閑話4 幼女神の野望
時間的にはハーミットから帰ってミリシャに行く間の話になります。
転移で時々ルアンや獣王国へ帰ってます。
ノックの音が響く、返事はない。
「入るぞ。」
そう言って俺は、ドアを開ける、鍵はかかっているのだが、
鍵のところの金属板に魔力を流すと特定の魔力の人物のみ反応し鍵が開く仕組みだ。
そして部屋に入る、どうやら出かけているようだ、
時間は間違っていないからそろそろ帰ってくるはずである、
どうしたものかと思ったが、ふと机の上にファイルがあるのに気が付いた。
表紙には「Project V」 と記されている。
なぜか猛烈にいやな予感がした。
恐る恐る手に取りページをめくる、そこに書かれている物を一目見て、
俺は恐るべき計画の進行を知ることになった。
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「お待たせー」
ドアが開いて部屋の主が帰ってきた、その間に俺はファイルの大概は読み終えていた。
「いやー王女とリィリィに捕まっちゃって、なかなか離してくれなくて・・・ん?
どうしたの?」
俺は無言でファイルを持ち差し出す。
「あちゃー見られたか・・・もう少ししたら見せようと思ったんだけど・・・」
「何で宇宙関連の開発に熱心なのか不思議には思ってたけど、
まさかこいつのためだったとは。」
「いやーやはりお約束じゃない、人型が宇宙で活躍するのは。」
「剣と魔法の世界ではありえないと思うんだがな。」
「常識にとらわれてるねー今まで無いから今後も無いなんて事は無いよ。」
「まあ、すでにこの世界も大概な感じになってるからな。」
ファンタジー世界なのに車は行きかってるわ、飛行機も試験飛行が始まってるし、
鉄道もである、しかもいきなりリニアなんてなにそれ高ハードルと思ったけど、
魔法を使えば動力の問題も解決するし安全クリーンなんだそうだ。
後は魔力を調達する事だけど、自然に存在する魔素を集めて魔力石に貯める装置を、
開発したので、急激に普及したのだ、当然仕掛け人はヨウコである。
「便利で安全で環境にもやさしかったら導入するメリットは大きいと思うけど。」
「うむむむ。」
珍しく正論で攻めてくるヨウコに俺は反論が出来ない。
「だから、開発を加速させているんだよ、
もちろん先に世界の歪みを直すほうが先だけど、
制御用の杭も完成してるし後は打ち込む場所を衛星で確認して、
打ち込む機械を鉄鋼王国から受け取れば準備完了だからね。」
「・・・・・・」
「人型の改良も鉄鋼王国で進んでるから機械を取りに行く時に見れるかな。」
「手回しがいいな。」
「もちろん、他の神のちょっかいがなければもっと早くできたんだ、
それよりも、ねえそろそろ・・・」
そうして、彼女は俺の肩に手を回し潤んだ目でこちらを見る、
俺は彼女の背中に手を回してこちらに引き寄せキスをする。
「固定化の魔法は覚えたのか?」
「それは・・・実際に確かめてみて・・・」
俺は、セーフハウスのドアを出現させて開けた。
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結果からいうと、固定化の習得度はまだまだのようだ。
前よりはましだが。
まあ、ダメージが少なくなることはよい事だ。
終わった後話すのは神の元に送った二人のことだ、
あれから音沙汰がないが、どうなったのだろうか?
黒幕の神たちのことがわかったのか非常に気になる。
援軍を送ってこられても困るしな。
「魔族たちは当然援軍を要請しているだろう、そちらの備えもしなくては。」
「直接攻撃か要人狙いか判らんのが面倒だな。」
早いところ上級神たちが黒幕たちを捕まえるのを期待したい。
「あの二人はどうなるんだろうか?」
「協力的なら師匠がどうにかしてくれると信じたい、
できればこちらの世界に引き取ってもいいし。」
「いいのか?」
「決めるのは私でなくこの世界の住人だ、王女や獣王、他の国の首脳の許可もいるしな。」
「リアンナ(ギリル)のためにもそうなってほしいものだけどな。」
俺はそう言ってヨウコの頭をなでてやるのであった。
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