31話 王都攻防 四
途中から視点が主人公になります。
あっと言う間の決着といっていいだろう、
ほとんどの戦力が先ほどの攻撃で失われてしまった、
ゴステイロとカテジナルは現実に追いつけていないようだ。
「なんなのだ今の攻撃は?」
「ありえない・・・信じられない・・・」
その思いは敵だけでなく味方も感じていた。
「何が起こったのでしょうか?」
「妾にもわからんがあの黒い球体から禍々しい力を感じた。」
テレーゼとミリヤムは判らないながらもあの球体の恐ろしさに気がついていた。
「あれは恐ろしいもの、禁呪の類なのかしら?」
「・・・怖い。」
クリスもリアンナも本能的な恐怖を感じたらしい。
攻撃を命じた亜由美も美奈と美月も驚いていた。
「重力崩壊・・・もしかしてあれはブラックホール?」
「でも、一歩間違えたらこの世界さえ危険なことに・・・」
「会長も恐ろしいねぇ、あんなもの使うなんてぇ。」
可変型ゴーレムに分身を移している正人も攻撃の正体に気がついていた。
(まかり間違ったらこちらの世界も消滅してしまうぞ!)
パスでヨウコに注意するが。
(大丈夫!ミニマムサイズだから数秒で消滅するし、元々擬似だからね。)
涼しい顔である。
結果からすれば抜群の戦果ゆえ文句も言いづらいがすこし自重してもらいたいと思った。
(もう使うなよ!)
そう言うのがやっとである。
その間に敵側に動きがあった、
ゴステイロが自分のそばに置いていて攻撃に巻き込まれなかった超大型巨人に乗り移った。
「このままでは終われん!目に物見せてくれるわ!」
そう言って巨人の胸に手をあて呪文を唱える、
するとゴステイロの体が巨人の中に吸い込まれていく。
{魔人一体化}
どうやら、直接巨人を操り攻撃を仕掛けるらしい。
「あたいもやってやるからね!」
カテジナルが叫ぶ。
彼女が呪文を唱えると自身が光り、彼女自身がヒュドラに変化した、
そしてそばにいた合体ヒュドラにさらに合体する。
{三位一体変化!}
光が薄れた後に現れたのは無数の蛇の頭をもつ巨大なヒュドラ、
いやその下にカテジナルの顔があり蛇の胴体を持つ体があることから、
巨大なメデューサというような怪物が現れた。
「「ぶっ殺してやる!」」
そして進撃を開始する。
亜由美はヨウコがもう一度あれを使うのではないかと思ったが、
「グラビティコアは一度つかったら一日はインターバルが必要だ。」
との答えに安堵した、
だが、そうなるとあの敵を他の方法で止めないといけない、
どうするか逡巡していると美奈が発言した。
「巨人はこちらが倒すわ!{マジックハリケーン}」
美奈がTypeVに命じると両腕から魔力の奔流が迸り巨人を絡めとった、
巨人は魔力の作り出す力場に捉えられ動くことができない。
{グランドスピン!}
その命令にあわせ両の腕を上げて頭の上で合わせると手の部分がドリルの先端に変化する、
そのまま全身を高速回転させていき巨大なドリルと化したTypeVは巨人に先端部から突き刺さった、
そのまま巨人を突き抜けて行く、
そして空中で回転を止めて元の姿に戻った。
「む・無念・・・」 巨人からゴステイロの声がして直後爆砕して行った。
同時に巨大メデューサにも最後が訪れていた、
無数の蛇の頭からブレスを吐いたもののそれを大和と武蔵の障壁が弾いた、
直後に二人から主砲の一斉射を受ける、
さすがに十八門の大口径砲の直撃を防ぐことはできず、
「ぎゃああああああああ」と悲鳴を上げながら粉々に砕かれて行った。
そして、鉄鋼王国側の戦闘も終了したのであった。
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唐突に現れた筆頭従者に連れられてきたメイスフィードとガイザムそれに知らない魔族たち。
メイスフィードはのじゃのことを姉と呼んだみたいだが、
どう見ても反対な気がするんだが。
聞いてみると本当に姉で名前をリリスティア・カルナハスというそうだ。
「改めまして、自分は転生前は野川玄気という名前でござった。」
「私は飯野里佳子という名前だったのじゃ、死んだときには女子高生だったのじゃ。」
女子高生という情報は余計だが、彼らが転生者というのは間違いないようだ。
メイスフィードは姉が転生者であることは知らなかったようで、
「姉様何を?」と疑問顔だ。
運命の再会は良いんだが向こうが気になるんだが。
とりあえず皆に断って向こうを見に行く旨を伝えると、
リアンナ(ギリル)が向こうにいる事を知ったガイザムが向こうについて行きたがり、
かといって戦場のど真ん中に皆を連れて行くわけにもいかないので困っていると、
向こうからしらゆきが通信してきた。
(こちらの敵はすべて倒したよ、そちらはどう?)
(ちょうど良かった、こちらもさっき終わったところだよ。)
返事をして皆にそのことを伝えると、
安堵するこちら側と仲間を失って複雑な表情になる彼らがいた。
なかなか難しいものだ。
とりあえず向こうは王都が酷いことになっているのでこちらで話し合うことになり、
俺は向こうへ一度行くことにした、皆を連れてこなくてはいけないし、
分身も回収しなくてはいけない。
はつゆきをつれて転移した。
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