返事だった。
そう言っていると森の奥で指揮している存在を見つけた、
魔獣には見えない・・・ねぇ?
抵抗してきたのでとりあえず麻痺弾に切り替えて生かして捕らえることにする。
CIWSの一撃で相手は昏倒した、まきなみが拘束して連れて帰った。
その姿をご主人様が見て顔色が変わるのが見えた、
どうしたの?なぜそんな顔をするの?
聞きたかったけど聞けなかった、私は避けられているから、
きっと答えてもらえないから・・・
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ご主人様と獣王都に帰還して捕まえた魔族への尋問で襲われる事が判った
クローネンベルクに皆で向かう事になった、
待機して二日目に魔獣が現れて戦闘が始まった、
先日よりも数が多い、全部で一万位いるようだ、
ご主人様は魔獣を指揮する魔族と対峙している、
私たちもあたごの指揮で戦闘を開始した。
「武器自由使用撃ち方始め!」
突っ込んでくる魔獣をそれぞれで攻撃し倒していく、
数が多いが濃密な射撃で隙なく戦っていく。
突然魔獣たちの動きがおかしくなった、統制が取れなくなり無秩序になっていった。
「今よ!対艦誘導弾発射、全艦突撃せよ!」
後で知ったけどご主人様が指揮していた魔族を倒したのでそうなったのだとか、
やはりご主人様はすごい。
ここでの戦闘が済むとすぐに集結して移動する事になりカードに戻される事になった、
はつゆき姉さまたちがいるコリントにここの十倍以上の魔獣が攻めてきているとのことだ、
早く行かなくては・・・ご主人様は転移で獣王都まで戻ることにしたようだ。
獣王都からはいせの艦載機で向かう事になった、ご主人様はコリントに行ったことが無いので、
転移ができないからだ、時間が無い、きっとご主人様は早く行きたいはずだ。
一番速い機体F35に乗ってご主人様は行く、
後部座席には奥様のテレーゼさんが乗っている、
うらやましいな・・・。
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コリントに向かう途中でやっと向こうの状況が見えた時、
はつゆき姉さまたちが危機に陥ってるのが判った、
直ちにご主人様の援護の攻撃が、
すごい、まだ千キロも離れているのに、的確に敵を倒している。
そして座標を送ってもらい機体ごと転移した、
ご主人様、すごい、すごすぎるよ。
そしてあちらについて私たちは出撃した、向こうで戦っていた皆はぼろぼろになっていた、
後は、私たちに任せて!
あたごの指揮のもと私たちは突撃する、負ける気なんてしない!
ご主人様がいてくれる限り、私たちは皆を護るんだ。
そして、ご主人様が敵将に降伏を迫って戦闘は終了した。
それから、ルアン王国に一度戻って今度は森大陸に行く事になった、
今度は海路で行くそうだ、久々の海の上、やったね!
盛大な見送りを受けながら艦隊は出発した、
私たちは航路の安全の為に前衛で魔獣の掃討をしている、
魔獣を集めるアイテムのおかげでどんどん倒せている。
でも、そろそろ魔力が不足してきた・・・
ご主人様のところで補給してもらわなくっちゃ。
しらゆき姉さまの艦上で私たちの隊は補給を受けた、
おおなみやたかなみは魔力の補給を受けるときはキスでしてもらってる、
私も!と言ったらリングにされてしまった、
ちがーう!全然違う!そう言って唇を奪う。
なんか気持ちいい、とろとろになりそう・・・
ご主人様に魔力酔いだと言われた、違う!断じて違うから!
大陸に着いて兵士たちを陸揚げする、これで任務は一応終わりだ。
ご主人様たちは森大陸のさらに奥に行くようだ、私たちは航路の安全の為に、
当分は魔獣の掃海に従事する事になった。
数万は倒したのでこの辺の海域は安全になったと思う。
そしてご主人様たちは今度は鉄鋼王国に向かう事になり、
私たちも付いていく事になった、やったね!
でも向こうについてすぐにあんな事が起こるなんて・・・
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今までの魔族とは明らかに違うやつらの攻撃だった、
魔獣よりも強力な巨人やヒュドラ、ドラゴンが襲ってくる、
攻撃が防がれる、ミサイルを撃ち込んでやっと倒したと思ったら、
目の前にヒュドラのブレスが!
とっさに障壁で防ぐが障壁は砕け、兵装が破壊される、
兵装と私はつながっている、兵装のダメージで私は倒れてしまった。
たかなみたちが駆け寄って起こしてくれた、
「ご主人様のお役に立とうと思ったのに・・・たかなみ・・・後はよろしく・・・」
それだけ辛うじて言うと意識が暗転していった。
気が付いたときには治療施設のベッドの上だった、
一瞬ドックの中かと思った。
そうだった、式神になっていたんだっけ・・・
隣のベッドにはまきなみが寝ていた、
彼女もやられたのか・・・
見ていると気が付いたのかぱちりと目を開いてこちらを見た。
「私もやられたのね・・・」
「そうみたいね、私のほうが先だったから。」
「そう。」
「ご主人様のお役に立てなかった・・・」
涙が自然と出てくる、もともと避けられているのに、これで完全に嫌われてしまう・・・
「そんなことない。」
その言葉にまきなみのほうを見る。
まきなみはじっと私を見ながら言った。
「ご主人様はあなたの事を嫌ってはいない、あなたが積極的だから戸惑ってるだけ、
気持ちはきっと通じる。」
「私だって・・・」
そういうと顔を赤らめてまきなみは続けた。
「私だってご主人様は好きだから。」
そうだったの?
ずっと一緒だったのにわからなかった、
無口な彼女が精一杯につむいだ言葉、
どれだけの気持ちがそこに込められているのか、
そう考えていると部屋をノックして入ってきたのは・・・
「ご主人様・・・」
「大丈夫か?」
そう言ってご主人様は私の手をにぎって魔力補給と治癒魔法を同時に掛けてくれた。
段々力が涌いてきた。
手を引いてご主人様にキスをしようとしたら、
ご主人様はやさしく私の頬に手を触れながらキスしてくれた。
そんなことって・・・
「ご主人様、わたし・・・いいんですか?」
つい聞いてしまった、はつゆき姉さんたちがいるのにいいんですかと。
「いいんだ、よくやってくれたんだ、だからその気持ちに応えたい。」
「だから、体をまずは直すんだ、後の事はそれからさ。」
そして抱き合って改めてキス・・・
その後まきなみもキスして欲しいと頼み、告白した。
ご主人様も驚いていた、いきなりだから。
「まきなみちゃんも私と同じ・・・でも彼女は伝えるのが苦手だから。」
私の言葉にご主人様は、
「わかった、その気持ち大切に受けさせてもらうよ。」
そうして彼女にも同じようにしてくれた。
私は今日この日を忘れない、この日が本当の始まりだから、
ご主人様と私の始まりの日だから。
ここまで読んでいただいて有難うございます。
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