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勘違いおじさんの婚活日記  作者: 蒲池拓也
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張り切るおじさん

 次の日はいつも以上に仕事に身が入った、今日の夜でこの店はもっと良くなる、しかし夜のことは楽しみだが仕事を疎かにしてはこの店を回す人間としては失格だからだ。

 19時で仕事を終えると、休憩室で少し時間を潰すことにした『部下に尊敬される話し方』今日のために家から持ってきたのだ、この本には本当にお世話になっている、俺のバイブルと言っても過言ではないだろう。

 

 約束の10分前に駅前に着いたのだが、まだ誰もきてないようだ、10分前行動は社会人として最低限のマナーだって言うのにそこら辺から教育が必要かもしれないな。

 そんなことを考えていると

「あっ、廣瀬さんじゃないっすか早いっすね」

 声の主の方を見るとそこにいたのは岡倉だ。コイツのためにわざわざ今日来たようなもんなのに早いっすねではないだろうとも思ったがそんなことはどうでもいい。

「廣瀬さんと飲みとか初めてっすよね楽しみっすよ」

 岡倉は笑顔で廣瀬に話しかけるのだが、コイツは人の懐に入るのが本当に上手いな。おっさんの店長には効くだろうが俺はこんなことでコイツの掌で転がされるようなことはない、今日しっかりとだれがあの店の支配者か嫌というほどわからせてやる。

 

「そうだな、君たち大学生バイトと違って発注やらも任されてるからみんなと飲みに行く時間もなかなかなくてね」

 これで能天気なコイツにも俺が激務を抱えながらも、他のバイト達の面倒を見てやってるのが伝わるだろう。。

「うっす、二人とも早いねーちょっと優と買い物してて遅れちゃった」

 優と冴子がファッションブランドの紙袋を持ってやってきた。冴子のことだ普段ファッションに無頓着な優のために買い物に連れて出たんだろう、俺のバイト達に対する優しさが着々とバイト達の中にも浸透している証拠だろう。

「そういえば、今日って飲みに行く店決まってんすか? 」

 岡倉が冴子に尋ねる

「一応お店は調べてきたんだけど、その場の空気で決めようと思ってたんだよね。せっかくだから廣瀬さんどこか決めてくださいよ」 

 カシスオレンジを一杯を飲むだけで気持ち悪くなる俺は居酒屋なんて行くことはほぼないのだが、こういった時のために事前に調べておいたのだ。

 まったく、冴子も困ったもんだ事前準備してなけりゃ恥かくとこだったぞ。なんでも俺に任せれば大丈夫だと思ってる節があるな、頼られすぎるのも考えものだ。

「それならちょうどいい、駅裏のビルにある『楽酒屋』なんてどうだ? 」

 3人はビックリした表情をしている。まさか今日のためにわざわざリサーチしてるなんて思ってもなかったろう、ビックリするのは当然だ、でも事前準備ってのは社会人として当然のことなんだぜ。 

「あっ……でも別のお店の方がいいかな、他に美味しいオススメの店ってない? 」

 冴子が困惑した様子で、廣瀬に尋ねるがそもそも自分の地元でもない駅前に自分の知ってるお店などない廣瀬には、事前に調べたこのお店しか情報がなくこの店を猛プッシュするしかないのだ。すると岡倉が会話に割り込んでくる

 「『楽酒屋』いいじゃないですか! あそこ僕も好きなんですよ。じゃあ、他のメンバーは遅れて来るそうなんで先に向かいましょうか」 

 

 店に着くと個室の座敷部屋に通された、以前行ったことのある居酒屋より高級感があり落ち着いた大人な雰囲気の店だ、これならみんなも喜んでくれるだろうし更に俺のことを見直したに違いない。



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