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5話 処刑される運命

 行く手を阻害する兵士だけを射殺し、全速力で走り出す。


 「あのガキ大砲持ってるぞ!」


 発砲したと同時、古風な風貌の兵士達は大声を上げて何故か驚いていた。銃なんか今やありふれた武器だというのに、そんなに珍しいものだろうか。

 敵兵の大軍は俺が殺した兵士の屍を乗り越えて追い掛けて来る。


 常に前を向いて走っているが、何人か俊足の奴が混ざっているので、時々振り返っては背後の敵にガバメントの雨を浴びせている。

 逃走している内に野営地を突き抜け、森へ逆戻りしていた。


 銃を撃ち続けている間に弾倉の弾が消滅した。弾切れだ。リロードしたいところだが、すぐ後ろにはロシア軍並みの危険な匂いが漂う集団。こんなタイミングで装填してしまうと、数の暴力で数秒後には俺はスーパーに並んでいるミンチ肉に姿を遂げているだろう。


 空になったマガジンを投げ捨て、ハンドガン片手に駆けていると、運の悪い事に小石に足を引っ掛けて転倒してしまった。

 顔に微かな痛覚が走った気がするが、そんな些細な傷を気にしている余裕はない。治療は後だ。


 自分としてはすぐに立ったつもりだが、崖から飛び降りる寸前のように敵が周囲に押し寄せていた。さらに背後には太くて大きな木が生えているので逃げ場がない。

 これはとても困った―――


 ガバメントは弾を撃ち尽くした上、周りはぎっしりと敵が囲っているので装填できそうにもない。小銃も槍の兵士を怖がらせないために弾倉を抜いてしまっているため、銃での反撃は不可能といっても過言ではない。手榴弾を使えば周囲の敵を一掃できるが、自分と敵の距離が近いので自分も爆風の影響を受けてしまう。ではナイフはどうだろうか。近距離で使用すると致命的な傷を負わせられるが、それはあくまでも対象が1人の時で、なおかつ不意打ちだ。こんな状況で堂々とナイフ1本で戦える訳がない。


 横に立っていた剣を持った兵士が俺の首に鋭利なエッジを押し付けようとしてくる。

 自決とは比べ物にならない恐怖を体感し、後悔も生じた。

 こんな訳の分からない土地で、訳の分からない連中に殺されるなんて最低最悪の気分だ。これなら、まだロシア兵に投降しておけばよかったかもしれない。けれど、タイムマシンでも開発しない限り、過去へ遡行するなど絶対に実現しない。


 せめて、故郷で死にたかったという念を抱いて静かに瞼を下ろした。

 首元に鉄の冷たい感触が伝わる。もう助からないと悟り、もはや死に対する恐怖は薄れつつあった。

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― 新着の感想 ―
リアルで緻密な緊迫感のある戦闘描写が迫力ありますね。 とても骨太なファンタジーだと感じました。 セルゲイがこれからどうなるのか気になります。
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