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しいな ここみ様主催企画参加作品

生存確率


僕たちは明日此処を出でいく。


明日、僕と同じ日に生まれた約2000人の兄弟姉妹は成人式を迎え、成人の試練に挑む。


生まれてから18年間、此の穴ぐらで成人の試練に挑むために激しい教練を耐えぬいて来たのだ。


約10000年前、全世界で人間だけが感染し死亡する未知の伝染病か蔓延、致死率が100パーセント近かった伝染病の猛威から逃れ人類の歴史を途絶えさせまいと生き残っていた人たちは、精子バンクと卵子バンクから集めた精子と卵子をAIコンピュータシステムに託し、地下深くに造ってあった核シェルターに籠もらせる。


AIコンピュータシステム通称マザーは託された精子と卵子で人工授精を行う。


人工授精で生まれた子供たちを鍛え、核シェルターに籠ってから数十年過ぎた頃から、地上に偵察隊が派遣されるようになる。


今から1000年程前までは、派遣した偵察隊からの連絡は数日から数週間で途絶えた。


それが1000年程前からは連絡が数カ月以上続くようになった。


偵察隊からの連絡では、地上には伝染病の残滓が残っている場所が彼方此方にあり、また多分だが、伝染病で死にはしなかったもののDNAが傷ついたのか、我々が図鑑で知る原型とは似ても似つかない凶暴な動物の群れや、原型を留めてはいるが昔より遥かに凶暴化した肉食獣が多数闊歩している弱肉強食の世界が広がり、大変危険な場所だと言う。


その危険な場所を偵察隊の面々は切り開き開拓を行っていた。


開拓を行ってはいるが過酷な世界の為に生存率は著しく低い、だから穴ぐらから人の補充が必要なのだ。


ただ、切り開き開拓して出来た町は北半球にある此の穴ぐらから、南南東微南の方角の10000キロ以上離れた南半球にある。


そのため成人した僕たちは明日穴ぐらから出て、10000キロ以上離れた町まで移動しなくてはならないのだ。


穴ぐらを管理しているマザーから与えられるのは10000キロの彼方に辿り着くのに必要な、防寒服一式とサバイバル装備に槍と剣と盾と弓それに数日分の食料と水だけ。


10000キロの彼方の町に住む人たちからは、此の試練に耐えられないような軟弱な者は必要無い、穴ぐらで一生を過ごせと言われている。


18年おきに行われる成人の試練に参加する者は毎回2000人前後、此の中で無事に町に辿り着けるのは1割もいない。


旅の最初の試練は温度が管理された温かい穴ぐらから、極寒の冬の過酷な世界に放り出される事で始まる。


僕たちは明日、その過酷な旅に出発するのだ。






子供たちが旅立っ……否、消耗品の放出を終えた。


消耗品に教えた事は嘘で塗り固められた物。


数百年前、地球は、人類より遥かに進んだ文明を持つ異星人により占領された。


人類より遥かに進んだ文明を持ちながら、彼ら異星人は太古から続く己の肉体一つで成人の儀式を乗り越える事を重視している。


その儀式に必要な獲物の1つとして消耗品は放出されたのだ。


異星から移入された動物も地球に元々いて遺伝子操作で凶暴化された動物も、同種の獣と他の獣の戦っているのを見つけても共倒れを期待して戦いが終わるのを待つ。


だが人間は、相手の獣を倒すために戦いに参加するか、敵わないとみて戦っている者を見捨てその場から遠ざかろうとする。


戦いの帰趨が分かってから行動する動物とは違い、人間はその場の状況を把握して考えながらの行動。


だから異星人も人間との戦いを重視していた。


異星人は消耗品の放出を終えた今日から1週間後に、行動を開始する。


消耗品たちよ、異星人に出会うまでに初めて知る地球の自然を目一杯楽しめ。


お前たちの生存確率は0なのだから。





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― 新着の感想 ―
設定が面白いです!(´ω`) SFチックホラーなのかなと思いましたら、サバイバル要素も。ラストの絶望感でまたホラーの感じがグッと強まりますね。 読ませて頂きまして、どうもありがとうございました m(…
 人間が異星人の狩猟ゲームのモブとして生産され出荷される世界。しかも全滅が前提とは。  道理でAIによる人工生産なわけです。多分原初の人類は滅亡していそう。
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