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月夜譚 【No.301~】

古本屋の少年 【月夜譚No.323】

作者: 夏月七葉

 古本屋の一角に落ち着く場所がある。背の高い本棚が並ぶ店内の最奥、南側の隅に置かれた小さな椅子に腰かけて、選び取った本を読むのが彼女にとっての日課だった。

 その店は彼女の祖父母が営んでおり、小さな頃からよく遊びに来ては色々な本を読ませて貰っていた。高校生になった今も、学校帰りに寄っては気になった本を順番に読んでいる。

 今日も膝の上に本を広げて物語の世界に浸っていると、不意に視界が翳った。目を上げた先に、綺麗な顔が本を覗き込んでいる。

「何読んでるの?」

 彼女が本を読んでいるとよく話しかけにくる少年だ。歳は同じくらいだが、シャツと黒いズボンの制服は見たことがない。

 いつものように少しだけ会話をし、彼も自分で選んだ本を手に近くで読書をする。それは穏やかで、静かで、心が安らぐ時間だった。

 小一時間ほど経ってから辺りを見回すと、彼はいつの間にかいなくなっている。先ほどまで彼が読んでいた本が近くの本棚の上に置かれており、彼女はそれを手に取った。

(明日はこれを読んでみようかな)

 彼女が幼い頃から姿が変わらない彼は、彼女の好みそうな本を選ぶのが得意だった。

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― 新着の感想 ―
「本」には何かしら幻想的に思える存在が宿るものですね。姿が変わらない少年は、本の神様、魔法使い、人魚の肉を食べた人、本の化身、少女の心の分身……色んな想像が浮かびますが、答えは決まらなくて良いと考える…
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