22.鈴菜side 好きになってもらう為に
わたしの上のランキング一位にいる彼女の名前は、響ちゃん。
小さくて可愛い先輩。名前を教えてもらった時、守ってあげたいランキング一位の人って初めて知ることが出来た。
そんな響ちゃん先輩から教えてもらったのが、幼馴染の貴俊くん攻略。
今まではずっと幼馴染であることに甘えていて、お互いのお家(貴俊くんはお店)で好きなことをしてきた感じだった。
雨の日はわたしのお家で――。
でも、それが良くなかったかもしれないって気づいたのはつい最近。
だって貴俊くんって、全然わたしを意識してないから。意識してるのはわたしだけで彼には全くその気すらないんだって気づいちゃった。
ママ公認だとしても、彼はわたしをそんな目で見てない。なんか、それってなんだろうって思っちゃった。
だからなのかは分からないけど、こころちゃんの彼への態度が分かりやすいくらい厳しくなってて、それが逆にわたしにも悪影響を――だなんて、彼女には言えないけど。
「もしかしたら早朝に眠りに行くかもだけど、行っていいかなぁ?」
お店は改装とかしてないのに、事務室だけ改装するって聞いてたから無理かもって思ってたけど、彼は返事に悩みながら。
「ん〜まぁ、別にいいよ」
オッケーを出してくれた。なんだか久しぶりだし凄い嬉しくて、でも、迷惑かけたくなくて制服のままでお邪魔したけど。
そしてその日、どうにかして貴俊くんに気づいてほしい――そう思いながら過ごしていたら、何でか分からないうちに彼に妹が出来てた。
そういうのも含めて、貴俊くんはわたしに何も教えてくれなくて、幼馴染なのに何でだろうって悩んじゃった。
その妹さんはとにかく貴俊くんにべったりで、それこそわたしよりも全然くっついてて。その子がいるからなのか、彼はわたしをあまり気にしなくてもいい感じになってた。
「ただの幼馴染ならそれくらい気にしないよね?」
……なんて言われて、頭にきた――ううん、これはわたしが変わらなきゃ何も変わらない時がきたんだって思っちゃった。
だから黒山貴俊くん。
君がそのままなら、わたしが変わるね。わたしが変わってみせるから……だから、強引に甘える妹に負けない強さできっと貴俊くんを夢中にさせてあげるよ。
――これからは、わたしが強くなるんだ。




