目覚めた日が春だった
掲載日:2026/03/26
目が覚めた日
目覚めた日が春だった
明け方小鳥の囀りが
夢をくすぐるように
乳白色の霧が立ち込めている林をぬって
春はゆっくりと歩を進め
若緑色に大地を染めていく
うす桃色の桜の花のほころびは
過ぎていく朝をゆっくりと咀嚼し
朝露に濡れた花びらを
一枚一枚ていねいに広げていく
ふわりと春の香りが
湿った朝の大気に放たれると
あちらこちらで
目覚めたばかりの春の声が
聞こえる
目覚めたこの日が
春だった喜びが
大気に吐き出され
吐息から喜びの歌へと変わる
命のあり方が
命の受け取り方が
にわかに煌めきをまし
湿った朝の大地は
ぶるるっ、と震える




