スノープリンセス
今日はついに舞踏会!
今日この学園には、有名な会社・グループのトップ、その関係者が多く訪れている。
生徒たちもそれぞれ自分に合ったドレスを着ていて、とても綺麗だ。
私は純白のロングドレスというとてもシンプルなものだ。
周りの子はフリルをつけたりして少し手を加えてあるドレスを着ている。
海斗にこんなシンプルなドレスでいいのか聞いてみた。
『お前はシンプルなドレスのほうが良いんだろう? それに、いつもの華恋でいれば手を加える必要なんてない。シンプルなほうがお前らしさが伝わりやすいからな』
って言ってた。
海斗は私のことわかってくれている。それがときどき恐ろしくなることもあるけど、それがすごく嬉しい。
「華恋ー! やっと見つけたあ」
体育館の入口のところで瑠香と出会った。
彼女が着ているのは黒色のロングドレス。その色のせいなのか、彼女からはいつものほんわかした雰囲気ではなく、大人っぽい雰囲気が感じられる。
「瑠香、大人って感じだね。一瞬誰かと思ったよ」
私たちは入口で話すと通る人の邪魔になるということで、体育館の中に足を進めながら会話をしていた。
「華恋も、すごく綺麗だよ。シンプルなのが華恋らしい」
みんな同じこと言うんだな。
「海斗にもそう言われた」
私は少し笑いながら瑠香にそう伝えた。
「華恋、いつも通りだね。少し安心した」
安心?
「なんで?」
私、何か心配させるようなことしたっけ?
「華恋、ここの舞踏会初めてだから、緊張してないかなっと思って。でも大丈夫そうだね」
そんなこと心配してくれてたんだ。
「うん。大丈夫だよ。スノープリンセスに絶対になるって意気込んでるから、緊張も飛んでっちゃうよ。まあでも、少しは緊張するけどね」
でも、緊張に押しつぶされるわけにはいかないから。
「そっか。頑張ってね」
なんか、友達に応援されたりすると元気が出てくる。
「うん!」
瑠香の期待に応えられるように頑張ろう。
「お嬢様!」
人混みの中から、海斗がひょっこりと姿を現した。
「そろそろお時間です」
もうそんな時間か。
「わかったわ。瑠香、しっかり見ててね」
私は海斗にそう返事をし、再び瑠香のほうに視線を向けて笑顔でそう言った。
「じっくり見させてもらうわ」
絶対に称号を手に入れる。
海斗と共にダンスの行われる体育館の中央へと向かった。
「では、我が校の生徒たちによる華麗なるダンスを、どうぞお楽しみください」
理事長の言葉のあと、音楽が流れ始めた。
「踊っていただけますか? お姫様」
海斗は手を差し出した。
「喜んで」
私はその手を取り、踊り始めた。
いつも通り、肩の力を抜いて、余計なことを考えずに、自然に。
「海斗でも緊張することがあるんだね」
「何言ってんだ。この俺がこんなことぐらいで緊張するわけねえだろ」
意地っ張りだなあ。
「緊張してるよ。いつもの海斗じゃないもん。私にそんな嘘ついたって、無・駄、だよ」
ばればれだよ。
時はあっという間に過ぎてしまい、ダンスは終了した。
「今年のスノープリンセスは、星名華恋さん!」
やったー!
「よかったな、華恋」
私にしか聞こえないくらいの小さな声で海斗はそう言った。
「うん、海斗のおかげだよ。ありがとう!」
海斗がいなかったら、今でも全然ダンスなんてできていなかっただろう。
「華恋」
舞踏会も終わり、体育館を出るところで誰かに名を呼ばれた。
「おばあ様!」
声のしたほうを向くと、おばあちゃんがいた。
他の会社・グループの関係者がいるところでは、さすがにおばあちゃんなんて言えるわけもないので、おばあ様と呼んだ。
「素晴らしいダンスだったわ。スノープリンセス、おめでとう。あと、今年最後のテストも首席だったみたいね。よく頑張ったわね」
おばあちゃん、テスト結果見たんだ。
「ありがとうございます」
私はおばあちゃんに向かって礼をした。
「あなたも首席だったわね。おめでとう」
おばあちゃんは海斗のほうを向いてそう言った。
「もったいなきお言葉、ありがとうございます」
海斗もおばあちゃんに向かって礼をした。
「あなたは十分、星名家にふさわしい人間よ。これで安心して、星名グループを任せられるわ」
私、おばあちゃんに認められてる? すっごく嬉しい!
「ありがとうございます」
私はまた、おばあちゃんに向かって礼をした。
夜空には、きれいな星空が広がっていた。その中には、仲よさそうに、隣で並んでいる星があった。
お母さんとお父さんだったりして。
そんなことを思いながら、私はお母さんたちに語りかけた。
私、二人みたいに強くて優しい人間に少しは近づけたかな?




