閑話8 王宮メイドは見た! 四
やっと終わりです。
次回は本編に戻ります。
それは朝唐突に起こりました。マサト様の部屋から激しい物音で、
みんなが廊下に出てきました。
それで知ったのが王女様と巫女様が亜由美さんと美奈さんに化けて、
マサト様の部屋に忍んで行ったことです。
そこで何が行われたのか・・・
きっと「アレ」なんでしょう・・・
私は経験してないので想像の世界なのですが、
メイド仲間の話に出てくることなのだと思います。
朝になって正体のばれた二人にマサト様が怒ってではありませんでした。
はつゆきさんと、しらゆきさんが王女さまと巫女様を消そうとしたのだとか。
なぜそんな恐ろしいことをとそのときは思ったのですが、
彼女たちは「精霊」としてマサト様のことを第一に考えています。
そんな彼女たちにとっては二人は邪魔者・・・いえ危険な存在と捉えたのだと、
美月さんに後で聞いた話です。
何とかその場はマサト様が抑えて事なきは得ましたが・・・
その後みんなで話し合いが持たれて、このことはなかったことにされました。
王国側、特に貴族の方にばれたら非常にまずいことになるそうです。
このことを知っているのは、王女の側近のブリジットさんとその場に居た私だけです。
なんか責任重大な気がしてきました。
その為に私は王女様専属のメイドに所属が変わりました。
またお給金が上がった・・・そこは嬉しいです。
役目は、王女様と勇者様たちの間でお世話をする係りで、
連絡役も兼任となっています。
なので、両方を行ったりきたりしています。
そういえば、巫女さまが部屋に閉じこもる事件がありましたが、
マサト様があっという間に解決してしまいました。
どうやって解決したのか教えてもらえませんでしたが、
巫女様はそれからものすごい勢いで仕事を進められ、
ついに「ロケット」の打ち上げに成功します。
これで、この世界が救われる第一歩になるそうです。
ロケットの打ち上げはすごかったです、あんな大きなものが空に飛んでいくなんて・・・
そして、森大陸にある森林神聖同盟の反乱の後始末に軍が出動することになり、
勇者様たちも同行します。
途中の海上での魔獣の掃討も目的だそうです。
また、お留守番の私は、少しさびしい気持ちになったのでした。
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そうしていると、王女様に反発する貴族たちが反乱を起こしました。
勇者様たちが出払ったところで起こすなんて・・・
首謀者はブロサール元公爵たちです、シュルテンの森に集まり王都を目指すとの事です、
王女様にお味方する者たちは少なく、いま王都には軍もほとんど残っていません。
むざむざと攻められるのでしょうか?
お味方の方たちも同じ考えのようで王女様に相談しています。
しかし、王女様は落ち着いて問題ないとおっしゃいます。
そしてそのお言葉はすぐに現実のものとなりました。
森を隠れていた兵とマサト様の精霊たちが包囲してしまいました。
そして、反乱軍は崩壊し、貴族たちはすべて討ち取られ、
王女様の政権が確立しました。
テレーゼ姉さまたちを敵視する貴族たちが居なくなったので、
獣王国との連携もうまくいくでしょう。
そして、マサト様はこの反乱の鎮圧に功があったとして、
勲章をもらいました。
これで、正当に評価を受けることができるようになりました。
そしてこのころから王宮であるうわさが進行していました。
王女様とマサト様が親密であるといううわさです。
お互いに公式には何も言っていないのであくまでもうわさなのです。
私は知っているのでおかしく思いましたが、
こうして段々とお近づきになることで自然な流れにしたいようです。
「知ってる?王女様とマサト様のこと?」
「ええ、この間中庭の回廊で仲良く並んで歩いていたんでしょ。」
「ちがう、ちがう、親しげに腕を腰に回して歩いてたのよ。」
「ええーホンとに?」
メイド仲間の話題にもたびたび上がってきています。
当然、この話が城外に漏れないわけがありません。
この話は王都でもうわさになっているでしょう。
「リィリィは知ってるんじゃないの?お側付きなんだし。」
同僚の視線が集まります。
こういうときは強烈に否定しても肯定してぺらぺらとしゃべっても良くないです、
なので・・・
「そうね、王女様もお忙しいので少し時間が空いたときには、
お呼びしたり、伺ったりしてるわね、お茶とか散歩だけど。」
「やっぱりね、物語みたいに勇者と王女って結ばれるものなのね。」
本当はもっと先に進んでるんです、皆さん黙っててすいません。
時々ですが、夜に王女様の所にマサト様が忍んで行かれてるのは、
知っています。
知られないように転移を使ってですけど。
もちろん、亜由美さんたちは承知しています。
最初に排除しようとしたはつゆきさんたちももう反対していないですし。
彼女たちはマサト様が困らないのであればいいということらしいです。
そして反乱が治まったところでまた皆さんは森大陸に向かいました、
転移魔法を使ってなので一瞬です。
マサト様は転移を魔法陣無しでどんな遠くからでもできるので、
向こうに行っていても時々帰ってきています。
今日も王女様に会う日なのかこちらでお茶を飲んでいます。
「リィリィの入れてくれるお茶はいつもおいしいね。」なんて言ってます。
もう、そんなこと言って本気になっちゃいますよ。
玉の輿・・・あきらめてないですからね。
ここまで読んでいただいて有難うございます。
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