20話 ミリシャの嵐 二
俺たちは場所を変えて闘技場に来ている。
さすがに傭兵の国だけあって、闘技場は獣王国並、いやそれ以上かも知れない。
こちらの陣営にはヨウコ、はつゆき、リアンナ、クリスが居る、
他の皆は観客席で兵士たちに囲まれている。
リイナは公王に詰め寄っている。
「おじ様、マサトさんたちに失礼です、やめてください。」
「私は、自分の目やこの手で確かめないと信じないたちなんだよ、
お前がついていくに足りるか確かめさせてもらうだけだ。」
これは、戦わないとだめなパターンだな。
「時間が惜しいのに困ったものだ、後で王女から抗議してもらうから。」
ヨウコもかなり怒ってるようだ。
(その気になればみんな切り捨てるけど?)
はつゆきが物騒なことを言ってくる、
まあ囲まれてる彼女たちもその気になれば皆倒すだけの力はあるからな。
というわけで却下だ。
俺はリングに魔力を流し戦闘防護服を着装する。
「グリーゼ殿!偽装したままで戦う気ですかな?」
公王・・・勘違いしたままだ。
「どういう風に聞いておられるか判りませんが、この姿が自分の本当の姿ですから。」
そして、ステージに立つ。
「ならば、そのまま打ち倒してくれる。」
公王も立ち構える。
開始の旗が振られ、バトルが始まる。
公王はいきなり腰のホルスターの銃を抜き発射する、
ダンッ!ダンッ!ダンッ! ダンッ!ダンッ!ダンッ!
しかも、両手拳銃で接近戦!ガン=カタかよ!
銃は魔力銃なので、魔力が尽きない限りリロードの必要は無い。
つまりは撃たれ放題である。
こちらは、機動複合防壁を展開しつつドリルトルネードランスを打ち込んでいく、
しかし、さすがに虎獣人の反応速度に追いつけていない。
向こうは三点バーストで撃ってきている、しかも同じ場所に集弾してくるために、
防壁が持たない、あっという間に砕けてしまう。
防壁を出しつつ、地面に手を当てて魔法を使う、
公王の足元の地面から石の礫が飛び出し襲う、
公王は飛びすさって反撃しようとするが、
避け切れないものは銃のグリップで叩き落すか、
足技で蹴散らしていく。
「やるではないか、本来の力が出せなくても勝てると思ったか?」
いや、こっちが本来の姿だから・・・
身体強化で地面を蹴り一気に肉薄する、スーツのナックルガードを発動させて、
零距離で打ち込む、が銃ではじかれ、逆に銃口を向けられる、
銃口をたたき逸らす、銃弾は地面を叩いた。
直後回し蹴りが入ってきた、受け止めるがウエイト差で飛ばされる。
追撃の銃撃を障壁でいなしながら距離を取る。
「面白い、さすが獣王が認めたことはあるな、だが!」
タンッ!と飛んだと思った瞬間に姿が消え、直後に背後に気配がした。
「もらった!」 ダダダダダダン!
連射が襲ってきた、防壁も間に合わないので気配と同時に前に飛び魔力を放出して防ぐ、
しかし完全に魔力弾の威力を相殺しきれず、ダメージが来る。
「痛つっ、やってくれるな。」
そのまま、蒼い魔力をまとって突っ込む、
連射してくるが、すべて魔力の壁ではじき肉薄し銃を叩き落して拳を腹に叩き込む、
「ガハッ!」くの字に体を折り悶える公王、
さらに足を踏み出して半回転し背中からぶつかって吹き飛ばす。
公王の巨体は数メートル吹っ飛んだ。
しかし、さすがにバトルジャンキーはタフである、すぐに立ち上がり今度は無手で構えた。
「魔法も格闘も一流か、リイナを託すに値するか。」
判ったらやめて欲しいが。
「ここまできたのだ、決着をつけようぞ!」
ダンッと飛び、爪を振りかざし腕で薙ぐ。
掠めた頬に五本の筋の傷ができる。
俺は、その腕を取り、相手の勢いを利用して背後を取る。
そして、電撃を叩き込む、 バリバリバリバリバリッ!
全身の毛、耳の先から尻尾の先の毛を逆立たせ、薄く煙を吹きながら公王は倒れた。
俺の勝ちだな、でもバトルもいい加減にしてもらいたいもんだ。
結構痛いし。
ここまで読んでいただいて有難うございます。
誤字・脱字などありましたらお知らせください。
感想評価等もよろしくお願いします。
次回投稿予定は8月18日19時の予定です