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10話 森の精霊

 俺たちは森の外縁部にある、町に着いた。

日は落ちて辺りは闇が支配する時間だ。

今日はこの町で一泊する予定である。


まず、宿屋へ行く。


「いらっしゃいませ、迷い家の町へようこそ。」


受付の人にそう言われた。

この町は迷い家という名前らしい。


「門前宿、迷宮への誘いをご利用いただき有難うございます。」


なんか、森で迷う事を前提にするような名前が続くなあ。

みんなを見ると、同じ思いであったようだ。


案内役のリイナさんが、耳打ちしてくれる、

とうでもいいけど耳に息を吹きかけたり、

甘噛みするのはやめて欲しい。


獣人だったら、大変な事になるぞ。


「ふぇ!そのようなふしだらなことではなくデスね、

この森がほんとに中に分け入る人を迷わすので、この街が出来たのですよ。」


顔を真っ赤にして首をぶんぶん否定に振って、リイナさんは解説した。


「いざという時にはこの町の冒険者ギルドの者が捜索隊を出してくれます。」


なるほど、便利なんだな。


だが、リイナさんは止まらない、ふしだらなことは否定しているのだが、

その言葉や態度とは裏腹に、彼女の攻撃は止まない。

いつの間にか体を密着させてあててんのよ状態なのは耳打ちのためだとは思いたいが、

俺の左手を自分の危ないところに誘導するのはいかがなものだろうか?

さっきから引き離そうとするのだが、思ったより腕力があるのかびくともしない。

流石に獣人でクラス1の冒険者の事だけはあると感心していたら。


ガチャッ!


「そろそろ離れていただきましょうか?」


リイナさんの頭にゴリッと音が聞こえ黒い銃口が当たっている。


「あ、あの当たってるんですけど(銃口が)」


「あててんのよ。」


答えたのはしらゆきである。


見ると、ミニミの安全装置を解除してリイナさんの頭に銃口を押し当てている。

「撃たれるのと、切られるのと、カッターで真っ二つと、槍で串刺しと、鎌で首狩とどれがいい?」


見ると、後ろには、各自得物を用意している彼女たちの姿が。


「追加、地獄の業火で焼かれるのと、雷撃で消し炭も入れといてね。」


ミリヤムやリアンナまでも・・・


「ふえぇぇぇ・・・」


リイナさんはへなへなと床に崩れ落ちると、「キュウゥウウ」と目を回してしまった。


その彼女をしらゆきとはつゆきが抱えて連れて行く、

部屋に放り込むんですね、朝までゆっくり寝ていてもらいましょう。

美月がなにやらクスリらしきものを盛っていたがスルーした。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「まったく、油断も隙もない。」


ヨウコ・・・お前は言うな。


食事を先に済ませて、水資源が豊富なのか立派なお風呂に入って、

まったりとするつもりだったのだが、

なぜか露天風呂にみんなで入っている。

混浴だったのか・・・

貸切状態だったので、みんな大胆なのだが、

潜って接近なんてどこのお子様だ、

俺はヨウコをつまみあげた。


「何をしている?」


「何ってナニですよ・・・」目が泳いでいる。

非常にダメージの来る幼女モードのヨウコにデコピンをかましてやる。


「あ痛っ!」


おでこを抑えてうなっているのを放っておいて風呂から上がることにした。


部屋に戻ると、はつゆきがついてきた、今日は彼女の日である。

俺はセーフハウスのドアを開けて一緒に入る、

最近はそういうことが多い、乱入者対策もあるし、寝込みを襲われても困るからね。


中でのことは誰に対しても秘密である。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


朝になり全員出立準備が終っている、

リイナさんは・・・居るな、良く寝たせいか元気そうである。


「マサトさん、おはようございます、昨日はご迷惑をおかけしました、

気をつけますので今日もよろしくお願いします。」


うん、反省して何よりといいたいが、その言葉をつむぎながら、

俺の手に自分の手を絡めてくるのは不味いんじゃないか?

ほんとに蜂の巣にされても知らんぞ。


町を出て森の入り口に行く、入り口は少しだけ道があるがその先は木が生い茂ってて、

近寄る事さえ出来ない。


「ここからは切り開けってか?」


まあ迷わないためには伐採して進むのもありかなと思うと、

リイナさんがすっ飛んできた。


「だめですよ、ここの森の木を勝手に切ると精霊ドライアドが怒ります、

怒らせると、森で迷うどころか命も落としますよ。」


じゃあどうするんだ?


「えーっと、確か魔力は沢山お持ちですよね?通行料代わりに、

精霊ドライアドにあげれば大丈夫ですよ。」


そうして、彼女は、精霊を呼び出す。


「なにか、呼んだ?」


緑色の髪を持つ、幼女がいきなり現れた。

その方面の趣味ロリコンならばひゃっほうなのだが、

俺は日ごろの事もあり地味にダメージを受けている。


「あー道を空けて欲しいのか、エルフの里までね、

魔力は用意しているんだろうね?」


そこで俺が前に出ると、幼女は値踏みするように見ていたが、

いきなり喜色を浮かべると、飛び着いてきた。


「いい、魔力ごはん持ってますね、いただきまーす。」


そう言って唇に吸い付くと、ものすごい勢いで魔力がなくなって行く。


ちょうど半分くらいで限界が来たのか吸えなくなったらしい。


「はぁはぁ、なんて魔力ごはんのおいしい方なんでしょうか?」


魔力の持ちすぎでしょう?


「じゃあ、道を開きます、{森よ、我が声に答え道を示したまえ。}」


すると、木々が勝手に逃げ出して、後には一本の道が出来ていた。


「では、行くとしましょうか?」


森の中に乗り物が入っていく、すいすいと進んでいく。


「これなら意外と早く着きそう?」


美奈が言って俺に微笑む。


俺も彼女に向って頷きながら、なるべく早くに里に着きたいと思った。





ここまで読んでいただいて有難うございます。


誤字・脱字などありましたらお知らせください。



感想等もよろしくお願いします。


次回投稿は8月2日19時の予定です。


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