「キウイを食べたくなる時」
これは俺がバス移動してた時の話だが
俺の前の前の前の席の
その右隣の後ろの後ろの後ろの席で
シケた面した壮年の男がこう言ってんの
「キウイが食べたい」って
いや
「キウイを食べたくなる時」って
どんな時?
え、いや、てか
「キウイを食べたくなる」って感情
あるの?
キウイを食べたくなる感情って
存在するの?
そりゃあ、無性にフルーツが食べたくなることは
俺もあるけどさ
よりによって、キウイなん?
じぶん、チョイスさ
ちょい奇抜ちゃいます?
まぁ、でも
俺と同じバスに乗っていた男が
「キウイを食べたい」と口にしたのだから
それが真かどうかは定かではないが
少なくとも
あの男がその感情になっていたかもしれないってことは
キウイを食べたくなる感情について
存在しないと断言することはできない
ところで
キウイを食べたくなる時って
どんな時なんだろうね
なんか、あれかな
実はあの男、オーストラリア出身で
オーストラリアの味が恋しくなって
キウイを食べたくなった、とかかな
でもあの男の人
オーストラリア出身には見えなかったなぁ
いやでも別に
外見は100%日本人ひいては典型的なアジア人だとしても
出身はオーストラリアで〜す、みたいなことも
あるっちゃあるのか
そういやさ
キウイで思い出したけどさ
俺が昔通ってた学校の給食変わっててさ
デザートのフルーツに、キウイが出てたのよ
最初見た時は何だこれとか思ってたけど
いざ口にしてみると
ほどよ〜い酸っぱさと、みずみずし〜い甘さが
最高だったんだよな
懐かしいな〜
本当に
おい
嘘だろ
キウイ食べたくなったやんけ




