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14話 クリストフェル

 時間はリアンナと魔将たちが戦いを始める前にさかのぼる。

俺が召還したのは防御力に優れた彼女たち、大和と武蔵だ。


「結界を最大出力で構築!世界樹を護れ!」


「「了解!」」


重厚な結界が世界樹を囲んでいく、エルフたちの攻撃に対してやっと一息つけた。

だが、クリストフェルらの攻撃はますます苛烈になっていく。


(彼らは魔力が枯渇しないのか?)


(ここは里の中、世界樹の結界の中だ、この中ではエルフ・・・ハイエルフたちは、

世界樹から魔力の供給を受けられる、魔力切れにはならない。)


ヨウコの答えに俺は戦術の転換を考えた、

護りに回っては押し切られる可能性が出てきたからだ。


(護りに回っては結界は持たない、はつゆき、しらゆきは俺に続け!)


(彼等を無力化する、死なないようにするんだ。)


((わかった!))


はつゆきは神剣(天羽々斬)を構えエルフたちに肉薄した、

剣を一閃する、崩れ、倒れるエルフたち。

「峰打ちよ。」


パリパリパリパリッ 軽快な発射音が辺りにこだまする、

ミニミを構えて発射しているのはしらゆきである、

弾は麻痺属性のスタンブリットを使っている。


俺は、クリストフェルに向き合っている、彼の攻撃は他の者たちよりも桁違いに強力だ。

せめてそれをこちらに向けさせなくては、

ドリルトルネードランスを連続して打ち込んでいく、

微妙に狙いをはずしているので命中はしないはずだ、

彼はそれを障壁で防ぎ弾いていく、流石に強い。


こちらに反撃の一撃が来た、属性の無い魔力の奔流、まるでドラゴンのブレスのようだ。

機動複合防壁で受けるが、一枚目は簡単に砕けてしまった。

あわてて、二枚目三枚目で受けて防ぐ。


これは容易な相手ではない、しかも魔力枯渇が無いのでは条件は一緒。

こちらに向こうを倒す事が出来ないのではこちらが不利である。

せめて、拘束してしまえれば・・・


魔法マジックポーチから、紙束を取り出し投げつける、束はほぐれて散らばっていく、


魔法を発動{拘束旋風陣}紙片に魔法陣が浮かび、クリストフェルの周りを旋回していく、

そして一気にまとわりつき拘束すると思われた時、

{火計陣}クリストフェルの全身から炎が噴き出して紙片を焼き尽くした。

まさか、対抗策を使ってくるとは。


さらに炎の弾丸が襲ってくる、この威力では複合機動防壁は砕けるだろう。

俺は防壁の一番外側にさらに白い防壁を出現させる。

炎の弾丸が防壁に命中すると白い防壁が爆発し、

爆風が弾丸を放ったクリストフェルに向った、それを彼は後ろに飛んで回避した。


爆発した白い防壁は爆発反応防壁だ、

表層が砕けた時、反発しあう属性が混ざり合って爆発する事で、下の防壁を護る仕掛けだ。


向こうもこれでうかつに攻撃できないだろう。


しかし、事態の打開には程遠い状況だ、

ちらりと見ると、はつゆきたちは、かなりのエルフたちを無力化していっている。

大和たちの防壁も健在だ。


リアンナは・・・魔族の従者を倒したようだ。

魔族は今からか。


もう少し時間を稼がないといけない。


クリストフェル一人残しても彼の力なら大和たちの結界も持たないかも知れないし、

倒す事が禁じられている状況では、はつゆきたちの加勢も効果がないだろう。


ではどうするか?


ふと、あることが閃いた。


そして、実行に移す。


「来たよーって、何これ?里がめちゃくちゃじゃない!」


俺が呼んだのは精霊ドライアドだ。


森にいたので事態に気が付かなかったらしい。

簡単に説明して、協力を求めた。


「いいよー、世界樹が無くなったら、こちらも困るもんね。」


そして、ドライアドは命じる。


{蔦よ、目標を拘束せよ}


地面から太い蔦の木が伸びクリストフェルを拘束する。


クリストフェルは拘束をはがそうと必死に暴れるが、

蔦はがっちりとホールドしている。


(やはりエルフの弱点は身体能力か。)


魔法に長けた種族であるエルフは体力に関しては一番低いのである。

あの蔦なら、グリーゼならば力任せでも千切れるし、

俺のままでも身体強化すれば出来るだろう。

だが、クリストフェルは拘束から抜け出せないで居る。


俺は地面から電撃を送り込む、死なない程度に。


拘束されたまま気絶したようだ。


「助かったよ、ありがとう」


「どういたしまして、お礼は魔力でね。」


そのくらいはお安い御用だ。



亜由美が俺に声を掛けてくる。


「リアンナが!」


見るとリアンナが魔法を発動し光っている。


「大丈夫だ、彼女にはギリルが付いているから成功するさ。」


そう答える、そして九尾に変身したリアンナが魔将を倒した時、

傀儡の魔法が解けたようだ。


攻撃していたエルフたちがばたばたと倒れていく。

支配から逃れたためだろう。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


火事を消したり、けが人を治療したりで後片付けをしていたが、

やっと一段落付いたようだ。


クリストフェルらは手当てを受けている。

支配され、無理やりに魔法を使わされていたので消耗しているそうだ。


長が俺たちに頭を下げている。


「里を救ってくださり、皆死なせる事も無く助けていただいた、ありがとうございます。」


難易度は高かったけどな。


「先だってのことについても謝罪いたします、神様かんりにんに対しての無礼に関しても。」


「そう言ってもらえるという事は世界の修復に協力してもらえるということか?」


「もちろんです、世界樹の力で出来るのでしたら協力させていただきます。」


なんか、えらく気前が良くなった気がする。


(それだけクリストフェルが大事だったんだろう。)


ヨウコがパスで伝えてくる。


なるほど。


しばらく雑談などをしていると、ノックがして扉から入ってくる人物がいた。


彼女は金の髪を腰まで伸ばしている、

束ねておらずさらさらと風になびく髪。

肌に密着した薄手の服が彼女のスタイルの良さをアピールしている。


「長、クリステル参りました。」


声も心地よい質で、思わず見とれてしまった。


(ガン見してるんじゃないの!)


ヨウコに怒られた、なぜだ?


彼女はこちらに向き直り一礼してしゃべった。


「先ほどは失礼しました、私の名はクリステル・ヴィルタネンです、

ですがこちらの名前の方ならご存知でしょう、

クリストフェル・ヴィルタネンという名前なら。」


彼女は大変な爆弾を落としたのかもしれない。



ここまで読んでいただいて有難うございます。


誤字・脱字などありましたらお知らせください。



感想評価等もよろしくお願いします。


次回投稿予定は8月6日19時予定です


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