表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勘違いおじさんの婚活日記  作者: 蒲池拓也
3/4

飲み会の始まり

「それじゃあ、最初はみんな生ビールでいいな? とりあえず生は社会人のルールだからな」

 といっても、ビールなんて苦いだけで美味いと思ったことなどなく、普段お酒を飲む場ではカシスオレンジのオレンジ濃いめでその場をやり過ごすのだが。

しかし、今日は無理をしてでもこれから社会人になる若造に、大人のお手本を見せないといけないからな。 

「私ビールって苦手なんだよね、何か甘めのものにするね。優ちゃんはどうする? 」

 冴子が優に飲み物を尋ねる。

「私はカシスオレンジにします」

 本来ならば最初の注文は社会人として、とりあえず生は譲れないのだが少し俺は嬉しくなった。

優も俺と同じでカシスオレンジが好きなのか結構気が合うもんだな、もしかして付き合ったりしたら意外といい関係が築けるんじゃないか? 

 今までは職場の部下として見ていなかったのだが、意外な共通点を見つけ親近感をおぼえ部下としてではなく人として興味を抱いたのだ。


「まぁ、2人は好きなもの頼んでよ俺はビールにするんで。やっぱり最初はビールからっすよね廣瀬さん」

 岡倉が店員を呼びドリンクのオーダーをする、こういった事を職場内でも発揮してくれれば俺が気を揉むこともないのだが今はまぁ、いいだろう。

 そこから楽しい飲み会が始まった。

3人ともアニメが好きらしく今期のアニメではアレが面白い、あのアニメのあの場面は泣けたなどたわいもない話をしている。

 アニメか、昔はよく見たのだが最近ほとんど見ないな。だが少し話に入ってみるか。

 自分の唯一知っているアニメの話題を出したのだが、3人はあまりピンときていない顔をしている。アニメ好きと言っていたのにあの名作である北斗の拳を知らないとは、怒りを通り越して呆れはててしまう。


「女の2人は知らないとしても、岡倉も知らないのか? 」

 俺は敢えて不機嫌な態度で聞いてみた、北斗の拳を知らないなんて到底許される事ではないからだ。

「話では聞くんすけど、実際は見た事ないんすよね」悪びれる事もなく岡倉が答える。 

「それより、アイスブルーの新曲聴いた? めちゃくちゃ良くない? メンバーでは誰が好き? 」

 冴子が唐突に話題を変えた、アイスブルー? 新しく出た男性アイドルグループか? 俺が知らないということは、そこまで有名なグループではないのだろう。 

 ここで知らない事がバレないように、そして質問がこちらに来た時に答えられるようにと、3人の話を注意深く聞いておかなければならないと集中力を高める。

 すると、あまりにも真剣に話を聞きすぎたのだろうか、冴子がこちらに気づき質問を投げかけてきた

「廣瀬さんは誰が好き? 別にアイスブルーじゃなくても他のグループでもいいから」

 まさかの事態に少し戸惑ってしまった。

真剣に聞いていたことが仇となって、興味を持っていると思われてしまったようだ。 

 だが、真剣に聞いていたお陰で大体の事はわかってきたぞ、どうやら韓国の音楽グループらしい。それさえわかればあとはなんとでもなるのだ。

「韓国の有名人で好きな人は、アンジョンファンかな」

 日韓ワールドカップで有名になったサッカー選手、アンジョンファンを咄嗟に思い出せたのだ。

まさに九死に一生とはこの事である。元々、サッカーは好きなだけあっていくらでも話す事ができる、ここからは俺のターンだと、意気揚々とサッカー談義をしていると誰かが個室のドアを開けた。


「ごめーん、サークルが長引いちゃって遅れちゃったー」

 そう言って入ってきたのは、愛と千紗だ。二人とは以前まで同じシフトで入ることが多かったのだが、最近はめっきり顔を合わすことがなくなっていた。

「あっ、廣瀬さんもいるんですね」千紗が驚いた感じで話しかけてくる。

さぁ、ここからが待ちに待った今日の飲み会のメインイベントだ。

岡倉の普段の仕事態度をみんなの前で指導してやろう、女達の前で指導してやれば岡倉も流石に改めるだろうし、女達の俺の評価も上がって一石二鳥だ。意を決して俺は本日二口目のビールに口をつけた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ