17話 祖国にはもう帰れないんだろうな
近くの森に移動し簡易的なシェルターを作ったあと、寝転び休んでいた。隣ではレベッカが目を瞑って安らかに昼寝している。
「やっぱり無理か……」
俺は使える筈ないと分かりつつも僅かな可能性に希望を感じ、スマホをいじっていた。メールも動画サイトも、圏外と表示されて開けない。
インターネットに関わるアプリは使い物にならないので、それが関係ない写真を眺めた。
写真は色々だ。
友達と一緒に写ったものもあれば、家族や身内と撮影したものもある。
写真を鑑賞している内に、懐かしみと悲しみを覚えた。もう、あの世界に帰る事は多分無理なんだろうなと。
「皆、元気にやってるかなぁ」
今の自分にできる行動は、自国で戦う仲間達の安全を願う事だけだ。
「んん……寝ていましたか」
レベッカが目覚め、眠そうな瞼を擦りながら体を起こした。
「おはようさん」
ほとんどの機能が制限されたスマホ片手に言う。
「その板は……」
相変わらず眠たそうな様子で、スマホを指さすレベッカ。
「スマートフォンさ」
操作していたスマホの電源を落とし、彼女の方へ向ける。
「これ1台あれば、気になる情報はほとんど手に入れられるし、友達と連絡だってできる万能なものだ」
「それは凄いですね。どんな魔法や魔術を使っているのですか?」
流石は異世界。現実世界にないものがここにはあるみたいだ。
「そんなファンタジーなものじゃない。れっきとした科学の道具だ」
「こ、これが科学と?」
「まあ、お前には分からないだろうから気にするな。それにスマホ依存ってのもあるからな」
スマホをポケットへとしまう。ちゃんとした説明をしなかったからか、レベッカは不満げな顔だ。
夕方になり食事にありつき始めた頃、レベッカに今朝言われた事を再び警告された。
「夜間の外出は控えるように」
「またそれか、分かってるよ。ところで、昨日は何で来てくれたんだ?」
「たまたま目が覚めたからです。横に居ない時は焦りましたよ」
「それは失敬失敬」
軽く雑に謝るが、内心では恐怖を感じていた。
もし、レベッカが助けに来てくれなかったら、あの兵士に命を奪われていただろうと、心の中で静かに彼女へ感謝した。
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