第8話 強奪!誓いの指輪
前回のあらすじ。
アングリーの好物を聞いたメアリーは、彼をおびき寄せるべく、好物である酒瓶を落とし穴の前に置いた。
しかし、彼を押し飛ばしたメアリーは、彼に捕まり、一緒に落とし穴へと落ちてしまった。
「つっ!痛い!!」
メアリーが気が付くと、一番最初の場所へとたどり着いた。
「また。死んだのね。」
4回目の死を迎えた、メアリーだったが、彼女は不思議と冷静だった。
「今回の失敗はあれね。酒瓶を落とし穴の前に、置いてしまったのが間違いだったわ。」
メアリーはそう考え、改めてアングリーを罠にハメる計画を練りながら先に進む。
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「それじゃあ、よく聞いてくださいよ。ここから出る、過酷な方法を。」
メアリーはその後も進んでいき、サドからのアドバイスを聞くところまで進んだ。
彼女はめんどくさかったので、今回は最初にサドからのアドバイスを聞いたときと同じ回答をした。
それじゃあ、必要な物を教えますね。まずは、アングリーが持つ『誓いの指輪』。その下の階層にいる『喜怒哀楽団』の『快楽担当』である『ロール』が持つ『偽りのネックレス』。
最後に、その下にいる『喜悦担当』である『スマイリー』が持つ『百種の面』。それを最下層にある像に付ければ、出口の扉が開くんだ。」
「そう。ありがとう。」
メアリーはそうそっけなく返して、先へと行く。
彼女がアングリーが寝ている部屋へとたどり着くと、酒瓶を盗み出す。
そして、タンスのようなドアへと向かう。
彼女が、そこにたどり着くと、サドはもう、すでにそこにはいなかった。
「(そういえば、前回のときも見かけなかったわね。向こうは落とし穴だし、最初にここで彼と出会ったときは、再開することはなかった。
どこかに、隠し扉でもあるのかしら。)」
メアリーはそう思い、反対の廊下を進む。
そして彼女は、ナイフ等が入れられている棚と出会う。
「ここの刃物の切れ味は、身をもって証明済みだし、1つ持っておこうかしら。」
メアリーは棚から、包丁を1つ取り、先へと進んだ。
──────────
メアリーは酒を持ちながら、這うように、タンスのような扉の先を進む。
出口にたどり着いたメアリーは前回、酒瓶を置いた場所とは、落とし穴を挟んで反対側に、酒瓶を置いた。
「よし、あとはあいつが来てくれれば…。」
メアリーがそう独り言を言いながら、隠れていると、アングリーが、落とし穴の向こうからやってきた。
彼が、酒瓶を見つけて走り出す。
「(よし、あとはあいつが落ちれば!)」
そう思ったメアリーだったが、アングリーはいとも簡単に、落とし穴を飛び越え、酒瓶を手にした。
「噓⁉」
メアリーは驚いた。しかし考えてみれば十分あり得る可能性だったのだ。
なぜなら、メアリーが通った通路は狭すぎて、アングリーが通ることは不可能なのに、最初に襲ってきた場所と、アングリーが寝ていた場所だと、落とし穴を通らないと、移動することができないからである。
「ちっ!!」
メアリーが舌打ちをしながら、アングリーに向かって走り出す。
しかし、彼女は、その音に気付いたアングリーに捕まり、落とし穴の向こうへと投げ飛ばされてしまう。
「ぎゃ!!」
メアリーは床に思いっきり叩きつけられる。
彼女が起き上がると、アングリーがこちらに向かって走り出していた。
メアリーを捕まえようと、左腕を大きく前に出し、落とし穴を飛び越えるアングリー。
「こうなったら!!」
メアリーは隠し持っていた、包丁を取り出し、アングリーの左手を切り落とす。
その痛みで、左腕をおさえ、バランスを崩したアングリーを。
メアリーは、足で蹴り飛ばす。
アングリーの速度は一気に止まり、彼は落とし穴へと落ちて行く。
「ぐあぁぁぁ!!」
大量のトラバサミが、彼に食らいつき、叫び声を上げるアングリー。
メアリーは彼には目もくれず、ただ、床に落ちた彼の左手を掴み上げる。
そして、その手から、『誓いの指輪』を抜き取る。
「手はお返しするわ。さようなら、忌まわしき屑野郎。」
メアリーは落とし穴に、アングリーの左手を落とすと、先へと進んでいった。
次回予告
『誓いの指輪』を手に入れた、メアリーは次の階層へとすすむ。
そこには、アングリーの暴力性とは違った、恐ろしい殺人鬼が潜んでいた。
次回 第9話 入手成功?偽りのネックレス