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49話 帝都の秘密施設

 家に入ったのはいいものの、肝心の工房は見当たらない。ソファにテーブルに本棚と、至って一般的な内装だ。


 「どこにあるんですか?」


 まさか壮大なドッキリなのではないかと思っていると、マフムードさんが屈んで床のカーペットを捲った。

 その下に隠されていた正方形の扉が出現する。


 「工房は、この下さ」


 床を指さし、僅かな取っ手を引っ張って扉を開く。下は真っ暗だが、鉄を加工する音が微かに聞こえる。


 「暗いから気を付けるんだぞ」


 そう注意を促されると、彼は備えられた梯子で降りて行った。

 俺もそれに続いて下って行く。梯子の鉄の冷たい感触が掌を刺激する。

 ストン、と地面に足が着いた。


 「照明点けるからな」


 マフムードさんが壁際にある装置を手慣れた様子で操作すると、地下の暗闇の世界に光が宿った。

 室内には様々な金属が保管されてあった。斧、刀剣、槍など、殺傷能力のある道具が中心だ。

 前方に堅牢な造りの引き戸があり、その向こう側から騒がしい音が響いていた。


 「ここは材料保管庫だ」

 「道具はどこから集めたんですか?」

 「主に国防軍と騎士団の連中から貰ったよ。俺達ラマスはリサイクルの名目で不要になった武器を回収してるんだ。ちなみに連中はこれで武器を作ってる事は知らないよ」

 「そ、そうなんですね……あはは」


 良くも悪くも、非正規組織といった感じだ。苦笑するほかない。

 保管庫の大まかな説明を受けると、彼が引き戸の前に歩み寄った。

 音がより一層激しくなる。


 「さあ、ここからが本番だ」


 引き戸が横に動いたと同時、ついに待望の工房が姿を現した。

 アルミ製の台でバレルを組み立てる人。

 斧や剣を溶かし金属の棒とか板とかに加工している人。

 旋盤で鉄を切断する人。

 作業員が一丸となって武器の製作に励んでいた。


 「凄い場所ですね」

 「まあ、この施設は俺が作ったからな」

 「1人でですか?」

 「いやそんな事はあり得ない。もちろん仲間と一緒にだよ。でも、設計は俺がやった」


 マフムードさんはテロリストなんか辞めて大手の銃器メーカーに就職した方がいい。

 工房の製造ラインに心も視界も奪われつつある際、部屋の角に人が何とか通れるくらいの穴を発見した。奥に真っすぐ伸びており、空洞というよりかはトンネルだ。


 「あれは?」

 「トンネルだ。色んな所にあるよ」


 何のニュース番組かは忘れたが、イスラエル軍はラマスの掘ったトンネルに苦しめられているというのを聞いた事がある。

 時代がどんなに進んでも塹壕やトンネルなどといったアナログな陣地は有効なのかもしれない。ベトナムでも硫黄島でも、アメリカ軍は蟻の巣のように掘削されたトンネルの攻略に手間取っていた。


 「行ってみるか?」


 そう誘われて、俺は考えもせずすぐに頷いた。

 トンネルは意外にも蒸し暑く、少し歩いただけで汗が掻いてきた。


 「どこまで続いてるんですか?」

 「答えはない。今でも掘り進められてるからな」


 基地の拡大はまだまだ続くそうだ。


 「まあずっと歩くのも疲れるだろうし、あそこに行ってみるか」

 「あそこって?」 

 「着いたら分かるよ」

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