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いろちゃんとなっちゃん

作者: はやはや
掲載日:2023/01/25

 タララー ラララ ラララララー

 携帯のアラームが鳴る。設定してある音楽は〝海岸で〟。

 私は眠い目を擦りながら、アラームを解除する。隣に目をやると、なっちゃんがいびきをかいて寝ている。

「なっちゃん、起きて」と、声をかけても起きないのはわかっているから、先に起きてベットから下りる。


 トイレを済ませたついでに、ユニットバスの小さな洗面台で、ばしゃばしゃ顔を洗い、目を覚ます。

 すっきりした。


 テーブルの上に置いたスマホでYouTubeを見る。この朝のYouTube時間は、誰にも邪魔されないし外も静かだし、一日の中で一番好きな時間だ。

 私はアニメを見るのが好きだったけれど、なっちゃんがYouTubeを見たまま、寝落ちしていたことがあって、何となくなっちゃんが見ていたYouTubeの続きを見たことがあった。

 それはナチュラルな暮らしを紹介している、女性のYouTubeだった。その日から、私はそのYouTubeがお気に入りになったのだ。

 時間をかけてコーヒーを淹れたり、パンを手作りしたり……何気ない日常が流れるだけだけれど、見ていると落ち着く。

 そして、そんな暮らしをいつかしてみたいなぁ、と思う。

 朝はナチュラル暮らしを、夜はアニメを見ることが、私のルーティンだ。


 気がつくと七時半になっていた。

「なっちゃん! 起きて!」

 とベッドにいるなっちゃんに声をかける。しばらく反応がなかったけれど「遅刻するよー!」と言いながら、スマホのアラーム音をわざと耳の近くで聞かせると、ようやく

「うーん……まだ眠いよぉ」

 と言いながら、しぶしぶ起きた。

「いろちゃん、おはよう」そう言って、欠伸する。



 なっちゃんが私と同じように、トイレを済ませて顔を洗っている間に、私は朝ごはんの用意をする。

 私達が毎朝食べるものは決まっている。

 私は全粒粉の食パンにバターを乗せたトースト、なっちゃんは牛乳をたっぷりかけたグラノーラ。飲み物は二人ともお茶だ。

 ベットの前にある、小さな机の上にそれぞれの朝食を並べた時、なっちゃんがユニットバスから出てきた。

「いただきます」二人でそう言って食べ始める。

「いろちゃんは、どうして全粒粉のパンにこだわるの?」

 なっちゃんがグラノーラを混ぜながら訊く。

「糖質オフだから」

「なるほど、体のこと考えているんだ」

 と、なっちゃんは言った。


 家を出るまで後三十分。なっちゃん、洗い物しないだろうなぁと思いながら、食パンを齧る。

 十分程で朝食を終えたら、次は着替え。

 洗濯物を畳むという習慣がないので、窓の前に干されたまま、もしくはベットの足元に放られたまま、の服の中から今日の一着を、私となっちゃんは選び出す。


 それぞれ忘れ物がないか鞄の中をチェックしたら、玄関へ。今日も無事八時十五分に、家を出ることができた。

 二人で並んで歩く。

「今日もいい天気だね」

「あの犬かわいいね。なんていう種類だろう?」

 二人で他愛ない話をする。


 さて、いつも通りわいわいと、子ども達で賑やかな、門の前まで来た。


「じゃあ、いろちゃん! 今日もいっぱい遊んで。お友達と仲良くね」

「うん! なっちゃんもお仕事頑張って!」


 そう言って別れる。

 私は「おはようございます!」と、門にいた先生に元気よく挨拶をした。

「いろはちゃんのご挨拶、いつも元気でいいね」先生に言われてうれしくなる。前に友達の姿を見つけて、私は園庭を走り出した。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 最後まで読んで驚きました。 いろちゃん、大人びてますね(笑) 糖質を気にする幼稚園児…末恐ろしいです。
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