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イルミネーション2

 「はい、ということで竜宮城にやってきました!」

 竜宮城前の浜辺についた時、すでに先客がいた。緑の風呂敷を昔の茶道家のような形にして頭にかぶっている着物の少女だ。

 カメラを構えている角髪の男性とマイクを差し出しているアシスタントのような性別不明な神も共にいた。

 「なんでテレビカメラがいるのよ……。新聞社の取材でしょうが……。歴史神とエビスじゃん……」

 ヤモリはあきれた声をあげた。

 「今日は、クリスマスということで! 明日まで開催のイベントに潜入! めいいっぱい楽しむよー! おー!」

 「おー!」

 リポーターの真似をしている少女はエビスである。新聞社社長、蛭子(ひるこ)の娘だ。掛け声に合わせて叫んだのは新聞社の社員、通称古事記組の太安万侶(おおのやすまろ)稗田阿礼(ひえだのあれ)である。

 ちなみに性別不明は稗田阿礼だ。

 「カット!」

 「はあはあ……エビスお嬢様……カメラ重いです……」

 「情けないわね! 竜宮城に来れたんだからめいいっぱい楽しみ……こほん、取材するのよ!」

 角髪の男性、ヤスマロにエビスは強めの口調で注意した。

 「すみません……エビスお嬢様……なん十分もタイトルコールとるとは思わず……」

 「まあ、いいわ! 中を取材しましょ!」

 「エビスお嬢! 麿達は書物編纂組ですよ……。これであってるかまるでわかりません!」

 性別不明の神、緑の着物を着たアレは困惑しながらエビスを見ていた。

 エビス以外はやらされているようだ。

 「大丈夫! 恐れるな! 楽し……皆に情報をお届けするのがエンタメ番組にはいるの!」

 「ああ、はい……」

 アレは頭を抱えつつ、使い方もよくわかっていない反射板を片付ける。

 「エビス、あんた、今日も破天荒だね」

 ヤモリがため息をつきつつエビスに尋ね、エビスは歯を見せて笑った。

 「なんだ、地味子じゃん。竜宮の幽霊部員でしょ? クリスマスイベントで従業員足らなくて呼び出されたの?」

 「……地味子じゃなくてヤモリなんだけど……。まあ、そんなとこ」

 「後ろの神といい、あんたらかなり怪しいな」

 エビスが疑いの目で見てきたので、ヤモリはてきとうに流した。

 「竜宮の研修生おはぎちゃんと、過去神の栄次がいるだけじゃない。あんたのが怪しい。新聞記者なのにバラエティー番組みたいのを放送しようとしているのはなんなの?」

 「私はこっちがしたいだけ」

 エビスは親指をあげた。

 「まあ、いいや。ところで社長は中にいるの?」

 「えー、パパ? いるよ。今はたぶん、竜宮オーナー天津(あまつ)様と会議中」

 エビスの言葉にヤモリの眉が上がった。

 「オーナーと会議?」

 「そう。何を話しているかはわからない。ちょっと来てよ。竜宮のクリスマスパレードの取材に行くのよ、これから」

 エビスは先に待たせていたカメを手招きし、人数を告げるとついてこいと指で指してきた。

 いつの間にかおはぎと栄次も人数に入っており、一同はため息をついた。

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