23話 スーパーとリアル
「では、スーパータイプはここまでです、次はリアルタイプの方へ。」
技師が言うと、亜由美たちは目を丸くした。
「まだ、あるんですか?」
「ええ、ヨウコ殿に依頼されたのはスーパータイプとリアルタイプという二種類のゴーレムですので。」
「はあ。」
彼女たちはため息をついて俺の方を見る。
「さっきから思ってたけど知ってたのね。」
「ああ、以前計画書を偶然見たからな。」
まあ、コリントでも試作機が役には立っていたから、防衛用には役に立つんではないかな?
「元々この計画は数年前から進められていたんだ。」
ヨウコが解説してくれる。
「この世界が崩壊しないように、私は魔法使いの部隊を作ろうとしていたのだが、
もちろんそれだけで戦力が足りるとは思わなかったからな、
こちらの連合軍結成とゴーレム部隊を使って魔獣を倒させようとしたんだ。」
「正直、正人たちが参加してくれたので戦力は十分だったけどな。」
そう言ってはつゆきたちのほうを見る。
ちなみにはつゆきたちは余り面白くはないようだ。
なぜならこのゴーレムたちの元ネタ世界では彼女たちは単なるやられ役だったりが多いので、
知っている彼女たちが面白いわけがないのだ。
「引き立て役扱い面白くない。」
俺は彼女たちをなだめて、次のブースへ行く。
こちらからは俗に言うリアルタイプのエリアだ。
今回はなかなか再現度が高い。
ちゃんと背中についてるよ。
「今回はランドセルは標準装備だ。」
どや顔でヨウコが言う。
「あのーランドセルではなくスラスターパックという名前がありますが。」
「お約束だからいいの!」
勝手に名前つけたらだめだろ。
ちなみに、スラスターパックのおかげで、宇宙で使用する道が開けたのだ。
「これはまたすごいですね。」
こちらのブースには同型の機体がずらっと並んでいる、
いわゆる「量産機」である。
「コリントで使用した試作機を元に量産ラインに乗せた物です、
各国の主要地域に配属される予定です。」
大型魔獣対策用だそうだ。
「そしてこちらにはスペシャル機体も用意してます。」
「うんうん、やはり専用機がないとね。」
まあ、高性能機があってもいいけどさ、赤にしたり角をつけたりとかはどうなんだ?
「それは当然つけられるものだからな、常識だ。」
皆の目線があきれからあきらめの視線に変わるのが感じられる。
技師さんがそんな雰囲気を察したか、ある提案をする。
「あちらの起動実験場でゴーレムの稼動実験をしております、
良ければ操作などして見ませんか?」
「おもしろそう、行きましょう!」
「うん、ゴーレムなど見るのは初めてですから。」
「妾もうごかせるかのう?」
リアンナやテレーゼ、ミリヤムは乗り気である。
亜由美たちもここに居るよりはいいと思ったらしい。
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実験場にはスーパータイプとリアルタイプ両方が稼動していた。
スーパータイプはスフィンクスをモデルにしているアレだ。
リアルタイプは装備を換装することができるタイプだ、空戦用の装備をしている。
腕輪を渡されて動かすのはテレーゼとミリヤムだ。
ヨウコが操作法を教えている。
「腕輪にむかってやって欲しいことをしゃべるんだ。」
「ええと、的を砕け!」
テレーゼが命じるとスーパタイプゴーレムは「グウワンン」を言う唸りを上げて的に向かい拳を振り上げて打ち砕いた。
「じゃあ、あの的を射ぬけ!」
ミリヤムが叫ぶと、リアルタイプゴーレムは手に持った魔導ライフルを構えて発射した、
的の中心部から吹き飛んだ!
「すごい!」
「これがあれば戦力の底上げになるだろう、ロールアウトした物から、
各国に送ってもらわなくては。」
ヨウコがそう言っていると。
ドガアァァァァァァァァァァァン!!
地響きと共に火柱が上がった、場所はこの国の首都シューパロだ。
俺たちは呆然とその光景を見ていた。
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