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守ってあげたい女子の学園二位に君臨する脱力系幼馴染が俺の義妹を見た結果、対抗手段を間違ってイケメン女子になった  作者: 遥風 かずら
第三章 見えない幼馴染と見られる幼馴染

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32.鈴菜side もしかして間違えちゃった?

 そもそもわたしがここまで変わったのは、貴俊くんに突然現れた妹のせい。だから、すぐにこころちゃんに連絡して相談した。


「はぁ? 黒山に女の影? それも見たこともない妹~? 幼馴染なのに今まで一度も見たことなかったの? 変だよそんなの~」

「そ、そうかなぁ~?」


 こころちゃんははっきり言う子だから幼馴染に対してもそんな風に思ってるんだろうけど、いつもいつも会ってるわけじゃなかったし分からないことばかりだよ。


「考えられるのは実は許嫁がいたとか、義理の妹とか、そんな感じだと思うけど……」


 許嫁はないと思うんだけど、義理の妹! それならありそう。だって、貴俊くんのママってシングルのはずだし。


 幼馴染なのに妹の存在を知らないのは変だよなんてこころちゃんは言うけど、貴俊くんはわたしのお家には来てくれるけど、わたしはお店の方にはお邪魔するけどお家の方にはほとんど行ったことがないから分からないんだよね。


 見た感じ、あの妹ちゃんはわざと甘えを見せつけてる感じがしたし、妹になってからまだ日が浅そうだしそこまで年数的に長くない気がする。


 そんな妹ちゃんをなるべく甘やかそうとしてるのか、貴俊くんは全然怒る感じじゃなかったから義理の妹なのかな、やっぱり。


「あいつの親が再婚とかしたんなら、間違いなく連れ子の妹だと思う」

「再婚! そ、そっかぁ~そうなるよね」

「……で、鈴菜はどうしたいの? 甘えまくる妹に負けたくないの?」

「うん……。ただ単純に甘えてばかりじゃ貴俊くんは全然気づいてくれないと思うんだよ~。でも、わたしどうすればいいのか分からなくて」


 響ちゃん先輩のアドバイスも聞いたけど、今のわたしじゃどうにも変わりようがないし。


「イメチェンしてみれば?」

「ふぇ? わたしのイメージってどんなの?」

「いつも眠っててだるそうでやる気無さそう……」

「う、うぅ~」


 こころちゃんだけじゃなくて、同じクラスの子たちもそういう感じで見てるよね、きっと。


「そのくせ、鈍すぎる黒山に甘えてそのままにしてる」

「あぅ……」


 その通りすぎて思わず泣きそうになった。


「そこでなんだけど、鈴菜ってもうさ、守ってもらわなくてもいいって思ってない?」

「え、うん。だってあれはこころちゃんが推してくれて二位になれただけで、わたし別に誰でもいいわけじゃないから……」


 全ては貴俊くんの関心を惹かせるために始めたことだったし。でも、井澄学園の二位に半年も居続けて何かそれでいいかなとか思い始めちゃってた。


 でも、結局意味なんかなくて。


「じゃあ、やめよっか?」

「それって、ランキングから外れることが出来るって意味?」

「まぁね。一位は響先輩で不動だけど、ぶっちゃけ二位と三位なんて実行委員会次第だからすぐに変えられるわけだし。夏にまたランキング更新されるし、鈴菜がそうなら候補から外すことも出来るけどどうする?」


 ランキングにずっといたら、きっと変われない。守ってあげたいランキングにいる限り、イメージチェンジなんて誰も望まないはず。


「こころちゃん。わたし、変わりたい! 全然違う自分になって、それで彼の興味を持たせて、それから……」


 そんな感じでこころちゃんに協力してもらいながら、体力づくりとか髪を染めるだとか、言葉遣いを強気に直していたのに――それなのに。


【鈴菜がいる前でくっつきまくっていたのは事実。だけど、特に何も起きてない。甘えられて悪い気分にはならないけど、だからといってって話だぞ?】


 なにそれ~!!


 わたしの勘違いから始まってイメージ変えて努力して……話すのが苦手な女子たちに強気な態度で近づいて――全部わたしの勘違いだったなんてあんまりだよぉ!!


 髪を短く切ったのは別にいいけど、女子たちにイケメン女子だなんてもてはやされるようになるし、正直もう面倒くさい。


 でも、すぐには直したくない。だって、あの妹ちゃんと直接話してないから。


 だからこの姿のままで貴俊くんに向き合う。


 甘える妹に負けないように、わたしは強気のままで貴俊くんに言わせてみせるんだ!

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