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約束

 あと数週間で夏休み! 教室の中も夏休みの話で盛り上がっている。そのため、教室の中がいつにもまして騒がしい。そこは普通の高校と同じようだ。

 あのテスト結果も、星名家の人間だからという理由で、嫌がらせをしてくる人間もいなかった。これで少しは安心。

「華恋、華恋は夏休みどうするの?」

「わかんない。まだ家にも連絡してないから」

「ふぅーん」

 聞かなくてもおばあ様の言うことなんてわかってる。

「瑠香はどうするの?」

「私は家に帰って勉強かな」

「勉強?」

 私は首をかしげた 家に帰ってなんの勉強をするんだろう? やっぱり、学校の勉強かな?

「あれ? 華恋に言ってなかったっけ。私、本条グループの次期後継者なの。だから、今から家のこと勉強しとかないと」

 本条グループ……。たしか、世界各国のレストランとかの料理関係を経営する会社だったと思う。

 今から勉強なんて……瑠香はすごいなぁ。

「ねぇ華恋。華恋さぁ、小さい頃に私に会ったことない? 星名グループの社長の家で」

 おばあ様の家で? たしか、私が10歳ぐらいのときに、おばあ様の家に行ったような覚えがある。お母さんたちが用事とかで、私はおばあ様のところに預けられたんだ。そのときは、おばあ様もすごく優しかったな。そのとき、おばあ様の家に、どこかのグループの人たちが来ていた。そこで私は、一人の女の子と出会ったんだ。

「もしかして、あの女の子が……瑠香?」

 私は瑠香にそう聞いた。すると瑠香は嬉しそうに、

「やっと気づいた?」

 そう言いながら、笑っていた。

「瑠香、最初から気づいてたの?」

「うん。華恋が転校してきた日にね。雰囲気とかは結構変わってたけど、声とかは聞き覚えがあったし、名前が星名だったからそうかなって」

 そうだったんだ。

「華恋、そこで私にあることを教えてくれたの」

 あること?

「自分には悪い癖があるから、全然友達ができないって。その癖の内容までは教えてくれなかったけど。そのときに華恋、すごく悲しそうな目をしてた」

 私、そんなこと言ってたんだ。瑠香には、その内容を教えるべきだろうか。この癖を知って、離れてしまうかもしれない。でも、私の最高の友達だから。

「瑠香、その癖の内容話すよ」

 私は勇気を出してそう言った。でも、彼女の答えは、意外なものだった。

「言わなくていいよ。だって私、華恋と約束したから」

 約束?

「私は華恋にどんな癖があろうと、ずっと友達でいる。なにがあっても、私はあなたの傍にいるから。だから、癖の内容は聞かないって」

「瑠香……」

 そんな昔の約束を守ってくれるの?

「ありがとう」

 私は笑った。

「どういたしまして」

 そして、瑠香も笑い返してくれた。

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