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春の探偵イベント!3

 おはぎは恐々とスタッフルームを越えた。虫眼鏡を握りしめて歩いているのがバレそうで怖い。

 「おはぎちゃん、もっと堂々と!」

 「そ、そんなこと言われても……」

 怯えつつ歩くと広い場所に出た。ここは一般神も入れる休憩室のような広場。

 ベンチがあり、幼い神達が虫眼鏡をあちらこちらにかざしていた。

 「えーと、あの立ち入り禁止の……」

 「従業員で行くよ! ……てか、従業員も禁止じゃない。どうしよう」

 ヤモリは遠目から注意書きを読んだ。

 「ええ……」

 おはぎの不安そうな声を聞きつつ、ヤモリは考えた。

 「……」

 しばらく探偵イベントの探偵のように悩んでいると、突然、瓦礫が飛んできた。

 「ええッ!?」

 先程から怯えまくりのおはぎから悲鳴が上がる。何かが吹っ飛ばされてきた。

 「……竜宮を壊すのは従業員として許されるのか……」

 栄次だった。

 「栄次……大丈夫?」

 ヤモリが尋ね、栄次は平然と立ち上がった。

 「問題はないが……相手が狂暴というのか……」

 「だろうね」

 ヤモリはあきれた声をあげる。

 「……アッハハハ! 強すぎる! 武神をみせろ!」

 すぐに飛龍が飛んできて栄次に雷をぶつける。

 「ああ……やりにくい……」

 栄次は再び逃げ始め、悲鳴をあげるおはぎ。逃げ始める神々。

 だが、真剣に逃げている者はおらず、半分笑っている。

 「ん、今がチャンス! おはぎちゃん、怖がって逃げながら立ち入り禁止に入るんだ! 私はそれを助ける従業員!」

 ヤモリがおはぎを走らせ、おはぎは悲鳴をあげながら立ち入り禁止区域に逃げ込む。

 「ぎゃあああ!」

 「ああ、お客様っ!」

 ヤモリも周りが混乱している中、追いかけ禁止区域の階段を降りる。降りたところでおはぎが震えていた。

 「ふう、うまくいったじゃない。いい演技だったよ」

 「うわああん!」

 おはぎが泣きはじめ、ヤモリは首を傾げた。

 「ありゃ、ガチ泣き……」

 「うう……それで……」

 「虫眼鏡、貸して」

 「……はい」

 おはぎから虫眼鏡を受け取ったヤモリは虫眼鏡のスイッチを押し、過去見を起動させた。

 「うーん……」

 虫眼鏡に唸る龍神の姿が映る。緑の長い髪に龍のツノ。逞しい身体の男性。

 「うわっ! オーナー! ……って、映像か……」

 なんだかわからないが知らない記憶が流れはじめた。竜宮のオーナーで龍神のトップであるアマツヒコネ神はこの時何もなかった機械室で一つの機械を見上げていた。小さな四角い機械にモニターが付いており、それに常に変動している数字が映し出されていた。

 「一応、封印を霊的空間からこちらに持ってきたが……封印がバレてしまう可能性があるな」

 オーナーは誰かに話しかけていた。

 「申し訳ありません。僕のせいで……いや、あれと僕は関係ないですけど」

 オーナーに男性の声が答える。視界に入ってきたのは銀髪の緩いパーマの若い青年だった。

 「イドさん……?」

 ヤモリは眉を寄せ、記憶を見る。

 「封印が強大すぎてな、霊的空間で管理が難しくなり、機械でデータ化して結界を張ることに成功したことはしたがな、このままだと隠せんな」

 「どうしましょうか」

 「……遊園地を作り、逆に客を呼び込もう。その方が馴染む。遊園地の遊具の制御をここで行い、自然に馴染ませる」

 オーナーはイドさんを見た。

 「ええっ……そんなことできます? 怖いなあ……」

 イドさんは困惑した顔をしていたが、オーナーはやる気だった。

 そこまでで記憶は消えた。

 消えたというより、地震のような地鳴りがしたのでやめた。

 「飛龍が暴れすぎてて、そろそろオーナーが来そう……逃げよ!」

 「ええ……怖いよぉ……」

 おはぎは記憶を見ている余裕はなく、ずっとはじっこで怯えていた。

 「走るよ!」

 ヤモリがおはぎを引っ張り、階段をのぼる。のぼった先で飛龍が栄次と場外乱闘していた。

 ヒメちゃんは無事に探偵ゲームのお宝であるオモチャの宝石を見つけ、とても喜んでいた。

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― 新着の感想 ―
何か封印を隠しているようですね。なんだろう…。
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