第5章 - 危険
日々、ステラは俺を鍛えた。
俺は毎日、無力な幼児のフリをしながら過ごす。
でも夜になると、誰にも気づかれないように上級魔法を独学した。
もうすぐ4歳。
家に閉じ込められてるのは退屈だ。子どもと遊びたいとも思わない。意識は27歳だから。
俺が本当にしたいのは、この世界を見て回ること。
昨日、エンチュおじさんから手紙が届いた。
一年後、俺に魔法を教える“マグス”が来るらしい。
そして、最悪の知らせも書かれていた。
――アルスリア王都が陥落した。
堅牢な要塞は崩れ、王は捕らえられ、投獄された。
この世界の歴史を読んできたが、魔王が25年で人間の王国を5つも落とした事実は恐ろしい。
俺たちは南東の王国フィロスにいる。
魔族が大侵攻を始めても、たぶん最後の方まで巻き込まれない。
……とはいえ、安心できる話じゃない。
「レオン、どこだ!」
グスタフの声。
「ここだよ、父さん」
「母さんを手伝え。台所だ」
俺は庭から走って台所へ。
母さんは優しく笑った。
「薪に火をつけて、レオン」
俺は腕を伸ばし、手のひらを薪へ向け、小さな火球を放った。
母さんは屈んで俺の額にキスをする。
(ありがとう、息子――)
この世界での行動は、全部がゲームみたいだ。
前世では家族愛を知らなかった。
だから、ステラとグスタフが親でいてくれることが嬉しい。
外から木がぶつかる音。
窓を見ると、父さんが剣の稽古をしていた。
360度の一振りで、四つの木人を一気に斬りつける。
動きは踊りのように滑らか。
父さんは俺に気づいた。
「レオン、来い!」
俺は窓から庭へ飛び降り、走って行った。
父さんは木剣を渡す。
「よく聞け。魔族はいつ来るか分からない。母さんを守るために剣を覚えろ」
「魔法だけじゃ倒せない魔族もいる。物理で殴れ」
父さんは見本を見せた。
足運びが速い。
最小限の動きで全ての標的に届く。
「これは“蛇剣舞”。フロイ王国の剣術だ」
「フロイは大陸最大の国で、ほとんど砂漠。流砂の上で鍛えるから、沈まないように小刻みな高速歩法になる」
面白い。
真似して回転――転んで顔面から地面。
父さんは笑う。
「まずは素振りだ。毎日100回。こうだ」
両手で握り、頭上から45度まで振り下ろす。
「続ければ、技を教える」
木剣だけで重い。
ふと塀の向こうを見ると、子どもたちが俺を見ていた。
「父さん、あの子たちも教えないの?」
「いい案だが、親が嫌がる。剣は危険だし、魔法も剣も12歳まで触らせないのが普通だ」
「だが、お前は特別だ。1歳前に魔法、2歳で読み書き。あの子らは文字の音すら知らん」
残酷だが正しい。
子どもに早期訓練は、こっちの世界でも児童労働みたいなものだ。
その時、門に男が現れた。
「グスタフ! グスタフ! 来てくれ!」
「サリオ、どうした?」
男は白い布包みを抱えていた。
庭のテーブルで包みを開く。
中には死体。
コウモリと魚とトカゲを混ぜたような、妙な生物。
「これは何だ?」
サリオが聞く。
父さんは即答した。
「フィゴン。魔王の使い魔だ」
父さんは母さんを呼ぶ。
母さんも見て頷いた。
サリオ:
「森の近くを飛んでた。嫌な予感がして撃ち落とした」
母さん:
「確かにフィゴンね。弱くて攻撃はできないけど、魔王の“目”になる」
「問題は、どうしてここまで来たのか。私たちは魔族大陸から最も遠い土地にいるのに」
父さん:
「大侵攻の前触れか?」
サリオ:
「俺たちは終わりか?」
父さん:
「まだ分からない。すぐ首都へ報告する」
「サリオ、村長宛てに報告書を書け。ただし内密だ。パニックは避ける」
翌朝、父さんは仲間を集めて出発した。
門の前で、母さんと俺を一度振り返ってから背を向ける。
サリオ(狙撃手)、スティンク(弓兵)、そして治癒師のリアン。
彼らは首都へ向かって消えていった。
父さんがいない間、母さんは俺に属性の組み合わせを教えた。
午後は地下室で読書。
魔族戦争の古文書、魔法理論、地図。
涼しくて静かで、集中できる。
小さな火で灯りを作り、誰か来る前に消す。
夜、母さんが寝た後、俺は庭で上級魔法の練習。
風で4メートル浮く。
土で振動を拾い、100メートル先の動きを探知する。
マナを増やせば範囲はもっと伸びる。
――その夜。
空を覆うほどの大群が現れた。
昨日の死体と同じ。
「待て……フィゴン!?」
黒い雲のように降り、地面に着地すると、フィゴンたちは融合を始めた。
骨が軋み、肉がねじれ、一体の人型の魔族へ。
巨大な山羊の角。
赤く光る目。
「予言の子……」
その一言で背筋が凍る。
逃げたいのに足が動かない。恐怖で麻痺していた。
考えるより先に、魔族は黒いギザギザの剣を虚空から引き抜き、化け物みたいな速さで突っ込んできた。
剣が俺の腹を貫く。
冷たい金属。
焼ける痛み。
血の温かさ。
全部分かる。
叫びたいのに声が出ない。
口から出たのは血だけ。
魔族は剣を捻った。
内臓が裂ける感覚。
痛みが限界を超える。
呼吸するたび、ガラスを飲み込むみたい。
俺は必死に風で吹き飛ばし距離を取る。
刃が抜け、俺は地面に崩れた。
這って逃げる。
土を動かして身体を引きずる。
視界が揺れ、手が震える。
魔族はゆっくり歩いてくる。
急ぐ必要がない。
俺が逃げられないと分かっている。
「哀れだ」
「なぜ魔皇帝はこの子をそこまで恐れる?」
独り言みたいに呟く。
重力系の魔法か。
俺は引き戻され、首を掴まれた。
息ができない。
足が宙にぶら下がる。
「言え、子ども。何ができる?」
「喋れない? ならもっと締める」
指を剥がそうとしても石みたいに動かない。
肺が焼ける。
胸が破裂しそう。
魔族は笑う。
「息できないか?」
「いい。苦しめ。死ぬ直前の恐怖を見せろ」
喉が潰れる。
骨が軋む。
血が口から垂れる。
視界の端が暗くなる。
……死ぬ?
いやだ。
まだ何も見てない。
村の外へ。
世界の先へ。
大切な人を守れるくらい強くなる。
せっかく二度目の人生をもらったのに。
ここで終わるのは嫌だ。
無力なまま。
一人で。
ステラ……グスタフ……ごめん。
魔族は残酷に笑い、俺の目から光が消えるのを見届ける。
世界が真っ黒になった。
- /Dead...
- /Rebooting...
本章は、作者の未公開の英語原稿をAIで翻訳したものです。英語の原文をご希望の方は、ALDIGISAMA@GMAILCOM までご連絡ください。




