嫌な予感的中!?
キーンコーンカーンコーン
放課後を知らせるチャイムの音が校舎中に響く。
やっと学校一日目が終わった。お嬢様学校なだけあって、しゃべり方もお嬢様らしくしなきゃいけないし。本当、私には合わない学校だ。まぁ、瑠香といるときは少し楽になれるけど。そこがせめてもの救いかな。さて、部屋に戻って荷物の整理をしようかな。昨日はお風呂に入って寝ちゃったし、早めにやっておかないとね。
「星名華恋さんよね?」
教室を出たすぐのところで、三人の性格の悪そうなお嬢様の内のリーダーっぽい人が私に話しかけてきた。
リーダっぽい人は、背は160cmほどで髪を綺麗に巻いている。いかにも女王様という感じの人だった。
「そうですけど。どうかなさいましたでしょうか?」
はぁー。面倒なことになりそう。あんまりそういうのは関わりたくなんだよね。ってかなんで登校初日でこんなことになんないといけないの!? まさかの嫌な予感的中!?
「ちょっと話があるんですけど、いいかしら?」
「はい、大丈夫です」
断ったらもっと面倒なことになりそうだし、ここはおとなしく付いていこう。
「では、行きましょうか」
私はその三人のお嬢様に付いていった。
連れて来られたのは中庭だった。
ここならあまり人も来なさそうだし、誰かに見られる心配もないってことね。
「あなた、転校してきてすぐに海斗様を執事にしたというのは本当かしら?」
海斗様? あっ! 水瀬海斗のことね。あの人、様付されてるんだ。学園一の執事であんなにイケメンなんだから当たり前か。
「本当ですけど、それが何か?」
さっさと部屋に戻りたいんだけどなあ。
「どうやってあの海斗様を執事にしたのか気になりまして。昨日この学園に来たあなたが、どうやってずっと契約するのを断ってらした海斗様を執事にしたのかしら? まさか、星名家の名を使って?」
そこで星名家の名が出てくるんだあ。ってかこの人たちがやってんの、ただの逆恨みじゃん! どうやったって聞かれてもあっちが勝手に言ってきたことだし、そんなの私に聞かれても知らないよ。
「そんなところで何をやっているのですか? お嬢様方」
三人のお嬢様の後ろから、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
彼女たちが後ろに振り返った。
「翔様!」
その人物の姿を見た瞬間、彼女たちの顔色は真っ青になっていた。
そんなにやばい人なのかな? まあ様付されてるぐらいだからすごいんだろうけど。
「何をしていらっしゃるんですか?」
この声、やっぱり聞き覚えがある。
「なんでもありませんわ」
彼女たちはそんな言葉を言い捨ててどこかに逃げていった。
「大丈夫か? 華恋」
「翔!」
「久しぶりだな、華恋」
彼は羽山翔。私と両親が暮らしていた家のお隣さん。小さい頃から一緒に遊んだりしていた、幼馴染のようなもの。1年ぐらい前に翔たちが引っ越してしまい、それ以来会ってなかったけど。
「お前、なんでこの学園にいんだよ」
翔は知らないもんね。
「私の両親、交通事故で死んじゃったの。それで私は祖母の家に引き取られた。私の祖母、星名グループの総帥だからさ」
私は簡単に説明した。詳しく話したら泣きそうになるから。
「それでこの学園に来たのか」
私はうなずいた。
「ってか、なんで翔がこんなところにいるの?」
翔がこんなところにいるなんて意外。
「あー、そうか。華恋に言ってなかったな。俺の親父、昔ここに通ってたんだ。で、俺も親父の通ってた高校に行ってみたいなあと思ってこの学園に来たの。行きたい高校もなかったから丁度良いかなって。それにここなら将来のための勉強とかはすべて叩き込まれるからさ、将来も困らないなと思って」
そうだったんだ。
「そういえば、翔って契約してる人いるの?」
「いないよ」
えっ! いないの? 意外!
「契約しないの?」
「俺の仕えたい人がいないんだよ。だから今はのんびりしてる」
執事科の人は契約しなくても退学にはならないもんね。羨ましい。
「ふうーん」
あっ! そういえば私、部屋に帰ってやることがあるんだった。
「ごめん、翔。私部屋に戻るね。やらないといけないことあるから。助けてくれてありがとう。じゃあまたね」
「ああ」
私は小走りで自分の部屋に戻った。
ふうー。翔がいてくれて助かった。でもあの人たちがおとなしくなるはずないし、また来るよね。たぶん……。
次の日、私は遅く学校に来た。
朝からあの人たちに絡まれるのは嫌だったから。
下駄箱を開けると、そこには一通の手紙が入っていた。
手紙には、『今日の放課後一人で校舎裏に来なさい。来なければ、これからのあなたの学校生活はもっとめちゃくちゃになる』と、書かれていた。
はぁー。よくこんなことするよね。昨日のお返しもしたいし、行くか。
「ねぇ、あの子じゃない? 海斗様と契約した子って」
なんか、みんなの視線が私に集中してるような。
「華恋、もう有名人になっちゃてるよ」
教室に行くと、瑠香がそんなことを言ってきた。
「有名人?」
私何か有名になることしたっけ?
「華恋が海斗様と契約してるから、みんな華恋のこといろいろと話してるよ」
なんでこんなに面倒なことが増えるんだ。
「星名家の名を利用してるとか、海斗様を騙してるって、みんな華恋の悪口しか言ってないよ」
お金持ちの世界だとこういうことも言われるんだなあ。ここではみんなその家系の人間として見られるんだあ。
「別にほっとけばいいよ」
「でも!」
どこに行っても何も変わらないんだ。
「瑠香、大丈夫だよ。こういうの慣れてるからさ」
と、私は笑った。
本当は怖いくせに、意地なんて張っちゃってさ。私の馬鹿。甘えればいいのにね。




