閑話5 王宮メイドは見た! 一
主人公視点ではありません
私の名前はリィリィ、ルアン王国の王宮で内宮メイドをしています。
私のような田舎の農家出身者が王宮でメイドなんて本当に幸運な部類に入ります。
もともと年齢が足りなくて商業ギルドに入れず、民間の口入屋に行ったのが、
運命の分かれ目だったのでしょうか?
そこで、王宮の外宮メイドの募集を知りました、
外宮のメイドは本当の下働きで、民間のメイドより条件は良くないです。
でも住み込みで寮は完備してるので安定はしています。
そこで、面接に行くことにしました、そこで私は第一の出会いをしました。
それがテレーゼ姉様です、彼女も辺境から仕事を求めてきたそうです。
二人して面接に行き、合格して、二人で指定の寮に入ったときも、
同室になり、一緒に仕事をすることになりました。
「リィリィ、これからもよろしくね。」
そう言って色々判らない事を教えてもらいました。
姉さまは私から見ても美人です、
そして礼儀作法も完璧で辺境出身なんて信じられません。
「辺境だから、少し王宮とは作法が違うみたいだけどね、
覚えておくと便利だからリィリィも覚えておくといいよ。」
そして、寮で礼儀作法を教えてもらいました。
姉さまが獣人だと知ったのはこの頃です、
姉さまが湯浴みの時や髪を洗う時に人に見られないようにしていたので
恥ずかしいからなのかなと思ってましたけど、
偶然耳を見てしまいました、
姉さまは見つかった時、さびしげにわらって「もうここに居られないね。」と、
言いました。
獣人はルアン王国ではあまり見かけません、
商いに来る商人や、冒険者、獣王国の使いの人たちくらいです。
貴族様たちの中に獣人を敵視する者たちが居て、獣人も来ないし、
迫害されるのを恐れて住み着かないとの事です。
王宮などでは、当然雇ってはもらえません、姉さまはそれを隠して来ていたのです。
私はとっさに、「私は見ていません、姉さまも気にしないで!」と言いました。
私は姉さまはとても良い方だし、獣人の人たちが悪いなんて思いません。
そう言うと、姉さまは「ありがとう」って抱きしめてくれました。
あの時から私たちは本当の友達になれたのかもしれません。
それからしばらくして、この国に勇者様たちが神によって召喚されることが、
知らされました、大量に発生する魔獣や今から起こるさらに恐ろしい事に、
神が遣わされた救世主なのだそうです。
そして、それが私たちの運命を変えることになるなんて。
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内宮に勤務換えになることが決まりました、
勇者様たちのお世話をするメイドが足らないのでその補充だそうです。
礼儀作法が出来ているものから十名と聞いて、
姉さまに習っていて良かったと思いました。
待遇もものすごく良くなりお給料も・・・実家に仕送りが増やせます。
寮は空いてなかったので今までどおりですけどね。
姉さまが一緒だからいいんです。
そして、勇者様方が到着しました。
神の巫女さまと共に来られた方たちを始めてみたのは、
王女さまに謁見する前に廊下で並んでお待ちしていた時の事です。
驚いたのは勇者様たちは女性の方が多く男の方は二人しかおられませんでした。
一人の方は少し年を召されてましたが、武人のようなたたずまいの方です。
もう一人の方は若く優しげな方に見えました。
(姉さま、あの若い方は少し、素敵じゃありませんか?)
(あら?リィリィはあの方が好みなのね?)
そんな・・・相手にはされないと思いますけど。
その日の午後、事件は起こりました、私は勇者様たちのお部屋で、
皆さんの荷物の整理のお手伝いをしておりました、
すると、部屋の前の廊下をバタバタと走る音、
「逃がすな!」 「こっちだ!」と叫ぶ声。
部屋に居る勇者の皆さんは直ちに臨戦態勢で廊下に出られました、
事情を聞くと、獣人のスパイが侵入したとの事、
まさか! 悪い予感がしました。
走っていこうとすると、亜由美さんという勇者の一人に止められました。
「危ないよ!部屋にいて!」
そして・・・知ったのはテレーゼ姉さまが追われて、
勇者の一人マサト様の部屋に逃げ込み、マサト様を道連れに、
転移してしまったという事です。
私は、それを聞いたとき気が遠くなってしまって倒れてしまいました。
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気が付いたときには、勇者さまのベッドで寝かされていました。
「すいません、ご迷惑をおかけして。」
「いいのよ、テレーゼさんがあんな事になったんだから。」
そこで、なぜテレーゼ姉さまが獣人とばれたのか知ったのです。
「貴族が・・・」
「そう、テレーゼは獣人というだけでスパイじゃないと思うの、
追われたから逃げただけ、でもマサトまで一緒に。」
私は目の前が真っ暗になった気がしました。
「でもね、二人とも無事にしているみたい、さっき連絡があったんだ。」
マサト様から獣王国に転移したけど二人とも無事と連絡があったと聞いて、
私も、すっかり元気になりました。
早く、こちらに帰ってきて欲しいです。
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