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神様の悪戯?

 私は今、車で転校する学校に向かっている。

 ほとんど揺れもなくて、座席はふわふわで、座りなれなくて落ち着かない。そのせいなのか、車に乗っているという心地がしなかった。

窓からは急ぎ足で会社に向かっているのであろうサラリーマン、楽しそうに会話をしながら歩く学生が見えた。

……私もついこの間までは、あの中にいたんだよなあ。なんか、違う世界にいるみたい。


 車に乗っているとき、ふとあのときのことが頭に浮かんだ。……両親が亡くなったときのことが。

 数ヶ月前、両親は交通事故で命を落とした。

 あの日、久しぶりに二人は仲良く出かけていった。その帰りだ、事故に遭ったのは。

 両親が病院に運ばれた連絡が入り、私は一目散に向かった。

 すごく怖くて、震えが止まらなかった。

 恐怖の波に飲み込まれてしまいそうな感覚――。

 病院に着いたときにはもう、両親は空へと還ってしまっていた。

 両親の体は冷たくて、いつも感じてたぬくもりは、一切感じられなかった。

 死んだのだと実感が湧いたとき、一気に涙が溢れた。涙は止まることを知らなくて、随分と長い間流れ続けてた。

 祖母が私を引き取ると言いだし、すぐに荷物をまとめさせられ、祖母の家に引っ越した。 久しぶりに会った祖母は一番最後に会ったときよりも冷たい目になっていて、なんだか怖かった。

家に帰っても当然のことながら祖母が迎えることはない。迎えてくれるのは使用人。その使用人だって、毎日同じ言葉しか言わないし必要最低限のことしかしなかった。

それが使用人なのだからしかたがない。でも、少し寂しかった。

 これは、神が私に下した罰? それともただの悪戯? こんな私を見て神は笑っているのかな。

 慣れない環境での生活。それは私を不安の海に突き落とす。不安は収まることを知らなくて、それどころかどんどんどんどん、湧水のように溢れてくる。


華恋(かれん)様、どうぞ。こちらが聖徳学園です」

 急にドアが開いたかと思ったら、運転手さんがそう言いながら開けてくれた。

「……ありがとう」

 祖母の家でこういう礼儀正しい人はたくさん見てきたけど、やっぱり落ち着かない。はあー。学校生活、疲れそうだなあ。

 内心ため息をつきながら荷物を持ち、車を降りた。

 ……想像以上だ。

 外からでもわかるほどに、学園の敷地面積は大きい。中に入らないと正確なことはわからないけど、門を通りまっすぐ行くと校舎。左端には寮のような建物が二つ。校舎から右に少しずれたところには体育館らしき建物。門と校舎のちょうど真ん中には噴水が置かれている。

 星徳学園。お嬢様学校と言えば一番にこの名前が出てくるであろうというほど有名な学校。他校には興味のない私でも知ってるくらいだ。全日制の全寮制。校内全ての物が高級品で、お嬢様にはお似合いの学校だ。

 ……私には合わないところだな。はあー。卒業する頃には思いやりなんていう温かい言葉も忘れてしまいそうだ。

 そう思いながら無理やり思い足を動かし、校門を通った。

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