本当の気持ち
あの日から、海斗の顔を見ることができない。
なんか最近、海斗が男らしいというか、なんというか……確かに海斗は男だ。でも、今まで異性という感覚がなかったから、急に抱きしめられたりすると、いつも通りに接することができない。
「海斗、ちょっと出かけてくる」
出かける支度を終えたあと、海斗にそう言った。
「どこ行くんだ?」
「買い物行ってくる」
もうご飯の材料ないし。
「俺も行く」
「えっ!?」
少しでも海斗の顔見ないようにするために行くのに、これじゃあ意味ないじゃん。
「俺と行くの、嫌?」
海斗が甘えるような声でそう言った。
最近海斗はこうやってやってくるのが多くなった。まあ、私がそういうのに弱いからやってるんだろうけど。
「いいよ、行こ」
そう知っていながらも、断れないんだよな。
私たちはスーパーに向かった。
「今日の飯は何にすんの?」
「オムライスかな?」
久しぶりに作ってみたくなった。
「じゃあ玉ねぎとか卵とか持ってくる」
「うん」
そう言うと、海斗は野菜があるほうに歩いていった。
あとは、ケチャップとお肉くらいでいいかな。
「華恋、持ってきた」
海斗が玉ねぎと卵を持って戻ってきた。
「ありがとう」
さて、レジに行こう。
私たちはお会計を済ませ、寮に戻った。
「すぐに作るね」
「ああ」
自分の荷物を置いて、ご飯を作り始めた。
「はい、できたよ」
数十分後、オムライスが完成した。
「うまそー!」
海斗は子どものように目をきらきらと輝かせていた。
「いただきます」
椅子に座り、ご飯を食べ始めた。
「うまい! 華恋、本当料理上手だよな」
キュンッ!
今の海斗の笑顔、やばかった。すごく、かっこよかった。
「当然でしょ」
平常心、平常心。
「華恋最高ー!」
やばい。心臓の音が鳴り止まない。
これが、恋……? 私、海斗が好きなの?