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秋の大遊園地1

 暑い夏が終わり、少しだけ冷たい風が吹き始めた頃、おはぎは時神のおうちに招集された。

 温かいお茶を前におはぎは怯えながらヤモリを仰ぐ。

 「あ、あのー」

 「今回、私は行かないけれど、有力な情報を手に入れたの」

 「なんか、嫌な予感」

 「大丈夫大丈夫! 一年に一回のいちだいイベント! カムハカリにオーナーが出るからオーナーが不在になる!」

 「あ、あの……」

 ヤモリが興奮気味にいうのでおはぎは苦笑いを向けた。彼女が一番竜宮の謎を解きたいのかもしれない。

 「私、そろそろ冬ごもりの準備を……」

 おはぎが控えめに言うが、ヤモリは鼻息荒くお茶を飲み干し言った。

 「君、冬に元気だったじゃない」

 「うっ……」

 おはぎが冷や汗をかいていると、肩に手が置かれた。

 「あきらめろ。ここまで来てしまったら流史記姫(りゅうしきひめ)にのろう」

 「そんな……」

 おはぎに諦めた顔を向けていたのは栄次だった。

 「栄次もこんなことしていたら、罪にならないの?」

 「わからぬが、流史記姫は高天原西、剣王の側近だ。もしかすると、彼女の意思ではないのかもしれぬ」

 「どういうこと?」

 おはぎはすぐ横にいたヒメちゃんに目を向けた。

 「どういうことじゃろ? ワシもわからぬぞい!」

 ヒメちゃんはみたらし団子を頬張りながらお茶を飲んだ。

 「剣王タケミカヅチが関わっているなら、俺達が罪に問われることはないはずだ。指示を出したタケミカヅチが竜宮と戦うだろう。そうではないのか」

 「……」

 ヒメちゃんは黙り込んだ。

 「え、じゃあ! ヒメちゃんはお父さんについて調べたいとも思ってないの? 西の剣王さんの命令でお父さんの謎を解明したいの?」

 おはぎに問われ、ヒメちゃんはため息をつきながら二本目のみたらし団子を食べ始める。

 「……そんなことはないが……知らなくてもワシのパァパはパァパのままじゃ。タケミカヅチがワシに、知りたいなら知ればいいんじゃないの~って」

 「てきとう……」

 「ただ、竜宮オーナーは知らんだろうがの。あの封印の謎を解いておるのは」

 ヒメちゃんはため息をつきつつ、からになった湯飲みを見つめた。

 「ま、まあ、とにかくね、今回は私抜きで行ってもらって」

 ヤモリは苦笑いを浮かべつつ、栄次とおはぎとヒメちゃんを見た。

 おはぎはため息をつき、立ち上がった。

 

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