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俺の屋敷が反逆者の集会場みたいになってるんだが

 屋敷に王女が押しかけてきて俺を国家転覆計画に誘ってきた。


 でも俺はそんな計画考えたこともないし、正直そんな計画に参加したくもなかった。


 「俺はのんびりとここで暮らしていくのが目標なんだ。反乱なんて考えてない」


 「じゃあクラリスとドロシーを引き入れたのはなぜですか?」


 納得がいかないのかアナスタシアは身を乗り出して俺に質問をしてくる。


 「こいつらに飯を食わせればこの屋敷を護衛してくれると言ったからだ」


 「じゃあ異種族たちと暮らしているのは?」


 「なんか懐いてきたから一緒に住んでいるだけだ」


 「騎士団や魔術師団のメンバーがこの屋敷に出入りしているのは!?」


 「あいつらは俺のスキルで異世界の飯が食いたいだけだ」


 怒涛の質問攻めだ。アナスタシア王女は根本的に何かを勘違いしているように思える。


 王女は俺の回答に唖然として数秒黙っていた。そして、気を取り直したのか再度質問する。

 

「ダイスケ様の考えは分かりました。ですが、貴方はそんな素晴らしい力を持ちながら国民や国のために使おうとは思わないのですか?」


 アナスタシアは力がある者は民のために尽くすべきだと考えているらしい。その考えはたいへん殊勝なことだが、自分自身のことで精一杯の俺には響かなかった。


「国とか民とか興味ないんだ。俺はのんびりと生きるのが目標なんだよ」


「そうですか、残念です。しかし、私の計画については聞いてもらいますよ。そのうえでダイスケ様が参加するかどうか決めてください」


 計画には参加しないとさっき言ったはずだが、王女は勝手にセデリア王国に対する国家転覆計画を話し始めた。みんな真剣に王女の話を聞いており、どうやら本気らしい。

 

 その日は王女が話を終えると解散になったが、国家転覆のための集会はその後も頻繁に開かれた。しかも集会が開かれるうちに魔術師団や騎士団の連中も集会に加わるようになった。


 それだけでなく、最近では辺境貴族や領主たちまでもが王女と国家転覆について話し合うために屋敷を訪れる始末だ。というか、いつのまにか俺の住んでいる屋敷が反逆者の集会場みたいになってるんだが、誰か助けてほしい。


 俺は集会の度にそんな危ないことはやめないか、誰も得しないじゃないかと説得した。しかし王女の決意は固いようで聞き入れてはもらえない。むしろ王女は俺にこの計画に参加しろと逆に説得してきた。


 「ダイスケ様がいないと異種族たちが言うことを聞いてくれないでしょう。争いになったら一緒に戦ってもらう予定ですのよ?」


 俺は国家転覆の主要メンバーとして扱われていた。それどころか異種族たちと一緒に戦わなければいけないらしい。


 そしてずっと計画に反対していたら、ついには脅される羽目になった。


「父上は貴方のスキルや魔獣を飼いならしていることを知りつつあります。このままでは屋敷に住み続けられるか怪しいのですよ」


 大人しくスローライフしていたつもりだが国王の耳には噂が入っていたらしい。


「計画に協力しないのであれば私自ら父上に全てを報告しますわ。貴方のスローライフとやらもここで終わりです」


 王女は急に不安を煽ってくる。


 一旦、国がどうのこうのという話は置いておくとして、既に国王に知られているのであれば確かにこの生活がいつまでも維持できるかは怪しい。


 王女によると既にこの屋敷の生活はかなり目立っているとのことだ。王宮内では俺が魔道具を開発し魔獣を飼いならしてドロシーやクラリス、イリスを侍らせて酒池肉林の生活をしているとの噂が流れているという。誰だ、そんな噂を流したやつは。


 この話がそもそも嘘か本当か分からないが、本当だった場合とてもマズイ。最悪の場合、国王にこの屋敷を返せと言われる可能性もある。


 国王にも既に俺の生活がバレているのであれば、アナスタシア王女側についた方が良いのではないか。そんな考えがふとよぎった。


 「その国家転覆計画っていうのは本当にうまくいくのか?」


 俺がついにその質問をするとアナスタシアは大喜びで答えた。


 「ついに参加してくれますのね!ダイスケ様も知っての通り、騎士団や魔術師団、さらには領主たちも父上や宰相の圧政に飽き飽きしています。私が反乱を起こせば、みんなこちら側についてくれます。もちろん王都の市民も協力してくれますわ」


 そんな自信満々なアナスタシアの顔を見て、俺は深くため息をついた。これはどう考えても今までで一番の面倒事だ。


 俺は平穏なスローライフを望んでいたはずなのに気づけばとんでもない計画に巻き込まれていた。だが、もしこの面倒事さえ乗り越えれば再び平穏な日々が手に入るのだとしたら。


 ならば今は――その国家転覆とやらに手を貸すしかない。

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