12話 支配
一部主人公視点でない部分があります。
皆外に出ると、町の至るところに火柱があがり、住居が燃えている。
何があった?
「長!クリストフェル殿が謀反です!」
「そんな、馬鹿な!なぜそんな事を。」
「傀儡だ。」
リアンナのつぶやきはそこに居た者たちに明確に届いた。
「傀儡?洗脳の魔法なの?」
亜由美が聞くと、
「ある魔将の固有魔法だ、洗脳に近いが、洗脳を解いても支配は残る、
魔将の命令には逆らえない。」
長の顔色が一気に土気色になった。
「なんということだ、このままでは世界樹までやられてしまう、
防衛隊はどうしたのだ?」
「半数がクリストフェル様についてしまいました。」
「そんな馬鹿な!彼らも傀儡に?」
「そうですよ、お馬鹿さんたち。」
上空から声がした、見ると魔族らしき者が従者を従えて浮いていた。
「魔将マルクラージ、あいつが傀儡の魔法使いだ。」
リアンナが睨みつけながら言う。
「傀儡の魔法の解除は術者を倒さないと実質不可能だ、奴は、私が倒す。」
リアンナはそういうと、リングに魔力を込める、「着装」
リアンナの戦闘防護服は銀色の鎧武者タイプである。
魔力浮遊板に乗ると一気に魔将の所まで行く、
「マルクラージ、ここで貴様を倒す、覚悟しろ。」
「おやおや、この世界の獣人風情が私を倒すですか?面白いですね。」
上空で戦いの火蓋が切られた時、俺たちは反乱を起こしたクリストフェルらと対峙していた。
「クリストフェル・・・」
長が悲痛な声を上げる。
「すいません、長よ、私たちを討ち取ってください、魔将の命令に逆らえない以上、
このままで行けば里はおろか世界樹までも破壊してしまうでしょう、
その前に、我々を・・・」
「そのような事が出来るわけがなかろう!」
「ですが、このままでは。」
悲痛な顔をしながら彼は魔法を放ち家々を焼いていく、どうやら精神はともかく、
完全にコントロールは奪われているらしい。
「このままでは世界樹がやられてしまう、止めるんだ。」
ヨウコが結界を張りながら言う。
世界樹に対しては、結界でなんとか防いでいるがこのまま彼らの攻撃が続けば持たないだろう。
それだけ、クリストフェルと防衛隊のエルフたちの魔法は強い。
だが、彼らを倒せといわれれば、我々なら倒せるだろう。
「ヨウコ殿なんとか彼らを殺さないで欲しい!」
長がヨウコに頼んでいるが、殺さずに無力化はこれだけの相手には難しいだろう。
(殺さずになんとか出来るか?)ヨウコが聞いてくる。
(魔将をリアンナが倒すまで防御に徹すればなんとかなるだろう。)
俺はそう答える。
(リアンナ一人で大丈夫なのか?)
(彼女はギリルでもある、それにリアンナの本当の力があればあの魔将は問題ない。)
(そ、そうなのか?)
(ああ、だから奴らの攻撃を防ぎ足止めするぞ。)
(わ、判った。)
俺は世界樹の前に立ちカードを取り出す。
出すのは防御力に優れた彼女たちだ。
「頼むぞ!」
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上空では、魔将たちと、リアンナが対峙している。
「まずはお手並み拝見かな?」
魔将マルクラージは、従者たちに目くばせをする。
従者たちは手に得物を持ち、リアンナに肉薄した。
「「「切り裂かれろ!」」」
だが、リアンナはその突進をかわして、魔法を放った、{刻槍}と呼ばれる魔法だ。
複数の漆黒の槍が現れ従者へと飛んでいく、彼らは避けようと迎撃するが、
受け止めたはずの得物は折れ、槍は寸分狂い無く、従者たちに突き刺さり倒した。
「むぅう、その魔法、魔人族の魔法ではないか、どこでそんなものを!」
「死に行くものが知っても意味が無い。」
リアンナはそう言って、魔将に向って構えを取るのであった。
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