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国家転覆初日3とその後

 ドロシー、クラリスと一緒に魔人軍を浄化していると、王都の城門付近に一際禍々しいオーラを放つ魔人を見つけた。


 周りには骨だらけの魔人や魔獣たちが市民を襲っていた。これはどういうことだ?


「お、おっさん」


 ふと、近くの路地裏からか細い声がして目を向けると、見知った顔があった。倒れていたのは高校生勇者の翔太だった。翔太は体を押さえ、息も絶え絶えに言葉を続ける。


「あそこにいる魔人は三傑魔エリシア。死んだ魔獣や魔人を蘇らせる死霊術使いだ。気をつけたほうがいい」


 三傑魔。ゲイブランドには魔人王カルヴァンの他に3人の魔人幹部がいるという。その一人が王都内部にまで侵入してきていたのだ。

 

 そこまで言うと高校生勇者は力尽きたように意識を失った。起こして様子を確かめると、まだ息はあるようだ。ひとまず安心する。


「僕が相手するから下がってて」


 ドロシーが一歩前に出た。


 エリシアは老婆のようにくたびれた姿で一心不乱に呪文を唱え、骨だらけの魔人や魔獣を召喚し続けている。ドロシーは隙を見て呪文を唱えた。


「闇を切り裂く審判の光。浄化光《サンライズサンライト》!」


 王都の空に現れたもうひとつの太陽から無数の光線が降り注ぎ、魔獣や魔人たちを焼き尽くした。


 三傑魔エリシアには特大の光線が突き刺さり、為す術なく奇声を上げて蒸発した。


「あっはっは!僕の魔術にかかればこんなもんだよ!」


 ドロシーは上機嫌に高笑いをしていた。今だけはこいつの方が魔人みたいだな。



 俺は一旦城に帰り、アナスタシアと城壁の上から街の様子を見ていた。


 「ダイスケ様の勇姿、拝見いたしましたわ」


 「いや、俺は魔人たちに飯を食わせただけだ」


 【業務用スーパー】のピザやパンを食べさせたことによってゲイブランドの魔人兵は元の人間に戻った。やがて城下町のゲイブランド軍は完全に消え、屋内に身を潜めていた住民も外に出てきていた。


 一時は城の中まで敵兵士が押し寄せてくるのではないかとひやひやしていたが、どうやら戦いは終わったらしい。


「やはりダイスケ様の力は本物でした」


 アナスタシアは城下の様子を見渡し、安心したように呟いた。


 俺は様子を窺うために街に降りると、あちこちから民衆が集まってきてあっという間に囲まれた。なぜか皆、口々に礼を言ってくる。困惑しているとイリスが群衆をかき分けて現れた。


「もうみんなダイスケ様のスキルでゲイブランド兵が浄化されたことを知ってるんですよ!」


 どうやら、俺のスキル【業務用スーパー】で魔人を浄化したことが街中に広まっているらしい。民衆に「王都の救世主だ!」「よっ真の勇者!」などと言われ祭り上げられた。


「もうゲイブランド軍はいねぇんだ。ダイスケとパーッと飲もうじゃねぇか」


 その中の誰かが提案する。それに民衆が「おう!」と呼応すると大勢に囲まれて酒場に連れていかれた。


 詳細には覚えていないが、いくつもの酒場に連れていかれた。どこに行っても歓迎され、一生分の酒を飲んだ気がする。


 目を覚ましたら知らない宿屋にいて半裸の状態で寝ていた。ずいぶん飲まされたようだ。ほとんど記憶はない。


 外に出ると、あれほど襲われていた街が少しずつ元通りになっており、いつもの賑わいを取り戻しつつあった。

 

 何気なく歩いているだけで声をかけてくれる人も大勢いた。悪い気はしないが、知らない人に声をかけられるのはまだあまり慣れないな。


 王城に戻ると、ベルトランとアナスタシア女王が何やら慌ただしく話し合っていた。


「ちょうどいいところにいらっしゃいました」


 出くわしたアナスタシアが、こちらに気づいて微笑む。何のことだろうと首をかしげていると、ベルトランがすかさず口を開いた。


「ダイスケ様。アナスタシア女王陛下とのご結婚をご検討いただけませんか?」


 ……は?結婚?


 よくわからないが、どうやら俺はアナスタシアと結婚することになるらしい。

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