テスト結果
テストから1週間がたった。今日はついに、この前のテストの結果が発表される日だ。
「華恋ー! 速くー」
寮の入り口のところで、瑠香が手を振りながら私の名を呼んだ。どうやら、私が来るのを待っていたらしい。
「ごめん海斗。私、先に行くね」
「はい。いってらっしゃいませ、お嬢様」
私は海斗の返事を確認し、瑠香のもとに向かった。
「華恋、テストの結果見に行こう」
「うん」
それで瑠香は私を待ってたのか。
「それにしても、華恋の成績、はやく見てみたいなぁ」
「えっ!?」
なんで私の成績? 普通自分の成績をはやく見たいと思うんじゃなの?
「華恋、転校してきたのにAクラスに入れちゃうから、結構期待してるんだよね。他にも転校生いたけど、みんなBクラスだからさ」
そんな期待されても……。
「もうみんなが集まってるよ」
「本当だ!」
テストの結果が張られている掲示板の周りには、すごい数の生徒が集まっていた。なんか、私のほうに多く目線が集まっているような……。
「華恋、1位のところ見て!」
1位のところ?
1位のところを見ると、そこには『星名華恋』と書かれていた。 嘘! 私が1位? 私、首席になったの?
「華恋すごいよ! 首席とっちゃうなんて。華恋、すっごく頭がいいんだね」
まぁ、自分で言うのも変だけど、前の学校では絶対に5位以内には入っていた。前の学校でやって、範囲がせまかったとはいえ、これはいろいろとやばい。星名家の評判は上がるから、家のほうは問題ないだろうけど、この前のような嫌がらせがあってもおかしくない。またあんな面倒なことに付き合わされるのは嫌だ。せっかく嫌がらせがおさまって、落ち着いたところなのに。はぁ、せめて2位ぐらいにしてほしかった。
「そんなことないよ。瑠香だって3位だよ! すごいよ!」
「ありがとう」
瑠香は嬉しそうに笑った。
私たちは人混みを出て、自分たちの教室へと向かった。
「そういえば、執事科の1位は海斗様だったみたいだよ。どっちも首席なんて、二人ともお似合いだね」
「そんなことないよ」
やっぱり、海斗は首席か。
「そういえば、瑠香の執事って誰なの? 私、一度も見たことないんだけど」
朝も瑠香の執事らしき人はいなかったし。
「私、執事と契約してないの」
「えっ!? それって、退学になるんじゃないの?」
「うん。ばれてないから大丈夫!」
瑠香、度胸あるな。
「ねぇ瑠香、テストでいい成績をとれば、ポイントがもらえるって言ったけど、何ポイントもらえるの?」
「うーんと……1位が50ポイント、2位が40ポイント、3位が30ポイントっていうふうで10ずつ減って、5位は10ポイントもらえるの。5位から下の順位の人は、2ポイントもらえるんだよ」
へぇー。そんなふうになってるんだ。じゃぁ私は50ポイントか。
「そのほかにも、授業態度やイベントでかせぐこともできるけど、1番かせげるのはテストなの。授業態度が悪いと、ポイントがけずられる場合もあるから注意してね」
じゃぁ、ちゃんと授業聞いとかないと。まぁでも、これでおばあ様も満足してくださるだろう。