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嫌な予感

 はあー。今日から学校。気が進まないなあ。

「お嬢様、朝食ができました」

「ありがとう」

 今日の朝食はトーストか。普通お嬢様学校ならもっと豪華なものを食べるんだろうけど、私にはこれが一番いい。

「なんでお嬢様らしい食事じゃないの?」

 私は今日の朝食のことなんて何も言ってない。

「そちらのほうがよろしかったでしょうか?」

 こっちが質問してるのに、私に質問で返すのか。

「こっちのほうがいい。どうしてこっちのほうがいいと思ったの? 私は何も言ってないのに」

 相手の質問に答え、また同じ質問をした。

「昨晩うどんをお作りになっていたので、豪華なものよりもこちらのほうがいいのかと」

 そこまでわかるのか。まだ高校生なのにそんなことがわかるなんて、すごい。

「執事ってすごいのね」

 そこまで他人のことがわかるんだから。本当、感心するわ。

「あなたにお仕えしているからですよ」

「今、何か言った?」

 声が聞こえたような気がしたんだけど。

「いいえ、何も」

「そう」

 気のせいかな?

「お嬢様、この学園のクラスの仕組みはご存知ですか?」

 クラスの仕組み?

「知らないけど」

 この学園にそんなものがあるの?

「そうですか。この学園は成績でクラスが分かれます。お嬢様はどのクラスですか?」

 クラス? クラスは確か……。

「Aだったと思う」

「そうなのですか!? 転入されてAクラスに行けるとは、お嬢様はさぞ頭が良ろしいのですね」

 まあ、昔から勉強はできるほうだったし。

「Aクラスってそんなに頭がいいの?」

「はい。ほとんどの方がBクラスです。普通科の方々は人数がそんなに多くありませんので、AとBの二クラスしかないのです。ちなみに執事科は、S、A、B、C、Dの五クラスに分かれています」

 五つ!? 結構多い。ってか、そんな頭の良いクラスに入ったら注目されちゃうじゃん。そんなふうに成績が決まるんだったらみんなピリピリしてるのかな? ライバル意識とかして、敵対してたりして。火花が散ってそう。

「あなたはどこのクラスなの?」

「私はもちろん、Sクラスの首席です」

 首席!? じゃあ、この学園最高の執事ってこと!? すごい!

「すごいのね」

「お嬢様の執事ですから」

 うっ……。今、すっごいプレッシャーをかけられたような……。まあ、おばあ様も首席をとらないと満足しないだろうし、頑張ってみますか。

「お嬢様、もうそろそろ学園に向かわれたほうがよろしいかと」

「わかった。ありがとう」

 私はすぐ準備をし、部屋を出た。


「ねえ、あなたはどこまで付いてくる気?」

 寮から出てからも、ずっと水瀬海斗は私の後ろを付いてきてる。

「教室までです」

 冗談じゃない!

「ここでいいから! じゃあね」

 私はそう言って走り出した。

 転校初日から目立つのだけは絶対に嫌。まず、職員室に行かないといけないんだよね。


 コンコン

 職員室の扉を叩き、それを開けた。

「新しくこちらの学園に転校してきた星名華恋です。一条(いちじょう)先生はいらっしゃいますか?」

 一条先生とは、私が今日から入るAクラスの担任の名前だ。

「俺だ。こっちに来てくれ」

 部屋の奥のほうから手を挙げてこちらを見ている男の人がいた。

「失礼します」

 私は一礼し、その男の人のところに行った。

 彼は30代ぐらいですごくかっこいい先生だった。背も高くて、すごく細い。

 生徒に人気がありそうだな。

「星名華恋です。これからよらしくお願いします」

 先生に向かってもう一度名を名乗った。

「俺は2年A組担任の一条千里(せんり)だ。一応言っておくが、俺はどこの家の娘だろうと同じように接する。そこだけは忘れるな」

「はい」

 この先生、良い先生のような気がする。どの生徒に対しても平等のようだ。見るからに厳しそうな先生だけど、優しそうな。顔が、そんな感じに見える。まあ、本当かどうかは知らないけど。

「じゃあ行くか」

「はい」

 先生が職員室を出て教室に向かっていくので、私も急いで付いていった。


「ここが教室だ」

 廊下は結構長いけど、教室は普通の高校と同じっぽい。

「俺が入って来いと言ったら入れ」

「はい」

 ガラガラガラガラ

「おーい。みんな席に着け」

 先生はそう言いながら教室の中へと入っていった。

「入って来い」

 教室の中から先生の声が聞こえたため、扉を開く。そして先生の近くまで足を進め、生徒たちのほうを向いた。

「はじめまして。星名華恋と申します。これからよろしくお願いします」

 そう自分の名を名乗り、頭を下げる。

 パチパチパチパチ

 拍手が送られた。

「じゃあ星名は、本条(ほんじょう)の隣だ」

 教室を見渡すと、窓際の一番後ろの席が空いていた。その隣に、綺麗な女の人が座っていた。

 彼女が本条さんかな?

「はじめまして、本条瑠香(るか)です。これからよろしくね、星名さん」

 近くで見るともっと美人だ。肩の少し下まである髪がきれいに巻かれてて、ほんわかしたオーラが出てる。お嬢様らしい、おしとやかそうな子だ。

「もうすぐ最初のテストがある。ポイントを稼げるように、みんな頑張ってくれ」

 ポイントって何? ってか、転校してきていきなりテストー!?

「本条さん、ポイントってなんですか?」

 隣にいた本条さんに聞いた。

「ポイントっていうのは、進級するときにAクラスかBクラスかを決める基準みたいなもののことよ。ポイントは、テスト・イベントの成績・授業態度とかでつくのよ」

 うわあー。めんどくさそう。ってか、なんでこの学園はこんな面倒なことばっかりなの?

「あとで校内を案内するわね」

「ありがとうございます」

 本条さん、すごく優しい。

「敬語じゃなくていいよ。それから、私のことは瑠香でいいよ。私も星名さんのこと、華恋って呼ぶから。これからよろしくね、華恋」

 華恋……。名前で呼ばれたの久しぶりだなあ。すごく嬉しい。

「よろしく、瑠香」

 久しぶりに素直になれたような気がした。

 それにしても、さっきから嫌な予感がする。なんでだろう?

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