「尻の穴がカユい」
僕は、君を赦すことはないだろう
始まりは私が10代の頃だった
唐突として生まれた得体の知れない感覚は
今も私を苦しめることになろうとは
当時は思いもしなかった
それからというもの
ヨセミテに寄せてみたり
ホノルルの海風を浴びたり
南半球を謳歌したり
パリの街並を歩いたり
様々な地を旅してきた
あれから随分と時が経ったが
今日に至るまでの旅は
私の人生の糧となっている
その一方でずっと
ずっと
ずっと
尻の穴がカユい
カリフォルニアに居た時も
ハワイに行った時も
オーストラリアへ来た時も
フランスに訪れた時も
ずっと、ずっと
尻の穴がカユい
春夏秋冬関係なく
ずっと尻の穴がカユい
風呂上がりの時が一番
尻の穴がカユい
ほら、もうカユくて掻きすぎちゃって
また血が滲んでる
この数年は
尻の穴が血で滲んでいるのが
日常となっている
そりゃ病院で診てもらいたいよ
でもさ、でもさ
この歳でさ
第三者に汚ねえ尻を見せるのは
キツイのよ
治療の一環であれど
汚っちゃないケツを突き出すのは
イヤなのよ
むしろ子どもの頃の方が良かったかもしれないね
同じ尻でもさ、子どものは
まだそんな汚くないと思うのよ
そりゃ程度にもよるけどさ
けど成人以降の男性のケツは
問答無用で汚いものなのよ
もう八方塞がりよ
頭を抱えてるし
尻の穴もかいてるよ
もう痛えよ
でもカユいんだよな
なんか塗り薬か何かくれ




