序説 手記・祈 ~彼女のムネキュン日記~
彼女の手記
今でも鮮明に思い出すのです、あの笑顔を
初めて貴方を見た時、貴方はまだ子供でしたね
野山を駆け巡り、泥まみれになりながらも楽しそうに笑う笑顔を、私はただ遠くから眺めていました
そう、遠くから
貴方と私、此方と彼方
どうしようもない程の断絶が私と貴方との間にはありました
それでも私は満足だったのです
満たされていたのです
何もない私はただ貴方の笑顔を見るだけで、幸せでした
でも、貴方は来てしまった
出会ってしまった
・・・その幸せを忘れることは出来ませんでした
私は満足出来ないのです
満たされないのです
ああ、神様神様お願いです、彼の笑顔を私に下さい
彼女の手記
今でも鮮明に思い出すのです、あの笑顔を
最後にあなたに会った時、あなたはもうおじさんでしたね
体を震わせ、拳を握りながらも懸命につくる笑顔を、わたしはただ近くから見つめていました
そう、近いのに
あなたとわたし、こなたとかなた
どうしようもない程の断絶があなたとわたしにはありました
わたしは満足だったのです
幸せだったのです
もう何もないわたしはただあなたの笑顔を見るだけで幸せでした
でもわたしは奪ってしまった
失ってしまった
・・・その苦しみを忘れることは出来ませんでした
わたしは満足しているのです
満たされているのです
ああ、神様神様お願いです、彼に笑顔を返して下さい
四作目にして初連載です
タイトルは・・・嘘は言ってません(キリっ)
実力向上のため、ギャグ少なめ、地の文多めでやりたいと思うので更新は亀の子になると思いますが、楽しんで頂けたら幸いです