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アナスタシア王女視点3

 私はダイスケ様の企みの確認と国家転覆計画をご説明するために離れの屋敷を訪問いたしました。


 屋敷の周りでは報告通り、のんびりとした様子の異種族が暮らしており、内心では少し驚きました。しかしそんなことで怖気づいている場合ではございません。

 

 屋敷に入るとまず目に入ったのはクラリスとドロシーが緩んだ表情で談笑している姿。騎士団と魔術師団の副団長にこんな姿をさせるとはダイスケ様はどのような甘言を用いてこの二人を懐柔なさったのでしょうか?

 

 ダイスケ様と話すにあたり、最初から本題に入るのも芸がないので私は異世界の食事を食べたいと希望しました。正直申し上げますと、ダイスケ様の美味しい料理がただ食べたかったというのが本音でございます。


 イリスと話している間にふと見るといつの間にかキッチンにダイスケ様の姿はなく、別の部屋に移動したようでした。私はイリスの制止を振り切ってダイスケ様の声がする部屋の扉を開けました。


 部屋の中ではダイスケ様とドロシーが謎の魔道具を囲んで動かしていました。どうやら電子レンジという名前の魔道具で、その箱の中では食べ物や飲み物を温めることができるというのです。


 これでよくわかりました。以前よりベルトランから様々な報告は受けていましたが、ダイスケ様は本当にこの屋敷で王国の有力な人材を集め、不可思議な魔道具の開発をし、異種族たちを引き連れていたのでした。


 ダイスケ様の思惑は分かりませんが、国家転覆計画を遂行するべくこのお方は必ず説得しなければなりませんでした。これからの計画とその後において、ダイスケ様がもし私たちと敵対したら何をなさるか計り知れなかったからです。


 私は本題に入りました。


「一緒に協力してセデリア国に反乱を起こしましょう」


 私とダイスケ様が組めば、この落ちぶれた王国を再建することができるでしょう。成功した暁には報酬をなんでも用意する予定でした。これはそんなに悪くない提案のはずです。


「残念だが俺はそんな無謀なことには参加しないぞ」


 ところがダイスケ様は計画の内容も聞かずにそんなことを言い始めたのです。


「俺はそんな計画少しも企んでいないからな」


 聞くところによるとこの屋敷で行われていることは全てダイスケ様の理想のスローライフのためなのだそうです。


 ということはどうやら私たちは少し早とちりしたようです。以前、クラリスとドロシーに話を聞いたときダイスケ様は何か壮大な計画をしていると話していました。しかし、この話はどこかで食い違いがあったのでしょう。


 聞くとダイスケ様には企みなどなく、本当にのんびり暮らしたいというわけです。ましてや国家に立ち向かうことなど少しも考えていないということでした。

 

 しかし、これほどまでに戦力や人材がそろっていて、生かさないのはもったいないとお思いにはならないのでしょうか?


 私は必死に説得しました。


「計画に協力しないのであれば、私自ら父上に全てを報告しますわ。貴方の望まれるスローライフもこれで終わりとなるでしょう」


 この言葉は賭けでした。一気にダイスケ様との関係が悪化する恐れもありますし逆にダイスケ様が私たちのことを父上にお伝えになり、私たちが咎めを受ける可能性もございました。


 しかし、私たちはもはや運命共同体でございます。お互いに秘密を抱え合った同士なので裏切ることはないはずです。


 それにダイスケ様の平和に暮らしたいという願望と私の国家転覆計画は矛盾いたしません。むしろ国家転覆さえうまくいけばその後に私たちの平和な世界が戻ってくるはずです。


 むしろあまりに目立ちすぎた現状でこの生活を続けていても、それがいつか終わってしまうことを、ダイスケ様もお分かりなのではないでしょうか。

 

「その国家転覆計画っていうのは本当にうまくいくのか?」


 やがてダイスケ様は苦々しい顔をして私の言葉に耳を傾けてくれました。


 ここまで来たらご同意いただいたも同然でしょう。私とベルトランはダイスケ様に国家転覆計画の概要を説明しました。


 ただ、ダイスケ様には申し訳ありませんが、ご説明の中には少々都合の良い解釈や方便も含まれております。また、ダイスケ様をさらに英雄に仕立て上げる計画もあります。これは後々謝罪申し上げなければなりませんね。


 ともかく、こうして私はダイスケ様と国家転覆を遂行すると決めました。ここまで来たら私たちはもう引き返せないのですよ、ダイスケ様。

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