25話 燃える都
主人公視点ではありません
無慈悲な一撃を王国側は手をこまねいていたわけではない。
通常よりレベルの高い警戒態勢が採られていたのもあり、
上空に強力な魔力反応があるのには早くに気がついていた。
「上空に未確認の魔力反応!」
「警戒レベル1に移行、防壁展開!王都全域に緊急事態宣言を発令しろ!」
直ちに複数の防壁が展開されていき、王都の住人たちはあらかじめ決められた避難場所へ避難していく。
鉄鋼王は多重の防壁が展開されている王宮から指示を出している。
「首都防衛隊は直ちに迎撃体制に移行せよ、勇者方はどこに居られる?」
「テスト場の方に居られるはずです。」
「直ちに連絡せよ、状況のみ伝えるんだ、後はあちらが判断して行動するだろう。」
防衛隊は直ちに上空に対して迎撃の準備をしていく、
魔法部隊に魔力砲部隊が上空をにらみ、ゴーレム部隊も展開している。
飛行型ゴーレムも発進していく。
最初の一撃は商業区の中心に降ってきた、首都を全域カバーする障壁があったが、
その一撃は簡単に突き破り地面に突き刺さった。
その爆発は半径数キロに渡って建物や道路を粉砕した。
火柱が上がる。
それを引き金に地上からの反撃が始まり上空もまた破壊の火花が咲き乱れる。
だが、圧倒的に上空からの攻撃の激しさに地上の障壁は次々に破られていく。
反対に反撃の方はまったく届いていないようだ。
王は王宮地下に作られた戦闘指揮所に入っている、目の前に上空を映す石版がある、
そこには真っ赤なボディを持つドラゴンが多数写っていた。
「あれをどう見る?」
王の質問に、王宮警護の将軍が答える。
「今までの魔獣とは明らかに違います、魔族が召喚したものと推測されます。
あの大きさ、従来のドラゴンよりも非常に強力です。」
「こちらの攻撃はすべて障壁ではじかれており、あちらの損害はほぼゼロであります、
こちらはドラゴンによって各所の障壁が破壊されており被害は算定できないほどです。」
「住民たちの避難を優先させろ、飛行型ゴーレム隊はどうしている?」
「すでに攻撃を開始しております、テスト場に集めている物も投入します。」
「頼む、後は勇者方たちが頼みの綱だ。」
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テスト場では動かせるゴーレムが次々と起動させられていき発進して行った。
ヨウコはNo17のゴーレムのリングを装着している。
「今回は私も戦う、18号は亜由美が動かしてくれ。」
「判ったわ。」
「アレはどうします?」
「Vの方は美奈と美月に頼もう、テレーゼとミリヤムはそのままでやってくれ。」
「「「判りました」」」
マサトは魔力浮遊板で王都上空へ行こうと思っていると隅においてある機体に気がついた。
「これは・・・あいつか!」
技師から起動リングを受け取りその機体に乗って行くことにした。
リアンナとクリスは強力な魔法で支援してもらうことにして魔力浮遊板で向かうことになった。
リイナも砲戦特化型のゴーレムを動かすことになった。
はつゆきたちは全艦兵装を展開して向かう。
すでに、ひゅうがたちは戦闘機を発進させている。
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再び王都上空、三人のうち、レッドドラゴンを召還したルーギシト=ドレスムは配下のドラゴンに
更なる攻撃を命じていた。
そのうちの一頭がブレスを吐くためにタメを作っている、今まさに吐こうとしたときに。
ヒューウゥゥゥゥゥゥゥゥゥンと空気が切り裂かれる音より早く、
赤い光線がドラゴンのどてっぱらを貫き射線上のドラゴンを道連れにしていった。
「なに!」 あわてて光線が来たほうを見ると向かってくる機体が一機。
それは機体の右の側面上に長大な魔導バスターライフルを装着した戦闘機、
その上にはマサトが立っていた。
(お前たちが五傑か?)
「む?我々を知っている?まさか勇者か!」
(だとしたら?)
「知れたこと、返り討ちよ!」
ルーギシトは配下のドラゴンたちにマサトに向かうよう命令して、
自分も魔力を集め攻撃の準備をする。
後の二人は王都に向かってくるヨウコたちに気がついたのか降下していく。
「下のやつらはあたしらがやっとくからそいつは頼んだわよ!」
と言いながらである。
「このドラゴンマスター・ルーギシト様に一人で向かってくるとはな。」
そう言って空中に巨大な魔法陣を出現させる、そこからさらにドラゴンが出てきた。
「ブルードラゴンにウインドドラゴンそしてアースドラゴンだ、さあどうする?」
「そいつらが何であれ、目標は駆逐するのみだ!」
マサトは機上で敵をにらみつけた。
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次回投稿は9月2日19時予定です