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セデリア国王視点2


 勇者召喚の際、カガ・ダイスケを見たバルタスはある提案をした。


「あの者は勇者のくせに能力が低く、魔人王討伐には役に立たないでしょう。どこかに追放するのが良いかと」


 ふむ、これもバルタスの言う通りだ。この国には無能を養う余裕はない。先の貧乏人たちのように、路頭に迷い食べ物にありつけず魔人になって暴れられても困る。


 しかし一方で、勇者をぞんざいに扱ったと噂されるのも面倒だ。悩んだ末にダイスケを離れの屋敷に追放することにした。

 

 あの屋敷の近くには魔獣の森があるが、あやつが魔獣に食い尽くされたとしても処理する手間が省けるので良いだろう。


 また、あの屋敷は王都の北に位置しているのでゲイブランド国が攻めてきたときは真っ先にあの屋敷が襲われることになる。そのときは危険を知らせる目印としても使えるはずだ。


 「貴様は魔人王を倒す勇者になど絶対になれない。だから誰の迷惑にもならないように隠れて暮らしてくれ。王都の郊外に離れの屋敷があるからそこで静かに暮らすと良い。くれぐれも大いなる力を持った勇者の邪魔はしないで欲しい」


 こうしてワシは王都からダイスケを追い出した。


 そしてしばらく経ったある日。臣下が王都で妙な噂が流れていると報告してきた。


 "ある日、王都に魔人の軍勢が押し寄せる。そこに魔獣を克服した軍団と真の勇者が現れ窮地を脱するだろう"

 

 王都の民はこの噂を真に受け、家に防護を施したり、水や食料を備蓄し始めている。まったく、片腹痛いほどくだらない噂だ。


 どこの誰が流したかわからないが、愚かな者に限ってこういったものをすぐに信じるものだ。気にも留めなかった。


 数日後。ゲイブランド軍が北方の国境を突破し、王都へと進軍していると報告があった。


 北方の国境付近はヴェルター伯の管理している土地だったはず。急いで使者を送ったが北方の伯爵からの連絡は一切届かなかった。


「勇者たちを呼び寄せて対応させましょう。異世界人ならどうなっても痛手にはならないでしょう。近くの貴族たちにも王都防衛を要請しましょう」


 バルタスの言葉に従い勇者一行を呼び戻した。この前召喚した優秀な勇者たちなら王都の防衛も簡単にできるだろう。


 同時に近くの領地の貴族にも加勢を呼びかけたが、反応は芳しくなかった。ワシの呼びかけに応じないとは何たる不敬か。


「そういえばもう一人無能な勇者がいましたな。あの男も呼び寄せましょう。噂によれば魔獣を飼いならすことができるとも言われております。それが嘘でも囮ぐらいにはなるでしょう」

 

 バルタスはダイスケをも利用する案を出してきた。


 そういえばダイスケは離れの屋敷にいるのだったな。あやつにも手紙を送り、助けてもらおう。大した戦力にはならないだろうが、王国のためとなれば喜んで駆けつけてくれるに違いない。


 しかし、何度手紙を送っても返事は来なかった。


 そして今朝、なぜか騎士団と魔術師団の多くの者が行方不明になっていた。加えてアナスタシアの姿も王宮にはなかった。アナスタシアはまだしも、騎士や魔術師が王都にいないのは問題だ。


 各組織の団長に事態の確認を命じた。しかし、どこを探しても騎士と魔術師たちの姿は消え失せ、城内は大混乱に陥っていた。


 団長たちは一体何をしていたのか。古くから親交のある魔術師団長と騎士団団長を呼び寄せて罵倒した。


 「貴様らは何もできない無能だな!この緊急時に組織の統制もできずに何をやっているのだ!」


 この二人は昔から親交があり、貴族出身なので団長に据えていたのだが、このときばかりは急に頼りなく見えた。


 こやつらには戦闘能力も特殊なスキルもなく、実戦においてはまるで役に立たない。二人を問い詰めているうちにもゲイブランド軍は王都の近くまで迫っていた。


 各地からの援軍は集まらず、王都は崩壊寸前だった。情報は錯綜し、指揮も乱れ、城内は混乱の極めた。


 そんな混乱に乗じて、失踪していた娘アナスタシアが騎士や魔術師を従えて突如、城を急襲してきた。


 その結果、ワシの城はアナスタシア率いる第三勢力に占拠された。その混乱のさなか、ワシの右腕であったバルタスはある一人の女騎士によって命を奪われることになった。

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