表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/32

秋の大遊園地2

 落ち葉が舞う。

 高天原南に入ったおはぎ、栄次、ヒメちゃんは誰もいない浜辺に立っていた。

 「そ、そりゃあ秋だからね……」

 おはぎは青い顔でつぶやき、前から歩いてきていた竜宮の使いカメを見つめる。おそらく、ヤモリが手配したのだろう。

 「どーもさね。栄次様とヒメ様はどんなご関係? 変な組み合わせだと噂にはなってるさね」

 「ダチじゃ!」

 カメが眉を寄せつつ尋ね、ヒメちゃんが笑顔で答える。舞妓さんのようなかわいらしい女性姿のカメは訝しげに見ていたがそれ以上は言ってはこなかった。

 「ダチ……」

 おはぎはげっそりしていた。

 「……うーん……まあ、お客様だし……いいさね。そこのイシガメはよくわからないけれどね」

 「……ええ、私もわからない」

 半泣きのおはぎも連れてカメは海へ飛び込んで行った。竜宮城は高天原南の海の中にある。

 カメに連れられていると呼吸ができ、おぼれることなく竜宮城へ入れる。

 「……私はこれ自体が不思議で仕方ないんだけど」

 おはぎは頭を抱えつつまわりを泳ぐウミガメを見ていた。

 気がつくと海底の下についていた。

 海底の下は地上。上を見上げると青空の上に海底がある。

 何を言っているのかわからない。

 それくらい不思議である。

 「じゃ、案内はどうするさね?」

 「えーと……」

 おはぎが竜宮の門を覗きつつ、お願いしますと言いかけた時、すぐにヤモリが神力電話(テレパシーのようなもの)をかけてきて叫んだ。

 「自分が使いのカメだから、私が案内するって言って!」

 「ええー……」

 「ん?」

 「わ、私がカメだから……案内します……」

 おはぎは目線をそらしつつ言った。

 「んん……んー……まあ、いいさね」

 カメは首を傾げると上空にある海へと帰っていった。

 「皆、ウミガメだからのー。おぬしは違和感満載じゃ! あははは!」

 ヒメちゃんの笑い声を聞きながら、おはぎは頭を抱えつつ、知らない場所の案内を始めた。

 「えーと、こちらが……なんだろ?」

 「無理はするな……」

 おはぎが何をするのかよくわからない滝壺に落ちていく遊具を指差し、何かを話そうとしたが、栄次が止めてくれた。

 横をみると「秋の大遊園地!」と書いてあった。外の遊園地でイベントをやっているようだ。

 「ふつうなんか……運動会みたいなやつな気がする。秋の大運動会みたいな……」

 おはぎが唸っていると、ヤモリの声が再び響いた。

 「竜宮のメインエンジンはあの立ち入り禁止区域だけど、竜宮の遊園地のエネルギーがあの封印からなのか、気になるね!」

 「だ、だから何……」

 「遊具に乗ってエネルギー源を見つけるわけじゃな! わーい! 秋の大遊園地じゃ!」

 ヒメちゃんは銀杏の葉が落ちる中、飛びはねて喜んでいた。

 「ええ……あれ、乗るの……」

 おはぎが半泣きになっていると、ヒメちゃんは栄次を連れてさっさと行ってしまった。

 「栄次は強いから遊具乗らなくてもひとり遊園地なんじゃ……」

 と、おはぎがわけわからないことをつぶやいていると、ヒメちゃんが来いと叫んでいたので頭を抱えながらジェットコースターみたいな乗り物の列に並んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ