第4章 - 魔法使い
ステラとグスタフの喧嘩(というか戦闘)はまだ続いていた。
近所の人たちはほとんど逃げ、父さんの友だちは地面に転がったまま。
その中で、さっきの老人が話し始めた。
「お前の母親と父親は、この小さな町で育った」
老人は淡々と言う。
「二人とも北の人間王国――ピョニンの孤児だ。魔王が領土を広げた時、ピョニンは海軍と軍事力が強かったせいで徹底的に潰された。グスタフの父は貴族で、ステラの両親は冒険者。戦争で全員死んだ」
……ピョニン。
北の王国。
老人は続ける。
「俺は難民の隊列で二人を見つけ、この町で育てた。グスタフの血筋を狙う残党が最後の一族を殺そうとしていたからな。だから隠した。こんな田舎に元王子がいるなんて誰も思わない」
え。
父さん、王子?
「それと、グスタフは昔は病弱で弱かった。ステラはよくそれを馬鹿にして、昔からこうやって喧嘩してた」
病弱? 今の筋肉の塊が?
信じられない。
この老人、何者だ。
家の事情を全部知ってる。
「で、坊主」
老人は俺を見た。
「お前の目的は何だ?」
目が妙に鋭い。
「本当にこいつらの子か? それとも別の何かか? 魔族か? 分からないフリをしても無駄だ。俺には魂が見える。赤ん坊の身体だが、魂は……成熟している。お前は誰だ?」
……何だこの人。
すると突然、老人は大笑いした。
「冗談だ!」
「赤ん坊に何を言ってるんだ、俺も酔ってるな!」
そして叫ぶ。
「ステラ! グスタフ!」
二人は老人に気づいた。
母さんは詠唱を止め、父さんは立ち上がろうとしてまた倒れる。
「エンチュおじさん!」
母さんが呼んだ。
エンチュ。
この人が“叔父さん”か。
母さんは俺を抱き上げた。
「これが私の息子」
「で、どうしてここに?」
エンチュは廃墟になった家を見回して言った。
「話は長い。まずは茶を――と言いたいが、客を迎える家じゃなさそうだな」
母さんは気まずそうに笑う。
その後、母さんは俺をエンチュに預けた。
エンチュは火球を作ってジャグリングし、俺をあやしてくる。
俺は無言で眺めた。
一方、母さんは土魔法で壁を作り、仮のシェルターを作ってその夜を過ごした。
朝。
俺が一番に目を覚ました。
母さんはまだ寝ていた。
頬を軽く叩いて起こす。
その瞬間、思った。
……母さん、反則級に綺麗だ。
前世では見たことがないレベル。
この世界だと普通なのかもしれないが。
俺は外に這い出て、父さんがすでに起きているのを見た。
エンチュと近所の人たちと一緒に家を建て直している。
父さんは俺に気づき、屋根から飛び降りてきた。
「どこ行くんだ、レオン? パパを手伝うか?」
嫌だ。
俺のせいで家が壊れたとはいえ、建築は退屈だ。
母さんも起き、父さんとキスする。
……見ててキツい。
なんで俺が実況してるんだ。
朝のルーティン。
俺の好きな時間:朝ごはん。
母さんはいつものように俺に授乳……つまり母乳。
しばらくして家は完全に建て直された。
早すぎる。
この世界の家づくり、前世の皿洗いくらい簡単なのか。
母さんは仮シェルターを解除し、砂みたいに崩れた。
新しい家に入る。
見た目は元通り。
父さんは細部までこだわるタイプらしい。
エンチュも後ろから入ってきた。
「家ができたところで、二人に話がある」
母さんは急いで茶を用意し、三人は小さなテーブルへ。
俺はゆりかごに置かれたが、会話は聞こえる。
「よく聞け。北の人間大陸で、魔族の軍が一年前から進軍を始めた。目的地はアルスリア王国だ」
「アルスリアは、グドグルスを落とされてから五つ目に滅ぶ人間王国になるかもしれない。残る18の王国は混乱している。エルフと同盟を結び、魔族の進軍を止めたい。だが、その前に人間側で足止めできる強者が必要だ」
「俺が所属する“長老評議会”は、勇者パーティーの残党を集めると決めた。俺はお前たちを鍛えた。実力も生存力も分かっている」
……魔族がいる。
典型的ファンタジー。
神様、もう少し捻れよ。
二人はすぐ反対した。
母さん:
「私たちはもう十分人類のために戦った。今は家族。レオンから親を奪いたくない」
エンチュ:
「分かっている。だがもう一つ頼みがある。お前たちの息子の鍛錬を、俺に任せてくれ」
鍛錬?
冗談だろ。
俺は寝て母乳飲んでたい。
父さん:
「鍛錬? レオンはまだ2歳だぞ!」
エンチュ:
「だが昨日、お前の息子は魔法を使って家の三分の一を壊した」
父さん:
「え? 夢じゃなかったのか!?」
母さんは俺に微笑む。
「犯人はレオンだったのね」
父さんは提案する。
「もう少し待てないか? あと三年くらい」
エンチュは首を振る。
「魔族がいつ大侵攻を始めるか分からない。備えが必要だ。レオンの中には妙な力も感じる。次の勇者になり得る」
母さんは即座に拒否した。
「ダメ。レオンは勇者にしない」
「勇者なんて、評議会と聖教会が適当な人間に名札を付け、戦場の駒にして士気を上げるだけ。私の息子を“勇者”にするなんて許さない」
エンチュはゆっくり立ち上がった。
「……そうか。分かった。三年後、誰かを寄越してレオンを鍛えさせる」
「それまで、人生を楽しめ。レオンは特別な子だ。普通の赤ん坊扱いはするな。俺は行く」
エンチュは去った。
父さんは俺と母さんを見比べる。
「なぁ……うちの子、あれか? ……頭が……」
母さんは父さんの頭を叩き、顔がテーブルに跳ねた。
「エンチュおじさんが特別だって言っただろ!」
母さんは真面目な顔になる。
「エンチュおじさんが言うなら、アルスリアは1〜2年で落ちるかもしれない」
父さんは楽観する。
「大丈夫だ。アルスリアは巨大要塞だし、王は戦略家だ。落ちない。それに俺たち二人で戦況を変えられるわけない」
そして冗談めかす。
「それに、このイケメン坊やの世話は誰がする? 父親にそっくりだぞ」
母さんは笑い、呪文を唱えた。
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床の一部がスライドして隠し通路が現れた。
母さんは降り、しばらくして埃をかぶった大きな本を抱えて戻ってくる。
父さん:
「それ何だ?」
母さん:
「属性魔法の本。これからはレオンに、段階的に魔法を教える」
……少し興味ある。
でもその辺の知識、母さんの本でもう読んでる。
母さんは本を持って俺を寝室へ。
「レオン。危ない魔法を勝手に使わないでね」
本をベッド脇の机に置き、ドラゴンの話をしてくれた。
俺は眠くなり、落ちた。
その夜、変な夢を見た。
ステージの上で父さんと母さんが互いの名を囁き、観衆が奇妙なリズムで拍手している。
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拍手が早くなる。
二人の声が疲れたみたいに続く。
そして俺は目を覚ました。
二人は寝ていて、俺はゆりかご。
俺は立ち上がり、本に手を伸ばす。
重い本を抱え、部屋を出て、火魔法で蝋燭を灯し、読み始めた。
この本には基本属性だけでなく、属性を組み合わせて強くなる方法が書いてあった。
昨日の爆発も説明がつく。
土で固い球を作り、中に炎を入れる。
球の中の熱い空気が圧力になり、衝撃で爆発する。
なるほど。
魔法というより科学だ。
魔法は不思議パワーじゃなく、理屈がある。
俺はその方が好きだ。
夜通し読み続けた。
火と風で炎の竜巻。
土と水で泥流。
可能性は無限。
ただ、今の体では限界がある。
朝日が昇る。
目が痛い。
本を戻し、ゆりかごに戻って目を閉じ、寝たフリをした。
母さんが入ってきて、俺の寝顔を見て微笑む。
もし母さんが、俺が徹夜で上級魔法を勉強してたと知ったらどう思うだろうな。
その後の朝食で、母さんが言った。
「グスタフ。レオンの教育を少しずつ始めたい。幼くても“制御”を覚えないと危険よ」
父さんは頷くが、迷いがある。
「分かる。でもまだ2歳だ。教えすぎたら壊れる」
母さんは俺を見る。
「普通の子じゃない。あなたも分かってるでしょ」
父さんはため息。
「分かってる。ただ、少しは普通の子ども時代を――」
母さん:
「ゆっくりやるわ。基本の制御だけ」
二人は、俺の訓練計画を俺の前で話し合う。
俺は大体もう知ってる。
でも今は“子ども”の役を続けるのが正解だ。
朝食のあと、母さんは庭に俺を連れていき、頭に手を置いた。
「レオン。今日は魔法の制御を教える。まずは簡単なことから」
手のひらに小さな炎。
「火魔法。見たことあるでしょ。まずは温かさを意識して」
俺は“必死に頑張ってるフリ”をして、やっと小さな火を出す。
母さんの顔が誇らしげに輝いた。
「そう! できた! やっぱり才能ある!」
その日、母さんは土と水の簡単な形作りも教えた。
俺は合わせた。
夕方、疲れた。
練習じゃなく、演技に。
でも母さんが嬉しそうだった。
それだけで、悪くない一日だった。
本章は、作者の未公開の英語原稿をAIで翻訳したものです。英語の原文をご希望の方は、ALDIGISAMA@GMAILCOM までご連絡ください。




