プロローグ
僕は病弱な子供だった。長い病院での生活で、自分もそろそろ迎えが来るなって思ってた。ある日知り合いのお兄さんが様子を見に来た。
「最近どうよ?」
「ああ、多分もうじき死ぬと思います」
「そうか。来世でもよろしくな」
そんな軽口を叩いてベットの隣に置いてある椅子に座った。看護師のお姉さんには怒られそうな内容だけど心が軽くなった。僕は知り合いのお兄さんに教えてもらった漫画が好きだった。
ある日僕はその大好きなマンガの一番好きだったシーンを読み終えたところで意識を失った。
* *
「・・・・・・・・・・・・・・・・・が・・・・・・・・・・・・ぐが?」
あれ?ここはどこだ?そう思って起きる。確実に死んだだろう眠りを迎え入れて記憶がなくなって起きたら。
「ぐがあああ!!??」『森!?』
『声も変だ。日本語をしゃべってるのにまるで獣のような…!?』
声が獣のようなものしか出なくて不思議に思い、手を首にあてたところでその手の大きさにビビる。それは人としておかしなサイズの腕だった。
『な!?は!?ええ!?!?』
よく体を見渡してみるとそれは…
『け、獣!?いや違う、これは。そうこれは
あの漫画に出てきた優しい魔物』
それは僕が人間から魔物になった瞬間だった。