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33話 魔族の長

3章はもうすぐ終わります 4章が最終章の予定です。

 次期魔王という言葉を聞いて、身構える皆


「落ちつけよ、もう戦いは終わったんだ。」


俺は皆に声を掛ける、まあ気持ちはわからなくもないけどな、

鉄鋼王国側の被害は相当なものがある、

向こうの五傑は非道なやつらだったからな。


とりあえず、話し合うために隔絶空間を開いて皆を案内する。


中には会議ができるくらいの空間に机や椅子の並んでいる部屋にしてある。


魔族の長が自己紹介をする。


「リグリウズ・グラミ・スーベリウズという、一応一族を率いる立場になっている。」


彼がいまだ魔王を名乗っていないのはわけがある。


前回のダーク・コロッセオで彼らは最終勝利者になった、

だがその代償として全体の半分以上の犠牲と魔族の長、すなわち魔王を失っていた。

その長子である彼は当然後を継ぐのであるが、

いまだ未熟であるということで自ら名乗るのを延ばしているとのことである。


「彼らの一族は我々が保護しています。」


師匠かみの筆頭従者さんが補足してくれた、

メイスフィードたちの証言で彼らを使役していた神を特定し拘束に成功したのだとか、

そしてこちらのでの無意味な戦いをやめさせるために来てくれたのだ。


「助かりました、このまま戦っていたら犠牲が出るばかりでしたから。」


俺はみんなが言う前に発言した、誘導するみたいだがそういうしかないだろう。

発言の意図に王女や王は気が付いたようだ。


「我々も戦火が収まるのはありがたいことです。」


「これ以上犠牲が出ないのは助かる。」


いろいろ言いたいこともあるだろうに、俺は黙って頭を垂れた。


其の後は、筆頭従者さんからの説明があった。


現在芋づる式にダーク・コロッセオに関係している者たちを拘束しているのだとか。


「ただ、その元締めがなかなか難物でして慎重に慎重を重ねているところです。」


意外な大物が居たということか、まあ今まで尻尾も掴めなかったやつらだから、

そんなのは当たり前か。


「保護した魔族の方たちはもともとの世界に帰す予定ですが、

それがかなわないならばどこかに住む世界を探す予定です。」


「後、メイスフィードとガイザムは今回の件で重要な協力をしたので、

罪を減じられて今後は魔族の為に尽くすということになりました。」


「また、魔族の長として リグリウズ殿は魔族をまとめていただく。」


それに対して王女や鉄鋼王は異論は無いようだ、

後は森林同盟と獣王国だが、ミリヤムによれば自分も異論はないし、

次期国王の俺が異論が無ければ王も反対はしないだろうとのことだ。

買われているのか、取り込まれているのか微妙だが。

森林同盟はクリス的には異論はないそうだ。

後でコリントで又会議が再開されるのでそのとき話になるだろうが、

神の決めたことなら問題はあるまいとのことであった。


そこで、ある提案が行われた。


「あのー、拙者たちは勇者たちと一緒に行かせてもらえんでござるか?」

「私もなのじゃ、ロフスと一緒に連れて行ってほしいのじゃ。」


五傑の残りの二人からの提案である。


メイスフィードは其の発言に驚いているようだ。


「姉さま、なぜ?」


「すまぬ、メイよ、私は異端者なのじゃ、

魔族として生まれたものの転生者であるがゆえに皆から忌み嫌われ、

このように成長のしない呪われた体を持っておる、

そのためこうして半端者の五傑などになっているのじゃ、

だから一緒にはいけないのじゃ。」


そう言ってリリスことリリスティアはさびしげに笑った。


「拙者もそうでござる、転生前の記憶があるがゆえに受け入れられず、

やっとリリスという同じ境遇の者に出会えたでござる、

そして、元の世界の人たちとここで出会えた、

そこでなら、我らもつらくはないでござる。」


彼らの決意は固いようだ。


「どうします?」


ルーダ王女がヨウコに質問する。


「彼らが望むなら私に異論はない、皆はどうかな?」


「俺は異論はない。」


真っ先に答えてやった。


他の皆も反対は無いようだ。


そして其のことは片付いた。


クリスは二人のことを見ていたが、「やはり・・・」とつぶやいた。


「やはり{融合者}か?」


「間違いないですね。」


其の会話に?だった皆に説明する。


転生にも種類があり、生涯を終えた者の魂が輪廻で生まれかわる過程で

別の世界に行くなどして記憶をそのまま残した状態で転生するものや、

神などが勇者召喚の一種として別の世界の魂を記憶をそのまま生まれ変わらせるもの、

すでに魂が存在する個体に魂が入り込むものなどで、

彼らの場合は最後の事例にあたるのだ。


そうなると一つの器に二つの魂となり融合が行われるのである、

そして、二つの魂を融合した者は普通の者より強力になるのだ。


ちなみにロフスが転生した時には赤ん坊の頃だった、

まだ自我が形成される前だったので、融合はやさしかったのだろう。


リリスの時は十歳の時で、そのとき以降彼女は一年以上寝込んで生死の境をさまよった、

おそらくはなかなか融合がうまくいかなかったのだろう。

そして何とか命を取り留めたときから彼女は成長を止めてしまっていた。


だが其の症状はあの{リード・ブレイン}の副作用の中にある事例と一致していた。

それを教えると彼女は涙を流して泣き出した、

おそらく自分の体のことは何かの呪いではと思っていたのだろう。


そこに次期魔王、リグズが声を掛ける。


「リリスにロフスよ、そなたたちがそのように苦しんでいたことも知らず申し訳ない、

勇者たちと行きたいという気持ちは尊重しよう、

だが、我々の元に還りたいと思ったときには還ってきて欲しい、

我々も帰還を歓迎しよう。」


次期魔王、なかなか良いやつじゃないか、

筆頭従者の方を見ると彼女はうなずいてきた、

俺もうなずき返し、これからのことを考えるのであった。


ここまで読んでいただいて有難うございます。


誤字・脱字などありましたらお知らせください。



感想や評価などあれば今後の励みになります


よろしくお願いします。


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