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第九話:破滅フラグ回避&完璧公爵のSNS戦略

◆迫り来る陰謀と伯爵の動き


ロゴマーク論争から数日後、宮廷の空気は一変した。レオナルド伯爵が静かに、だが確実に動き始めたのだ。


彼の派閥が、王位継承権を持つセリオン様の立場を揺るがすための、巧妙な工作を始めたというゴシップが、侍女のネットワークを通じて私の元にも届いた。内容は、セリオン様が領地経営で重大な失策を犯したという、ねつ造された疑惑だった。


(うわー、きたよメインクエスト!これこそがセリオン様の破滅フラグじゃん!ゲームではここで、ヒロインが公爵様を信じきれず、絶望してバッドエンドを迎えるんだよね……)


私は、この疑惑が完全にデマであることを知っていた。セリオン様は完璧な公爵で、そんなミスを犯すはずがない。問題は、この疑惑が真実のように見えるよう、証拠が巧妙に作られていることだ。


セリオン様は平静を装っていたが、その目の奥には、彼の完璧さを脅かす危機感が宿っていた。


◆アドリアンの情報提供(半強制)


私はこの危機を乗り越えるため、再び「裏の情報」が必要だと悟った。そして、その情報を持っている唯一の人物は、あのツンデレ男爵しかいない。


私は、図書室で相変わらず私を監視しているアドリアン様の隣に、わざと座った。


「アドリアン様。セリオン様の領地に関するねつ造された疑惑について、何かご存じですか?」


アドリアン様は冷たい視線を向けた。


「知っているとしても、貴様に教える義理はない。貴様は公爵の飼い犬にでもなっていろ」


(ハイハイ、いつもの『お前なんかどうでもいい』ツンね。でも、今日は聞き分けてくれないと、こっちも困るんだよ!)


私は、思い切って彼の弱点を突いた。


「もし、この疑惑でセリオン様が失脚し、王位継承の争いが激化すれば、あなたの家門の借金を握る派閥が、あなたをどう利用するか……保証はありませんわよ?」


アドリアン様の顔が一瞬硬直した。彼の家門の危機が、私の危機と直結していることを、彼は嫌というほど理解している。彼は悔しそうに唇を噛んだ後、机を叩き、小さなメモを私に放り投げた。


「いいか、これは貴様の命を守るためだ。貴様がこの件で公爵と共に潰れれば、私に不利益が及ぶからだ」


(はい、『命を守るため』のデレ、いただきました!やっぱり根は優しいじゃん!)


メモには、レオナルド伯爵が証拠ねつ造に使った「特定の古い公文書」の保管場所が記されていた。


◆現代の「SNS戦略」


私はアドリアン様から得た情報をもとに、セリオン様に協力すると申し出た。


「セリオン様。伯爵の狙いは『証拠のねつ造』ではなく『世論の誘導』です。真実を公表しても、彼らは別のねつ造をするでしょう。貴族は、完璧すぎる人間を信じません。彼らが信じるのは『人間味』です」


セリオン様は、私の発想に驚いた顔をした。


「では、ルミア嬢。君の言う『人間味』とは、具体的にどうすれば良いというのだ?」


私は、現代の「SNS戦略」(広報戦略)を応用することを決意した。


「公爵様、領地の庶民向けの『無料パンフレット』を作りましょう。そこにはねつ造された疑惑に対する『公爵自身の素直な反論』を『庶民にも理解できる言葉』で載せるのです」


「例えば、『公爵様が、領民のために自ら泥まみれになって作物を育てた』というようなエピソードを『映えるイラスト』と共に載せるのです!『親しみやすさ』で、伯爵のねつ造を『どうでもいいゴシップ』にしてしまうのです!」


(親近感こそ、最大の武器!現代の炎上対策の基本じゃん!)


セリオン様は、私の大胆な提案に戸惑いながらも、私を信じてくれた。


◆公爵の信頼と新たな危機


私の提案は、宮廷の常識を完全に打ち破るものだった。セリオン様は、私の指示通り、領民へのパンフレットを作成・配布。その「庶民派の公爵」という意外な一面は、噂好きの貴族たちのゴシップ欲を完全に満たし、レオナルド伯爵のねつ造された疑惑は「面白くない古い話」として急速に忘れ去られていった。


セリオン様は、心から感謝してくれた。


「ルミア嬢。君は、私に『完璧さ』以外の武器を教えてくれた。君は、私にとってなくてはならない存在だ」


彼の瞳の強さに、私の胸は高鳴る。彼の庇護欲が、さらに深まったのを感じた。


しかし、この成功は、レオナルド伯爵を激怒させた。


その日の夜、私は伯爵から「最後通牒」を受け取った。


「アルメリア騎士爵。君は、王国の未来を弄んだ。次、私を邪魔するなら、君の領地にある『古代王国の鍵』の秘密を公表する。そうなれば、君は王国の敵となるぞ」


(うわー、最悪の脅しじゃん!やっぱりあの人、本気でヤバいよ!もう後戻りできない最終ルートじゃん!)


騎士爵ルミアの奮闘記は、王国の根幹を揺るがす、古代の魔法を巡る最終決戦の予感と共に、クライマックスへと向かうのだった。

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